第162話 勇者達(と春風)vs「邪神ループス」
ウィルフレッドらに見送られ、『邪神』と呼ばれているループスのもとへと向かった、水音ら勇者達と固有職保持者の春風。その最中、緊張しているのか、
(い、いよいよ『神様』との戦いか……)
と、水音が心の中でそう呟いていると、一行はついに目的の相手であるループス対峙した。
「フッフッフ。どうやら、そっちも準備は出来てるみてぇだな」
と、水音達を見て不敵な笑みを浮かべるループスに対して、
『……』
と、水音は勿論、歩夢や進ら他の勇者達も、「神様」であるループスを前に何も言えないでいると、
「みんな、駄目な教師で本当にごめんなさい。でも安心して。いざとなったら、私がみんなを守るから」
と、爽子が目の前のループスに視線を向けたままそう言ったので、その言葉を聞いて、
(うぅ、先生。言ってる事は頼もしいけど、声、ちょっと震えてるなぁ)
と、「不安」に満ちた表情の水音が、心の中でそう呟いていると、
「大丈夫です、先生」
と、爽子の隣に立っていた春風が、爽子と同じようにループスに視線を向けながらそう言ったので、
(あ……春風)
と、その言葉に何かを感じたのか、水音はそれまで抱いていた緊張が和らいでいくのを感じた。
そして、春風に続くように、
「ええ、先生1人に押し付けたりなんてしません」
「そうだぜ先生! 俺らだって『勇者』なんだしさ!」
「うんうん、ここで逃げる訳にはいかないもんね!」
と、クラスメイト達もループスに視線を向けながらそう言った。
彼らの言葉を聞いて、
(ああ、みんな緊張が解れているのがわかるよ)
と、水音は心の中でそう呟いた後、
「ありがとう、春風」
と、周りに聞こえないように小さな声で、春風に向かってお礼を言うと、真っ直ぐループスを見つめた。
そして、
「じゃあ、いくよ」
と、そう言って自身の武器である長剣を構えた爽子に続くように、水音も自身の武器である「剣の形をした金棒」を構えた。
そんな水音達を見て、
「そんじゃ、こっちも戦闘態勢に入りますか」
と、ループスがそう言うと、空に向かって、
「ワオオオオオオオン!」
と、大きな声で吠えた。
次の瞬間、ループスの周りに4体の黒い大きな獣が現れた。
それぞれ見た目は熊、蛇、大鷲、虎に見えるが、その大きさは水音達よりも2回り大きく、強そうだった。
その4体を見て、
「あ、あの、ループス様。そちらの4体(?)は一体……?」
と、爽子が恐る恐るそう尋ねると、
「俺が作った分身体だ。世間じゃ確か『邪神の眷属』って呼ばれてたな。後数体程いるが、コイツらは俺が作った中でも最高傑作なんだわ」
と、ループスはニヤリと笑いながらそう説明した。
その説明を聞いて、
(お、オイオイ、嘘でしょ?)
と、水音は再び緊張しだしていると、
「さて、春風。そして、勇者さん達や。怖かったら『怖い』って言って良いんだし、逃げたいなら逃げ出したって良いんだぞぉ? 別に責めたりしねぇし」
と、ループスが挑発するかのようにそう言ったので、その言葉にカチンときたのか、
(誰が……逃げるか!)
と、水音はキッとループスを睨みつけながら、武器を握る力を強くした。
そして、ふとチラッと周りをよく見ると、爽子やクラスメイト達全員も、ループスを睨みながらそれぞれ武器を握る力を強くした。勿論、その中には春風も含まれていたので、
(あ、春風もカチンときたんだなぁ)
と、水音は安堵の表情浮かべた。
そんな様子の水音達を見て、
「フフン。どうやら根性はあるみてぇだな」
と、ループスは小さな声でそう呟くと、
「お前達! 戦闘開始だ!」
と、自分の周りに立つ4体の分身体達に向かってそう命令した。
その命令を受けて、
『グオオオオオオオ!』
と、分身体達が一斉に叫び出すと、もの凄い勢いで水音達に向かって突撃したので、それを見た爽子は、
「来たぞ! みんな、こっちも戦闘開始だ!」
と、目の前に視線を向けたままそう叫び、それに応えるかのように、
『おおおおおっ!』
と、水音とクラスメイトら勇者達、そして春風もそう叫んだ。
その後、
「行くぞ!」
と爽子が再びそう叫ぶと、全員、武器を構えた状態で、ループスの分身体に向かって突撃した。




