第156話 対決前夜・6
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
さて、水音達がエヴァンと優の会話を覗き見していた、丁度その頃。
水音達が宿泊している高級宿。数多くある部屋の中で、1番豪華な部屋に、4人の男女がいる。
ルーセンティア王国国王、ウィルフレッド。
ストロザイア帝国皇帝、ヴィンセントと、その妻である皇妃キャロライン。
そして最後に、勇者の1人にして、水音達のクラスの担任教師である爽子の4人だ。
(うぅ……)
国王と皇帝と皇妃に囲まれている所為か、爽子の表情は緊張でかなり強張っていて、全身はガタガタと震えていた。
しかし、そんな爽子を他所に、
「うーん、春風が作ったつまみ、美味いな」
「うむ、酒に良く合うな」
と、ヴィンセントとウィルフレッドは手にしたグラスに入った酒を飲みながら、春風が作ったというつまみを、美味しそうに食べていた。
実は春風達の家から帰る際、春風が作ったおにぎりと特製豚汁が美味しかったので、
「なぁ、春風。こいつの他にも何か美味いもの作ってくれねぇか?」
と、ヴィンセントがそう頼んできたので、春風は「それなら……」と、今のようにお酒を飲む事を想定して、幾つかのつまみを作ってそれをヴィンセント達に持たせたのだ。
そして、宿の一室に入った後、ヴィンセント、キャロライン、ウィルフレッドは爽子をちょっと強引に誘って用意した酒とそのつまみで晩酌を始め、現在に至る。
(うぅ。何でこんな事に?)
国のトップ達と一緒の部屋でお酒を飲んでいるという状況に困惑しているのか、先ほども語ったように爽子は全身をガタガタと震わせていた。
酒が入ったグラスを握る手も震えていて、そのグラスの中では未だ一口も飲んでない酒が、全身の震えに合わせてピチャピチャと音を立てていて、今にもグラスから溢れそうになっていた。
そんな爽子に向かって、
「大丈夫、爽子ちゃん?」
と、キャロラインがそう声をかけると、爽子はビクッとなって「ひっ!」と悲鳴をあげた。
それが聞こえたのか、
「ど、どうした爽子殿?」
と、ウィルフレッドが爽子に向かってそう尋ね、
「オイオイ、先生さんよぉ。そんなんじゃ明日の戦い、勝てるものも勝てねぇぞ?」
と、ヴィンセントはニヤリと笑いながら、揶揄い気味にそう言ってきた。
2人のその言葉を聞いて、
「うぅ、すみません」
と、爽子は今に泣き出しそうな表情でそう謝罪したが、
「ヴィンセント……」
と、黒い笑みを浮かべたキャロラインがそう声をかけてきたので、
「す、すんません。冗談です。爽子先生、本当にスマン」
と、ヴィンセントは顔を真っ青にしながら、すぐに爽子に向かってそう謝罪した。
それを聞いて、キャロラインは「まったく……」と小さく呟くと、爽子に向き直って、
「まぁ、でもそうね。爽子ちゃん、明日の戦い、不安なの?」
と、心配そうな表情でそう尋ねた。
その質問を聞いて、爽子は「それは……」と返事すると、
「……正直言いますと、それもあるのですが、今日は本当に色々な事があり過ぎまして、頭が全然追いつかないし、考えが纏まらないんです」
と、暗い表情でそう言った。
その言葉を聞いて、
「あー、確かになぁ。今日はここに来てとんでもないイベントが立て続けに起きたもんなぁ」
と、ヴィンセントは今日あった出来事を思い出して「はは」と苦笑いした。
すると、
「……すまない、爽子殿。我々が『勇者召喚』を行ったばっかりに、其方と生徒達を巻き込んだだけでなく、其方の故郷を消滅の危機に晒し、更には春風殿にまで大きなものを背負わせてしまった。本当に、申し訳ない」
と、ウィルフレッドが本当に申し訳なさそうに爽子に向かってそう謝罪したので、
「そ、そんな、ウィルフレッド陛下が気にする事ではありません! あなたはただ『大切なもの』を守ろうとしただけです! きっと、雪村だってそれをわかってる筈です!」
と、爽子は慌てた様子でウィルフレッドに向かってそう言った。そして爽子に続くように、
「はは、そうだな。俺も今日、春風にあったばかりだが、あいつが『良い奴』だって事は何となくわかった。現にあいつは、自分の故郷だけでなくこの世界までも救おうとしてるんだからよ」
と、ヴィンセントも笑顔でそう言った。
その言葉を聞いて、ウィルフレッドは「そうだな……」と弱々しい笑みを浮かべながら言ったが、部屋の中の雰囲気がどことなく暗くなったので、
「ちょっとちょっとみんな! そんなに暗くならないでよぉ! 『良いもの』見せてあげるからぁ!」
と、キャロラインがプンスカと怒りながら言った。
その言葉にヴィンセント、ウィルフレッド、爽子が「良いもの?」と首を傾げると、キャロラインはゴソゴソと自身の懐から何か小さなものを取り出した。
その小さなものを見て、
「? 何ですかそれは?」
と、爽子がキャロラインに向かってそう尋ねると、
「お、そいつは小型の映像記録用の魔導具だな?」
と、ヴィンセントまでもがキャロラインに向かってそう尋ねたので、
「ふふ、正解よ」
と、キャロラインも笑顔でそう答えた後、その魔導具に自身の魔力を込めた。
次の瞬間、その魔導具から眩い光が発せられ、その後とある映像が浮かび上がった。
その映像を見て、
「「「こ、これは!?」」」
と、ウィルフレッド、ヴィンセント、爽子が大きく目を見開くと、
「ふっふっふ。これはねぇ、とあるお仕事をしている時の春風ちゃんよ」
と、キャロラインは満面の笑みを浮かべて胸を張りながらそう言った。
そして、その時の春風の姿を見て、
「こ、これはまた、何とも……」
「ああ。スッゲェ似合ってるじゃねぇか」
と、ウィルフレッドとヴィンセントはゴクリと唾を飲み、爽子はというと、
「ゆ……ゆ……」
先ほどまでの緊張で震えていた以上に、体をガタガタと揺らした後、
「ゆーきーむーらぁあああああああっ!」
と、怒りを込めてそう叫んだ。
そして時は流れ、夜が明けた。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。
この話の内容を考えてたらその日のうちに終わらせる事が出来ず、結果1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




