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ユニーク賢者物語外伝 〜青き戦鬼の章〜  作者: ハヤテ
第7章 「邪神」との対決

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第155話 対決前夜・5


 エヴァンと優を黙って見送った後、水音は祭達と別れて自分の部屋へと戻り、そのままベッドへとダイブした。


 「……はぁ」


 ただ、その表情はとても暗く、自身の気持ちは散歩に出る前よりかなり沈んでいた。


 何故なら、先程エヴァンが優に言った言葉が、心の中で引っかかっていたからだ。


 「『戦う理由がない』……か」


 そう呟いた後、水音は盛大に「はぁあああああ……」と溜め息を吐いた。


 その時だ。


 トントンと部屋の扉が叩かれたので、


 「はい」


 と、水音がそう返事すると、


 「水音君……祈……です」


 と、扉の向こうから祈の声が聞こえたので、


 (え? 祈さん?)

 

 水音は少し疑いながらもベッドから起き上がり、ゆっくりと部屋の扉を開けた。


 「い、祈さん」


 そこにはちゃんと祈本人がいたので、


 「ど、どうしたの? こんな夜中に……」


 と、水音がそう尋ねると、祈は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、


 「そ、その……水音君、別れた時、元気なさそうだったから……」


 と、答えた。


 その答えを聞いて、


 「あ、あぁごめん。心配かけちゃったね」


 と、水音は祈に向かって深々と頭を下げながらそう謝罪した。


 その後、2人が気まずい雰囲気になっていると、


 「えっとぉ、立ち話もなんだから、入ってください」


 と、水音がそう言ったので、それを聞いた祈は「え!?」と驚いたが、


 「あ、うん。じゃあ、お邪魔します」


 と、祈は顔を真っ赤にしながらそう言うと、水音に招かれるように部屋の中へと入った。


 それから暫くの間、水音と祈はベッドに隣り合うように座っていたが、恥ずかしいのか、それとも別の理由あるのか、どちらも一言も言葉を発しようとはしなかった。


 (ど、どうしよう。こんな時何を言えば良いんだ?)


 と、水音が心の中でどうすれば良いのか考えていると、


 「あ、あの……水音君」


 先に祈が口を開いたので、


 「え!? な、何!?」


 と、水音が驚きながらそう返事すると、


 「その……さっきの水音君、凄く元気なかったけど……大丈夫?」


 と、祈が心配そうにそう言ってきたので、水音は「それは……」と口を開くと、


 「……祈さん。さっき、エヴァン君が小日向さんに言ってた事、覚えてる?」


 と、祈に向かってそう尋ねた。


 その質問を聞いた瞬間、祈は水音が何を言おうとしているのかわかったのか、


 「……『戦う理由』……だよね?」


 と、今度は祈が水音に向かってそう尋ねてきたので、水音はそれに「うん」と返事すると、


 「エヴァン君がそう言った瞬間、僕はまさに『その通りだ』って思ったんだ。元々、僕達は『神様』に『勇者』として選ばれてこの世界に召喚されたんだ。だから、戦う理由を聞かれたら、きっと僕も小日向さんのように『勇者だから』って答えると思う」


 と、祈に向かってそう言った。


 その言葉を聞いて、


 「……う、うん。私も、きっとそう答えると思う」


 と、祈も『その通りだ』と言わんばかりにコクリと頷いた。


 水音は話を続ける。


 「だけど……春風は……春風だけはそうじゃない。この世界に召喚された僕達と違って、春風は地球を……大切なものを守る為に、自分の意思でこの世界に来たんだ。そして今、春風はこの世界の事も救おうと頑張っている。何故なら、春風はこの世界でも、大切なものを見つけたんだから」


 そう言うと、水音は自身の両手をグッと握り締めた。それも、今にも血が出てきそうなくらい、強くだ。


 すると、祈はそんな水音に手にソッと触れると、


 「で、でも……水音君だって、もう、大切なものを、見つけたよ?」


 と、震えた声でそう言ったので、それを聞いた水音が「え?」と声をもらすと、


 「水音君だけじゃない。進君や、耕君、まーちゃんにきーちゃんも、それに……私も、戦う理由、見つけた、よ?」


 と、祈は震えた声で更にそう言って、水音に自身のギルドカードを見せた。


 それを見た瞬間、水音は「あ……」と思い出したかのような表情になった。


 その時、水音の脳裏に、祈達とハンター活動していた時の記憶が浮かび上がった。


 確かに、祈達とハンターとして仕事をしていた時、多くの帝都の住人達から感謝され、笑顔を向けられてきた。


 そしてそれを見た瞬間、水音の中で、


 (ああ、この笑顔。絶対に失う訳にはいかないよな)


 と、何かの「使命感」のようなものが芽生えたの感じた。


 そして今、それを改めて思い出すと、


 「……うん、そうだね。僕も……いや、僕達も、もう戦う理由、見つけたんだよね?」


 と、水音は祈に向かってそう尋ねたので、それに祈がコクリと頷くと、


 「ありがとう、祈さん」

 

 と、水音はそうお礼を言うと、穏やかな笑みを浮かべながらソッと祈の手に触れた。


 


 

 


 



 

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