第150話 食事と、ちょっとしたイベント?
長く時間がかかった「学級裁判」が終わった時、外は夕方から夜に差し掛かろうとしていた。
フロントラルの住人や都市の外から来た人達が、それぞれ自分の家に帰ったり宿屋に宿泊している中、裁判を終えた水音達はというと、
『う、美味い! 美味すぎるぅうううううっ!』
「あはは。そう言ってくれて嬉しいよ」
全員、春風が用意した「晩ごはん」を食べていた。
時を遡る事少し前。
(うわぁ、もう空が赤く染まってるよ)
「学級裁判」の後、夕方の空を見上げた水音が、心の中でそう呟いていると……。
ーーぐぅううううう。
「……ん!? 何今の音!?」
突然発生した奇妙な音に、水音は驚いてキョロキョロと辺り見回すと、
「え?」
『……あぁ、そのぉ』
と、何故か爽子や純輝ら勇者達が顔を真っ赤にしていたので、
「ど、どうしたんですか先生にみんな……?」
と、水音がそう尋ねようとすると、全員自分のお腹を摩っていたので、
「ああ、そういう事か」
と、水音はそう言って納得の表情を浮かべた後、同じような表情をしていた春風に近づいて、
「春風、お願い」
と、彼の肩にポンと手を置いた。そしてそれを見て、
「はぁ。やっぱそうなるよねぇ」
と、春風は諦め表情を浮かべた。
それからすぐに、春風と仲間達や水音達、そして爽子ら勇者達だけでなく、ウィルフレッドらルーセンティア王国の王族やヴィンセントらストロザイア帝国の皇族達は全員、とある場所の前に向かっていた。
向かった先は勿論、現在春風と仲間達が拠点にしている「家」である。
その家を見て、
『おぉ!』
と、爽子をはじめとした勇者達は大きく目を見開き、
「うむ、中々立派な家ではないか」
「ああ、俺も同意見だ」
と、ウィルフレッドヴィンセントはそう感心した。
そんな爽子達を他所に、
「それじゃあ夕飯の支度をしますから、ちょっと待っててください」
と、春風は数人の仲間を引き連れて、家の中にある台所へと向かった。
そして暫くすると、
「皆さん、お待たせしました」
と、春風はそう言いながら、仲間達と作った「晩ごはん」を持ってきた。
用意したのは、以前春風が水音達に振る舞った、おにぎりと特製・異世界豚汁だ。
それらが爽子達に配られると、
『いただきます!』
と、そう言ってそれぞれおにぎりと豚汁を食べた。
次の瞬間、
『うっ!』
と、全員がそう唸ったので、
「え、ちょ、みんなどうしたの!?」
と、驚いた春風がそう尋ねると、爽子達は目に涙を浮かべながら、
『お、おふくろの味だぁ』
と言ったので、
「だーれが『おふくろ』だぁ!」
と、春風は爽子達に向かってそう怒鳴った。
そして現在、
『ご馳走様でした!』
と、爽子達が手を合わせながらそう言い、
「はい、お粗末さまでした」
と、春風が笑顔でそう返事した時には、もう外は真っ暗で、空には無数の星が輝いていた。
「ところで、先生達はこれからどうするんですか?」
と、春風がそう尋ねると、
「ああそれなら問題ない。予め泊まるところは用意している」
「おうよ、だから問題はないぜ」
と、ウィルフレッドとヴィンセントは2人して親指を立てながらそう答えた。
それを見て、春風は「ああ、そうでしたか」と返事すると、
「雪村、ちょっと良いか?」
と、爽子が声をかけてきたので、
「ん? 何ですか先生?」
と、春風がそう返事すると、爽子は「あー」と少し気まずそうに、
「この家って、お前の他に誰が暮らしてるんだ?」
と、尋ねてきた。
春風はそれに「え?」と反応すると、
「お、俺以外だと、まずレナに、ヘリアテス様に師匠、アメリアさんにエステル、ディック、ピートに……」
と、そこまで答えたところで、
「あ、そうだすっかり忘れてた!」
と、春風はそう言ってヘリアテスの傍に立つと、
「正中君達、ちゅーもーく!」
と、純輝達に向かってそう叫んだ。
それ聞いて、純輝達が「ん?」と春風に視線を向けると、
「すっかり遅なっちゃったけど、こちら、『太陽と花の女神ヘリアテス』様です」
と、春風は純輝達に向かってヘリアテスを紹介した。
それを聞いて、純輝達が「え?」と首を傾げていると、
「はじめまして皆さん。私名前はヘリアテス。エルードの『太陽』と『花』を司りし女神。といっても、今は『邪神』などと呼ばれてますが」
と、ヘリアテスは最後「あはは」と自嘲気味に笑いながらそう自己紹介した。
次の瞬間、
『えええええええっ!?』
と、純輝達は驚きの叫びをあげた。
そんな彼に向かって、
「そして、レナの『お母さん』でもあります」
「うん、私のお母さんです」
「はい、レナのお母さんです」
と、春風だけでなくレナとヘリアテスまでもがそう言ったので、
『な、な、何だってぇえええええええっ!?』
と、純輝達は大きく目を見開きながら、更に驚きの叫びをあげた。
そんな彼らに向かって、
「で、質問なんだけど……」
と、春風はそう言うと、
「勝てそうですか?」
と、チラッとヘリアテスを見ながら、純輝達に向かってそう尋ねた。
その質問に対して、純輝達もチラッとヘリアテスを見ると、皆、「ふ……」と笑って、
『無理だよぉおおおおお!』
と、そう叫びながら、その場に膝から崩れ落ちた。




