第148話 春風が「弟子」になった理由
春風から歩夢、美羽、凛咲との出会いを聞いて、クラスメイト達からツッコミが入ると同時に、
「ブワッハッハッハァ! おもしれーなアイツ! なぁ、ウィルフよぉ!」
と、笑いながらそう言ったヴィンセントを筆頭に、エルード勢も「中々やるなぁ」と言わんばかりの反応をした。
そんな状況の中、
「あ、あのぉ、もうよろしいでしょうか?」
と、恥ずかしそうに顔を真っ赤にした春風がそう尋ねると、
「いいや駄目だ。まだもう1つ大事な事を聞いてない」
と、爽子はギロリと春風を睨みながらそう答えたので、
「え、えぇ何ですか?」
と、春風が再び尋ねると、
「決まってるだろ? ここまできたら話してもらうぞ。お前が陸島さんの弟子になった経緯を!」
と、爽子は真剣な表情でそう答えたので、
(うん。まぁ、そうなるだろうね)
と、それを聞いた水音は「はは」と苦笑いしながら、心の中でそう呟いた。
それから少しして、春風は「はぁ」と溜め息を吐くと、爽子の言葉に従って、自身が凛咲の「弟子」になった経緯を話し始めた。
因みに詳しく語ると長くなってしまうので、ザックリ言うとこんな感じである。
病院爆破事件の後、春風は凛咲とちょくちょく会うようになった。勿論、その際は歩夢と一緒にだが。
そんな感じで日々を過ごしている中、凛咲が「少女冒険家」と呼ばれるようになり、学業を頑張ってきた中、2回も「異世界召喚」され、それが地球の神々の目にとまり、「異界渡り」の試練を受ける事になって、見事、「異界渡り」となったが、その試練の後で春風の両親が亡くなった事を知り、現在の春風の家に乗り込んで、
「私と結婚して!」
と、なんと当時11歳だった春風にプロポーズをするというとんでもない行動に出たのだ。因みに、婚姻届も用意してあった。
(師匠ぉ! あなた小学生相手に何してんですかぁ!?)
それからも、そのプロポーズで凛咲と歩夢、そして現在の春風の「家族」である涼司が激しく口論していると、
「風の字。アンタ、マリーちゃんの弟子になりな」
と、その場にいた歩夢の母である海神真悠理が、春風に向かってそう言ってきたので、
『ハァアアアアアッ!?』
と、それを聞いた春風だけでなく歩夢や涼司までもが驚きの声をあげた。
その後、
「お、お、お母さん、何を言ってるの!?」
と、問い詰めてきた歩夢に対して、
「マリーちゃんは風の字が大好きで、絶対に離れたくない。そうだろ? だったらマリーちゃん。アンタが今日までの『冒険』で身につけた『知識』や、培ってきた『技術』、それと『冒険』をする時に必要な『心構え』を風の字に叩き込んでやるんだ」
と、真悠理は冷静な表情で凛咲に向かってそう言い、それを聞いた凛咲は、
「それ! それ、ナイスなアイディアです真悠理さん! 私、そうします!」
と、それに賛成した。
その後、
「そうなると、俺は今日からマリーさんをなんと呼べば良いんですか?」
と、春風が凛咲に向かってそう尋ねると、
「決まってるでしょ? 『師匠』と呼びなさい!」
と、凛咲はキリッとした表情でそう答えたので、
「あー、それじゃあ、よろしくお願いします……師匠」
と、春風は凛咲をそう呼ぶようになり、それ以降春風は、凛咲の弟子として様々な「冒険」をして、現在に至るという。
全てを話し終えて、
「……とまぁ、これが俺が師匠の弟子になった経緯でして……」
と、春風がそう締め括ると、
「……雪村。お前、11歳でプロポーズされたのか? それも女子高生に?」
と、爽子がタラリと汗を流しながらそう尋ねてきたので、
「あー。はい、そうです」
と、春風は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらそう答えた。
その答えを聞いて、爽子は「そうか」と呟くと、
「男子諸君。今の話、どう思う?」
と、今度は水音ら男子クラスメイト達に向かってそう尋ねたので、彼らは「フ……」と笑うと、
『なんて羨ま……いや、けしからん!』
と、男子クラスメイト全員がそう悲痛に満ちた叫びをあげた。当然、
(全くだよ! けしからん話だよ本当に!)
と、水音もそう思いながら、プルプルと拳を震わせた。
だが、この時水音は知らなかった。
これより少し先の未来で……自分も男子クラスメイト達から同じセリフを言われる事になってしまうのだと。




