第140話 再会、「勇者」達と……
(よ、漸く、地面についた……)
と、心の中でそう呟きながら、魔導飛空船から出てきた「勇者」こと教師の爽子。その表情は何処か疲れ切っていて、今にも倒れそうになっていた。
そんな爽子を心配したのか、
「せ、先生、大丈夫ですか?」
と、背後で同じく「勇者」ことクラスメイトの1人である純輝がそう尋ねてきたので、
「だ、大丈夫だ正中。は、はは……」
と、爽子は笑顔でそう答えたのだが、とてもそうは思えないと純輝をはじめとした他のクラスメイト達も更に心配そうな表情になっていると、
『先生ぇ!』
という声が聞こえたので、その声に爽子達が「ん?」と声がした方へと振り向くと、そこには自分達のもとへと駆け寄ってくる水音達の姿があったので、
「わ、海神! それに桜庭達も!」
と、爽子は表情を明るくしながら、純輝達と共に魔導飛空船を降りて、自分達も水音達のもとへと駆け出した。
そして、お互いがすぐ傍まで近づいたところで、
「ああ、良かった! みんな元気そうだな!」
と、爽子が水音達に向かってそう言うと、
「はい!」
「みんな無事ですよ!」
と、歩夢と美羽が笑顔でそう返事し、それに続くように、鉄雄、恵樹、詩織も笑顔でコクリと頷いたので、
「うぅ、良かったぁ」
と、爽子が泣きそうになっていると、
「先生、お久しぶりです」
「と言っても、帝城での通信からそこまで経ってないかもだけど!」
と、今度は水音と進が笑顔でそう言い、2人に続くように、耕、祭、絆、祈も、
「「「「お久しぶりです!」」」」
と、笑顔でそう言った。
その言葉を聞いて、
「あぁ。桜庭、近道、遠畑、出雲、晴山、時雨……」
と、爽子が再び泣きそうになっていると、
「桜庭君……」
と、爽子の傍にいた純輝が、水音に向かってそう口を開いたので、
「あ、正中君」
と、その存在に気付いた水音が、純輝に向かってそう口を開いた。よく見ると、純輝の背後に他のクラスメイト達の姿があったので、
「えっと……みんなも、久しぶり……だね」
と、水音が恐る恐るそう言うと、
「う、うん、久しぶりだね。桜庭君も、近道君達も、ちょっと見ない間に凄く立派になったと思うよ」
と、純輝も気まずそうな笑みを浮かべながらそう言った。
その言葉を聞いて、
「おうよ! なんてったって俺ら、帝国ですげぇ鍛えられてっからな!」
と、進が「ふふん!」と胸を張ってそう言うと、
「あぁでも、正中君達も立派になったと思うよ」
と、進の隣に立っていた耕が、純輝達を見てそう言ったので、
「はは、ありがとう遠畑君」
と、純輝は笑顔でそう言った。
そんな彼らのやり取りを見て、
「うぅ。みんな、本当に無事で良かった」
と、爽子は目に涙を浮かべ、そんな爽子を見て、
『せ、先生ぇ……』
と、水音達も久しぶりに会った爽子達を見て、目をウルウルとさせた。
するとその時、
「……ん?」
と、爽子が何かに気付いたかのようにハッとなって、
「ところでみんな、雪村には会えたのか?」
と、水音達に向かってそう尋ねた。
その質問を聞いて、
『……あ』
と、水音達もハッとなった後、すぐに周囲を見回したが、
(あれ!? 春風がいない!)
と、水音はその場に春風の姿がない事に気がついて、
(ど、何処だ!? 何処にいるんだ春風!?)
と、焦って様子で周りをキョロキョロと見回すと、
「オーイ、みなさーん!」
と、キャロラインの声がしたので、
(ん? キャロライン様?)
と、水音達が一斉にその声がした方へと振り向くと、
『あ!』
そこには、満面の笑みを浮かべて「おーい!」と叫びながら腕を振るって水音達に近づくキャロラインと、
「は、離して! 離してくださいいいいい!」
と、彼女に首根っこを掴まれてズルズルと引き摺られている春風の姿があったので、
(は、春風ぁ!?)
(あ、あいつ、逃げようとしやがったなぁ!?)
(もう! フーちゃんったらぁ!)
と、それを見た水音、進、祈が、心の中でそう叫んだ。
そして、春風を引き摺ってきたキャロラインが水音達の傍まで近づくと、
「えい!」
「うわぁ!」
春風をポイッと水音達の前に差し出した。
そんな春風に、
「春風ぁ……」
「お前って奴はぁ……」
と、水音達が呆れ顔になっていると、
「ゆ、雪村……」
と、爽子がそう呟いたので、
「お、お久しぶりです……先生」
と、春風は怯えた表情で爽子に向かってそう言った。
次の瞬間、爽子は目をカッと見開き、
「ゆぅきぃむぅらぁあああああああっ! 今まで何してたぁあああああああっ!?」
と、怒鳴り声をあげながら、春風に向かって迫った。それを見て、
(や、やばい! 先生凄く怒ってる!)
と、水音は危険を察知し、
「う、うわぁあああああ! す、すみません! すみませんんんんんんん!」
と、春風は両腕で顔を覆いながら叫ぶように謝罪した。
その後、
『ま、待ってせんせ……!』
と、水音達が爽子を止めようとした、次の瞬間……。
ーーガバッ!
『……え?』
爽子は春風を抱き締めて、
「無事で良かった。本当に。本当に……」
と、震えた声でそう言い、その言葉を聞いて、
「……ご、ごめんなさい、先生」
と、春風も震えた声でそう謝罪しながら、ソッと爽子を抱き締めた。
そんな2人を見て、
(よ、良かったぁ)
と、水音はホッと胸を撫で下ろした。




