第136話 動き出した者達
お待たせしました、外伝新章の開幕です。
水音達がフロントラルで雪村春風と再会し、「真実」を聞いていた丁度その頃。
そのフロントラルから遠く離れたとある場所。
人気もないそこには大きな洞窟があり、その洞窟の奥で、
「……ふっふっふ、漸く準備が整ったぜ」
と、1つの存在が笑いながらそう言うと、
「さてと、そろそろ動くとするか」
と、スタスタと洞窟を出て行った。
それから間もなくして、
「何!? 『邪神の眷属』に動きがあっただと!?」
「はい! それも、複数の目撃情報がありました!」
と、ルーセンティア王国国王ウィルフレッドが、目の前にいる騎士からそう報告を受けた。
その報告に、ウィルフレッドだけでなく王妃マーガレットや第1王女クラリッサ、五神教会教主ジェフリー、そして爽子ら「勇者」達が、ショックでタラリと汗を流す中、ウィルフレッドが騎士に「報告を続けてくれ」と命令すると、
「は、はい! 目撃情報をもとに調べた結果、各地にいる邪神の眷属達は、とある場所を目指して進んでいる事がわかりました!」
と、騎士はそう報告を続けたので、ウィルフレッドが「そのある場所とは?」と尋ねると、
「そ、それは……中立都市、フロントラルです!」
と、騎士はウィルフレッドを見てハッキリとそう答えた。
それと同時刻。
水音達がお世話になっていたストロザイア帝国でも、
「……ソイツはマジな話なのか?」
「は! もう一度報告しますが、邪神の眷属達は皆、中立都市フロントラルに向かっているとの事です!」
と、皇帝であるヴィンセントも、目の前にいる自国の騎士からそう報告を受けていた。
騎士からの報告に、ヴィンセントが「マジか……」と呟きながら手で顔を覆うと、
「父様」
と、ヴィンセントの娘である第2皇女のエレクトラが声をかけてきたので、
「ん? どうしたエレン?」
と、ヴィンセントがエレクトラをニックネームで呼びながらそう返事すると、
「ここは私に任せて、父様は行ってください」
と、エレクトラは真剣な表情でそう言ってきた。
その言葉を聞いて、
「……良いのか? お前だって、水音に会いたいんじゃないのか?」
と、ヴィンセントがそう尋ねると、
「大丈夫です。あいつも、祈も、ちゃんとここに戻ってきますから」
と、エレクトラは真剣な表情を崩さずにそう答え、更に、
「それに……」
「?」
「父様、早く会いたいでしょう? 雪村春風に」
と、今度はエレクトラがヴィンセントに向かって、ニコッと笑いながらそう尋ねてきたので、それを聞いたヴィンセントは一瞬ポカンとすると、
「……はは、そうだな」
と、そう答えてスッと玉座から立ち上がり、
「よっしゃ! すぐに魔導飛空船の準備だ! ソイツが済み次第、俺もフロントラルに向かうぞ!」
と、騎士に向かってそう命令した。
さて、こうして2つの「大国」の主のもとに報告が来た、丁度その頃。
見渡す限りの真っ暗な闇の中で、
「……ついに、『奴』が動き出したようだな」
「へ! そうみてぇだな!」
「まったく、大人しくしていればいいものを!」
「ちょ、ちょっと、2人とも……」
「落ち着いて落ち着いてぇ……」
と、5人の男女がそう話し合っていた。
そして、その中の1人である長い銀髪の青年が、
「……よし、では我々も念の為に準備するぞ」
と、残りの4人に向かってそう言うと、
「おうよ!」
「わかったわ」
「うん」
「オッケー」
と、4人もそう返事して、長い銀髪の青年と共にスッとその場から消えた。
どうも、ハヤテです。
という訳で、今日から本編の第2部最終章にあたる、外伝新章の始まりとなります。




