第126話 「戦い」の映像・5
本日2本目投稿です。
ーー……熱いな。
『……え?』
ギデオン(過去)の言葉に、水音達が首を傾げていると、
「まだだ! まだ終わってない!」
と、ヘクターがハッとなってそう叫んできたので、それを聞いた水音達は思わず「え!?」と反応すると……。
ーーふん!
と、それまで倒れそうになっていたギデオン(過去)がその場に踏ん張って、その後素早く春風(過去)に近づくと……。
ーーふんっ!
ーーごはっ!
なんと、ギデオン(過去)は春風(過去)の腹に強烈なパンチをお見舞いしたのだ。
その光景を見て、
「は、春風ぁ!」
「フーちゃん!」
「春風君!」
水音、歩夢、美羽は大きく目を見開いた。勿論、他の人達も3人と同じような反応をしていた。
その後……。
ーー今のは……。
と、ギデオン(過去)が苦しそうに腹を押さえる春風(過去)の頭を掴んだので、それを見た水音は嫌な予感がしたのか、
「祈さん!」
「きゃ!」
と、咄嗟に傍にいた祈を抱き寄せて、手で彼女の両目を覆った。それと同時に、
「イヴリーヌ様!」
「「見てはなりません!」」
「な、何ですか!?」
と、ヘクター、ルイーズ、そしてエヴァンも、大慌てでイヴリーヌの両目を手で覆った。
そして、次の瞬間……。
ーー熱かったぞぉ!
と、そう叫んだギデオン(過去)は、掴んだ春風(過去)の頭を力いっぱい地面に叩きつけた。
『っ!』
その光景を見て、水音達は驚きのあまり顔を真っ青にした。
その後、目の前のギデオン(過去)は……。
ーー熱かったぞぉおっ!
と、再びそう叫ぶと、これまた再び春風の頭を地面に思いっきり叩きつけた。
その光景を見て、
『っ!!』
と、水音達は驚きのあまり更に顔を真っ青にした。その最中、
「うっ!」
と、誰かが吐き気を催したかのような呻き声が聞こえたが、水音達はそれに構う余裕はなかった。
更にその後……。
ーーそして……。
と、ギデオン(過去)はそう言うと、地面に叩きつけた春風を持ち上げて、その状態で自身の体をぐるぐると回転させると……。
ーー思いっきり、痛かったぞぉおおおおおっ!
と、叫びながら、回転した勢いで春風を思いっきりぶん投げた。
投げられた春風(過去)は地面に何度も全身をバウンドさせると、最後は大きな木に背中から激突した。
その衝撃が凄まじかったのか、大きな木はミシミシと音を立てると、最後はぼきりと折れるように倒れた。
そして木が完全に倒れた直後、春風(過去)は倒れた状態の木を背に、そのまま動かなくなった。
それを見た瞬間、
『う……うわぁあああああああ! 雪村ぁあああああああっ!』
『雪村くぅうううううううん!』
と、一部を除いたクラスメイト達が一斉に悲鳴をあげ、
「あ、あの、水音……君?」
と、前が見えない状態の祈が、水音に向かって話しかけ、
「す、すみません、前が見えないのですが、一体どうなったのですか?」
「イヴリーヌ様、見てはなりません!」
「エヴァン! しっかり押さえてて!」
「はい! 姉上!」
と、その近くではイヴリーヌ、ヘクター、ルイーズ、エヴァンのやり取りが聞こえた。
そんな状況の中、
「み、みんな、落ち着くんだ! これは『過去』! 『過去』に起きた事だから!」
と、それまで黙って映像を見ていたレオナルドが、周りに落ち着いてくれと叫んでいると、
「……お! そろそろね」
と、アマテラスはそう言ってピタッと映像を止めると、周囲を真っ暗闇にした。そしてその後、アマテラスが指をパチンと鳴らすと、周囲の景色が元の食堂内に戻った。
突然の事に最初は驚いていた進らクラスメイト達だったが、先程まで見ていた映像を思い出して、全員表情を暗くしていた。
そんな状況の中、
「え? あ、あの、アマテラス様……?」
漸く水音から解放された祈りが、恐る恐るアマテラスに向かってそう尋ねると、
「お待たせぇ……って、あれ? 何この状況?」
と、何やら大きなものを運んでいる状態の春風が、食堂内に入ってきた。
すると、
「あ、雪村!」
と、その存在に気付いた鉄雄が驚きの声をあげたので、春風は思わず「ん?」と首を傾げていると、
「うぉおおおおお! 雪村ぁあああ! お前ぇえええ! 大丈夫だったかぁ!?」
「頭! 頭っていうか、顔! 傷とかついてない!? ていうか、全身怪我とかない!?」
と、一部を除いて、クラスメイト達が一斉に春風に駆け寄ってきて、彼の体中を触りながら尋ねてきたので、
「え!? 何!? どうしたのみんな!? ああ、危ない落ちる落ちる!」
と、春風は戸惑いながらも手に持っている大きなものを落とさないように務めた。
その後、最後の方を見る事が出来ずにちょっと不貞腐れていたイヴリーヌが、冷静な態度で春風に断罪官との戦いのキッカケから、その時の映像をアマテラスに見せてもらった時の事を話したので、それに春風が「なるほど」と納得の表情を浮かべていると、
「……ん? ユメちゃんに美羽さんに水音、どうしたの?」
と、何やら暗い表情をしていた歩夢、美羽、水音に気付いたので、どうしたのだろうと話しかけた。
すると、
「……フーちゃん」
と、歩夢が暗い表情のままそう口を開いたので、春風は思わず「ん?」と返事すると、
「あのギデオンっておっさん……ちょっとぶっ殺してくる!」
と、とんでもなく物騒な事を言い出したので、春風は驚いて「何言ってんの!?」と尋ねると、
「待って歩夢ちゃん。ぶっ殺しに行くなら……私も一緒だからね」
と、美羽まで暗い表情のまま物騒な事を言い出したので、
「ちょっとぉおおおおお! 美羽さんんんんん!?」
と、それを聞いた春風は更にギョッとなった。
そして、
「待って2人共」
と、最後に水音がそう口を開いたので、春風は歩夢と美羽を止めてくれるのかなと期待したが、
「前衛は任せてくれ。いざとなったら、僕が盾役になるから」
と、水音は2人を止めるどころかノリノリでそんな事を言ってきたので、
「水音ぉ! お前もかよぉおおおおおっ!?」
と、春風はショックでそう絶叫した。
因みに、
「み、み、水音君!?」
春風が絶叫したと同時に、祈もショックで顔を真っ青にしていた。




