第121話 そして、『戦いの始まり』へ
その後、春風(過去)は、
ーー嘘を吐くな。何処の世界に、そんな可憐な少女のような顔付きをした少年がいるというのだ?
と言ってきたギデオン(過去)に、自身が「男」である事を証明した。どのような方法で証明したかについてはご想像にお任せするが、
「あらやだぁ。春風ちゃんったら大胆!」
と、キャロラインが顔を真っ赤にしていたので、そういう事とだけ言っておこう。
そしてそんな中、水音らクラスメイト達はというと、
「は、春風ぁ。何やってるんだよ」
「これ、どう見てもアレだよなぁ」
「うん。かなり後で面倒な事になるパターンだよね」
と、全員暗い表情で膝から崩れ落ちていた。
そんな水音達を他所に、
「ところでレナちゃん」
と、キャロラインがレナに話しかけてきたので、
「何ですか?」
と、レナがそう返事すると、
「今見たどの映像にもレナちゃんがいなかったけど、一体何処にいたのかしら?」
と、キャロラインはレナに向かってそう尋ねた。
その質問を聞いて、
『あ、そういえば』
と、水音達が顔を上げてレナ視線を向ける中、
「あー。実は私、その時ギルドから指名依頼を受けていまして、数日程フロントラルから離れていたんですよね」
と、レナは気まずそうにそう答えると、最後に「あはは……」と笑った。
そんなレナを、その場にいる誰もがジト目で睨んでいると、
「はいはい、それじゃあ『キッカケ』はここまでにして、いよいよ本命といきましょうかねぇ」
と、アマテラスがそう言ってきたので、それに水音達が「え?」と反応した次の瞬間、周囲が眩い光に包まれて、その後また別の景色になった。
そこは最初に見た時と同じく森の中で、
(あ、春風。それにアメリアさん達までいる)
と、水音が心の中でそう言ったように、そこには春風(過去)とボロボロ状態のアメリア(過去)、エステル(過去)、ディック(過去)、ピート(過去)がいた。
それと同時に、
ーーお前達には……ここで死んでもらう。
そこには、断罪官大隊長ギデオン・シンクレア(過去)と、彼の部下と思わしき黒い鎧を纏った人達もいた。
水音はそれを見て、
「も、もしかしてこれって……?」
と、ゆっくりとアメリアに視線を向けると、
「ああ。私達と春風君の出会いと同時に、ギデオン大隊長達との戦いの時の映像だ」
と、アメリアは表情を暗くしながらそう答えたので、
(そうか。これが、春風と断罪官との……)
と、水音は再び目の前の光景に視線を戻した。
その後……。
ーーよくもこの私を勘違いさせてくれたな。
と、言い放ったギデオン(過去)に対して、
ーー俺、ちゃんと「男」だって証明しましたよねぇ!?
と、怒鳴るようにそう尋ねた春風(過去)。
そんな2人のやり取りを見て、
「ああ確かに春風ちゃん、ちゃんと証明したわねぇ」
と、キャロラインが「おやぁ?」と首を傾げていると……。
ーーあれから冷静になった後、貴様に対する「怒り」が沸いたのだ。
と、ギデオン(過去)は春風(過去)に向かって理由(?)を語り、最後に……。
ーーこれで心置きなく、貴様を我々が崇める「神々」と、我々の『正義』の名の下に討伐する事が出来る。
なんて事を言ってきたので、
「何じゃそりゃあ!?」
「そんなアホみたいな理由で!?」
「くだらなさすぎる!」
と、水音達は聞こえてないにも関わらず、ギデオン(過去)に向かってそう怒鳴った。
そして春風も……。
ーーそんな理由で俺殺されるとか冗談じゃねぇぞ! 大体、アンタが勝手に勘違いしたんじゃねぇか!
と、ギデオン(過去)に向かってそう怒鳴ったので、
「そうだそうだぁ!」
「ふざけんじゃねぇぞ!」
「調子に乗るなぁ!」
と、クラスメイト達も春風(過去)に続くように、ギデオン(過去)に向かって口々にそう怒鳴った。
だが……。
ーー黙れ! 全ては「男」でありながら、そんな可憐な少女のような顔付きをした貴様が悪い!
と、ギデオン(過去)にそう怒鳴り返されてしまい、更に……。
ーーそうだそうだ!
ーー貴様が悪い!
ーーこの男の敵が!
と、部下らしき人達からもそう怒鳴られてしまい……。
ーーええ、何こいつら超失礼……。
と、春風はショックでその場に膝から崩れ落ちそうになった。
その後すぐに、
『こ、こ、こいつら馬っ鹿じゃないのぉおおおおお!?』
と、水音らクラスメイト達は再びそう絶叫し、
「こ、これが、歴代最強の、ギデオン大隊長なのですか?」
と、イヴリーヌはブルブルと体を震わせながら、恥ずかしそうに顔を真っ赤にし、
「あらあらぁ。すっごい理不尽な事を言ってくれたわねぇ」
と、キャロラインは笑顔でそう言った。ただし、目は笑ってなかったが。
その後、
ーーもう、あったまきた!
と、春風(過去)は自身の武器である杖を手に取り……。
ーー上等だよこんちくしょうが! おまえら、全員まとめて返り討ちにしてやる!
と、その杖を構えて戦闘体勢に入った。
そして、そんな春風(過去)を応援してるのか、
『いけぇえええええ! やっちまえええええ!』
と、水音達は春風(過去)に向かってそう叫んだ。




