第108話 地下室にて
遅くなりました。
(えー皆さん、こんにちは……いえ、もう『こんばんは』でしょうか、桜庭水音です。僕達は今、再会した春風が仲間達と暮らしてる家の地下室にいます。で、その地下室ですが……)
「……いや広ぉ! 何ここメッチャ広いんだけど!?」
(と、隣で暁君が驚いているように、この地下室凄く広いです。しかもここ程ではないですが、似たような地下室が幾つもあるようです。で、この部屋で今、何が起きようとしているのかというと……)
と、心の中でそう解説した水音が、目の前に視線を向けると、
「「……」」
そこには、再会した「友」である少年・春風と、かつてその春風に斬りかかろうとして返り討ちにあったルーセンティア王国の若き騎士・エヴァンが、お互い向き合っていた。
そんな2人を見て、
(2人の『戦い』が、始まろうとしています)
と、水音が心の中でそう呟くと、
「み、水音君、さっきから誰に解説(?)してるの?」
と、隣にいる祈に尋ねられてしまったので、
「ハッ! 今、僕の心、読んだ!?」
と、水音がギョッとしながらそう尋ね返した。そんな水音に、
「いや、普通に声に出てたよ?」
と、逆隣に立っていた耕がそうツッコミを入れたので、
「う、嘘ぉ!?」
と、水音はショックを受けた。どうやら自分でも気付かないうちに声に出してたらしい。
さて、前置きが長くなってしまったが、水音がそう解説したように、現在、水音達は春風と仲間達が暮らしている家の地下室にいて、そこで春風とルーセンティア王国の騎士エヴァンが戦うそうだ。
「あの日のリターンマッチ、する気はないかい?」
食堂でそう言った春風の言葉が、今も水音の脳裏に残っていて、その言葉を思い出す度に、
(春風。本当に何を考えているんだ?)
と、水音はそう疑問に感じたが、幾ら考えても答えが見つからないので、結局考える事をやめて、目の前で起きようとしてる2人の戦いを見る事にした。
広い部屋の中央で、お互い見つめ合う春風とエヴァン。
そんな彼らの姿はというと、エヴァンはルーセンティア王国の騎士らしく白い鎧を身に纏い、右手には何も持ってはいないが、左手には金で縁取られた白い円型の盾を持っている。因みに、腰のベルトには鞘に納まった長剣をさげている。
一方、春風の方はというと、鎧姿のエヴァンに対して、春風は青いローブを身に纏い、頭には飛行機のパイロットがつけるようなゴーグルをつけていて、左腕には銀色の籠手をつけている。そして、そんな春風の手には、短めの槍にも見える杖握られていた。
水音達が春風とエヴァンを見つめる中、
「な、なぁ水音」
と、進が小声で水音に声をかけてきたので、水音がそれに「何?」と返事すると、
「雪村のあの格好、ヴァレリーさんと戦ってた時の姿じゃね?」
と、進が更に小声でそう尋ねてきたので、
「あぁ、うん。確かにそうだね」
と、水音小声でそう答えた。
そう、確かに今の春風の姿は、映像越しに見ただけではあるが、レギオン「紅蓮の猛牛」のリーダーであるヴァレリーと戦っていた時のものと同じに見えた。
(こうして実際に見ると、確かに春風の格好って、如何にも後衛職……というより『魔術師』の格好なんだけど……)
と、水音は心の中でそう呟いたが、
(いや、でも春風だもんなぁ……)
と、水音はブンブンと首を横に振るいながら、心の中でそう呟いた。
その時だ。
「……ちょっと、良いだろうか?」
と、エヴァンが春風に向かってそう声をかけたので、
「ん? 何?」
と、春風がそう返事すると、
「こんな事を言うのもなんだが、本当に良いのか?」
と、エヴァンは何処か申し訳なさそうな表情でそう尋ねてきた。
その質問を聞いて、
(は? 何を今更……)
と、何故か水音が少し苛ついていると、
「良いよ。俺自身も色々とある訳だし、何より……やられっぱなしなんて、それこそ騎士の誇りが許さない……だろ?」
と、春風がエヴァンに向かって笑顔でそう言った。
『……っ!』
その言葉を聞いた瞬間、地下室内に緊張が走り、水音だけでなくその場にいる誰もが、ゴクリと唾を飲み、タラリと汗を流した。
そんな状況の中、
「……ああ。当然だ」
と、エヴァンが覚悟を決めたかのような表情になり、鞘から長剣を抜いて構え、それを見た春風も持っていた杖を構え直した。
そして、そんな2人の間に、師匠である凛咲が立って、
「それじゃあ2人共、準備は良いわね?」
と、2人に向かって尋ねると、
「ああ、すまない。1つ質問をして良いだろうか?」
と、エヴァンがそう口を開いてきた。
「一応聞くが、この戦いはスキルと技の使用はありだろうか?」
エヴァンのその質問を聞いて、
「はぁ!? ちょっとま……!」
と、水音が抗議しようとしたが、それを遮るかのように、
「ああ、構わないよ。この部屋を見つけた時からかなり頑丈に作り変えたから、ちょっとやそっとの攻撃じゃびくともしないし」
と、春風がエヴァンに向かってそう答えたので、
『いや、待ってそういう問題じゃ……!』
と、水音だけでなくクラスメイト全員がそう口を開いたが、
「だから……全力でかかってきな」
と、春風が静かにそう言い放った瞬間、地下室内に再び緊張が走った。
そして、春風のその言葉を聞いて、
「そうか。ならば……全力で行かせてもらう!」
と、エヴァンがそう言うと、長剣を更に強く握った。
その後、
「それじゃあ2人共、改めて準備は良いね?」
と、凛咲が再びそう尋ねてきたので、それに2人がコクリと頷くと、
「それでは……いざ尋常に、始め!」
と、声高々にそう叫んだ。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の展開を考えていたら、その日の内に終わらせる事が出来ませんでした。
本当にすみません。




