ひめと2人:100万PV達成記念SSのうちの1つ
100万PV達成記念としてリクエスト頂きましたひめとのSSです。
11/2 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正
珍しくオフィスに瑠璃も牡丹もいない。Top Statusの件でバタバタしているんだろうか。
とりあえず受付カウンターへ向かうと、ムスっとした姫子を発見。
いつも無表情なのに、今日は明らかにムスっとしている。
「おはよう、ひめ。そんな顔してどうしたんだ?」
俺の顔を見るやトコトコと小走りに近付き、袖をぎゅっと握って来た。
そんな顔で見つめられると言われもない罪を吐いてしまいそうなんだが。
「まだ終わらないの?」
相変わらず口数が少なく過ぎて、何が言いたいのか分かりにくい。
恐らくトプステの件の事を言っているのだろう。
「まだだな、何も進展してないし。こういう事は焦った方が負けって決まってるからな。
どっしりと構えとかないと」
お? 眉間に皺を寄せている。
ロリ顔でそんな顔されると思春期の娘に毛嫌いされる父親の気分が味わえる事を知った。あまりいい気分ではないな。
何も言わず俺の袖を引っ張ったままエレベーターへ向かうひめ。
どこに行く気だろうか。
「ちょっとだけだから」
何がだ。
エレベーターに乗り込み上へ参るボタンを押すひめ。オフィスへと向かうらしい。
いつも思うがこいつの業務としては今まさに穴を空けている状態だよな? サボってるよな?
俺も一応オーナーだ、注意しといた方がいいんだろうか。
オフィスへ着く。変わらず2人は来ていないようだ。
ひめに促されて、ソファーへと座る。
そして「んしょ」とひめが俺の膝に乗る。俺の手を取り自分のお腹前でクロスさせ、抱っこ状態になった。
「もっと」
もっとぎゅっとしろと? やけにデレて来るな。
顔を覗き込むと口角が上がっている。機嫌は戻ったみたいだ。
無表情キャラに無理が出て来たか? 本当のひめの性格が知れるのはいつになる事やら。
自分で求めて来たんだから、ちょっとくらい俺も堪能していいよな?
ひめの両脇を持って抱き上げ、向きを対面にして再び抱き締める。
「はわっ!?」みたいな声が聞こえた。
頭をポンポンして、髪の毛を優しく撫でる。ツヤツヤで触り心地がいい。
肩に顔をスリスリして来る。可愛えぇ、本当に小動物みたいな奴だ。
少し身体を離し、目を見つめる。
さぁどうする? 無垢な少女を演じ続けるか? それとも女の片鱗を見せるか?
お~っと戸惑ってるな。目がキョロキョロ泳いでる。
おでこにチュッ。ポカポカ、胸を叩くな。
両腕を持って、さらに目を見つめるとさぁどうなる? あ、下向きやがった。
髪の毛が長いから顔が隠れて表情が見えなくなる。
「ひめ?」
呼んでみる。少しだけビクッと反応しただろ今。
はぁ~、可愛いなぁ。可愛いけどイマイチ何考えてんのか分からないんだよなぁ。
これ以上のアクションを起こした場合、ボク男だけどとか言ってた人はどんな反応するんだろう。
そう言えば今日ボクって言ってんの聞いてないな。うわぁ、言わせたい。
「ひ~め?」
下から顔を覗き込むと、「もうっ!」と怒られた。
「ボ、ボクそろそろ戻らないと……」
お、言った言った。
ニヤニヤしていると誤魔化す為にか、ほんの少し触れるか触れないかのキスをされた。
これ以上したら止まらなくなりそうなので自重しておこう。
もう少しだけ無垢で可愛いひめを演じてもらおう。
手を繋ぎ、2人で受付フロアへと向かった。
「ひめは可愛いなぁ~」
そう呟くと、やっぱり口角が上がっている。
そのうちひめの方からボロを出しそうだな。期待して待っておこう。
いつもありがとうございます。
活動報告にて頂きましたリクエストSSのうちの1つです。
あと何話か記念SSを投稿予定です。
本編投稿は今夜22時の予定ですので、よろしくお願い致します。
SSと言いつつ思いっ切り本編を踏襲する流れですね。
SSとは一体……。




