女装を強要シチュ:リクエスト
Vanky様より頂きましたリクエストシチュです。
性癖暴露回ではありませんのであしからず。
10/31 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正
「いいじゃん、見るの私だけだから! 写メらないから大丈夫だってば」
「嫌だってば、何で俺が真由ねぇの服着なきゃなんないのさ! しかもスカートって……」
ファンシーな女の子っぽい部屋で男女が言い争っている。どちらも立っており、男が逃げて女が追いかけている状況だ。
男の方が背が高いが、女に対してそれほど強くは出れない様子が窺える。
「ちょっとだけだから! 下着まで着けろとは言わないからさ、絶対可愛いって、絶対似合うと思うの!!」
黒髪を背中まで伸ばしている真由と呼ばれた女が、幼馴染の男に何とかスカートとレギンスを履かせようと迫っている。
「下着!? そんなん絶対ヤダよ! 俺は変態じゃねぇ!!」
「だからさ、スカートだけでもいいから! お願い!!」
ベッドの上、勉強机の横、本棚の前と動き回って女の手から逃れようとする男だが、唯一部屋の外へと繋がるドアを背に真由が迫って来る為、逃げ切れないでいる。
それほど広くはない部屋を、2人でドタバタと幼き頃のように追いかけっこをしているようだ。
ガチャリ、後ろ手で真由が鍵を掛けた。その音にびっくりしたのか、男が真由の真意を探るように尋ねた。
「真由ねぇ、俺が男だって事忘れてる?」
「そうねぇ、雄馬も昔は私のお下がりの服着て喜んでたんだよ? 結婚式に出る為に買ってもらったドレスとかさぁ。
今じゃすっかり嫌がっちゃって。生意気な男になったこと」
そうじゃなくてさ、俺達もう……、と雄馬が呟く。
諦めたのか、ずんずんと真由へと近付き、鼻先が触れ合いそうになる距離で目を見つめる。
「ん? どうしたの、スカート履く気になってくれた?」
想像していた反応の違う為か。
雄馬はため息と付いた後、小さく深呼吸する。そして真由の手を掴み、強引にベッドへと組み伏せた。
「きゃっ!? ちょっと何するのよもぉ……」
それでもまだ危機感を持たない2つ年上の幼馴染に馬乗りになりながら、雄馬は顔を近付けて耳元で囁く。
「俺は男で、真由ねぇは女だ。いつまでも弟ポジションのままってわけないだろ。真由ねぇが自分で部屋の鍵を掛けたんだ、こうなる事分かってたろ?」
へゃ? っと真由は間抜けな声を出し、途端目をキョロキョロさせて動揺し出す。やっと現在の状況を理解したようだ。
「ちょ、ちょっと待って、とりあえず落ち着こう! ねっ、話せば分かる!!」
足をバタバタさせて雄馬から逃れようとする真由。
必死に身体をねじっているその反応を見てか、ゆっくりと雄馬が真由の身体から離れた。
「はぁ、分かったか? 俺は真由ねぇを……、女として見てるんだぞ。だからいきなり呼び出されて真由ねぇの部屋で2人きりなんて、正直落ち着かないんだよ。もうお互い子供じゃないんだからさ。
その上目の前でズボンを脱げ、このスカートを履けと言われたらさ、そりゃ無理やりにでも俺は男だぞって意識させたくもなるよ」
起き上がりベッドに座った真由は雄馬の目を見れず、枕元に置いていた大きな熊のぬいぐるみを抱き締めるようにして身を隠している。
「雄馬……、そのっ、私……」
「ゴメンな、怖い思いさせたよな。今日はもう帰るから」
そう言って、雄馬はチョコンと頭を下げて真由の部屋を出て行こうとする。
が、真由が雄馬の服を引っ張って呼び止める。
「どうした?」
「ゴメン、今の今まで雄馬の事を弟って感覚でしか見てなかった。私それほどモテるようなタイプじゃないしさ。まさか雄馬が私の事を女として意識してるだなんて……。
押し倒されてすごく焦った。雄馬も男なんだってよく分かったよ。でも、これからも今まで通りにしてほしい、かな?」
「無理だ」
雄馬の言葉に真由の身体がビクッと震える。
「今まで通りなんて絶対に無理。これでもかってくらいに真由に俺が男だってところをアピールしていくから。真由から好きだって言われるまで止めねぇからな。
気を抜いてたらすぐにキスしてやる」
ニシシ、と笑って雄馬は部屋から出て行った。
真由は熊のぬいぐるみを抱えて1人、収まらない胸の鼓動に戸惑っていた。
幼馴染か、やはり世間的には男女の幼馴染はいずれ恋愛関係へと発展すると思っているのだろうか。
そのイメージを定着させたマンガは偉大である。
ちなみに俺は2人のヒーローが甲子園で対決する方のマンガが好きだ。ツーツーレロレロ。
先ほどのアクトレスは幼馴染と呼べるような男はいなかったそうで、楽しそうだからとこのような設定要望を出されたとの事。
俺と夏希は紆余曲折を経て、なおかつ歪な形でやっと最近結ばれたわけだが、それが幸せかどうかは本人達次第だろう。
受付カウンターへ戻ると、またもや姫子さんが待ち構えていた。
「次のご予約まで時間があるけど、どうするの?」
姫子さんは俺の専属マネージャーにでもなったんだろうか。
「一度オフィスに戻るよ」
そう答えると、付いて行っていいかと聞かれた。
別に構わないが、受付嬢としての仕事は大丈夫なのだろうか。
「ボクも休憩だから」
まだ一人称が定まっていないな。心は男だと本人から告げられ、そして冬美ちゃんからは性同一性障害ではないと聞いた。
まだ姫子さん本人の口からその後どうなのか聞いていないな。その辺も含めてオフィスで聞こうか。
「分かった、じゃあ一緒に行こうか」
姫子さんの手を握り、オフィスへと向かった。
この後23時頃に悪役ヒーローの1話目:古宮ひかりサイドを投稿予定です。
お断り屋の次話は明日22時頃に投稿するつもりです。
どちらの作品もよろしくお願い致します。
誤表記修正致しました。




