プレイヤーとしての心得
本日1回目の投稿です。
10/26 感嘆符後のスペース追加、三点リーダーを偶数に変更、ルビ等その他追加修正
「それにしても、信弥さんはこんな場所でデートしていていいもんなんですか?
店のオーナーとしては恋愛は隠れてするようにとか、指導してないんですか?」
「ブッホォ! ゴホンッゲホンッ……、失礼しました。
優希さん、面白い事を言いますね?」
すみません、何か俺のせいで咳き込ませてしまったみたいで。ってか牡丹さん、顔真っ赤ですよ、大丈夫なのだろうか。鼻水出てますよ。
「あのねお義兄ちゃん、お義兄ちゃんはデビューしていないとは言えもうプレイヤーじゃん? で、あたしらと素敵な夜を過ごして今ここでデートしてるわけでしょ?
今さら何を言ってんの?」
あ~、契約したとは言えまだ活動してないからな、自覚なんてカケラもないから分からなかったわ。
確かに俺と瑠璃さんがこんな関係なのに、人の事言えたもんじゃないわ。
「紗雪の言う通りよ、優希君。
でもまぁその質問に答えるならば、何の問題もないの一言よ。逆に私達の指導が行き届いているからこそ、亀西君はあの子と付き合ってるんだから」
指導の上で女の子と付き合う? 仕事とプライベートは別だ! 的な?
「お義兄ちゃん、これから仕事とは言え疑似恋愛する訳じゃん? 例えプライベートでこんな美少女を好き放題出来るとしてもだよ、プレイ中にお客様から告白されたらさ、『お、この女いいな、つまみ食いするか』ってなるのが男でしょ?
それじゃダメなんだよ」
男の浮気心を語る美少女。いいなコレ。何だろう、心は自分の元にあると信じて疑わない相手を、手酷く捨てて傷付けたくなってくる。
「そうですよ! 浮気ダメ絶対!!」
牡丹さん酔っぱらってますね、弱いんですね。その縋るような涙目にちょっとキュンとしてしまいました。もっと泣かせたい。それとちょっと声大きいです。マスターがニヤニヤしてます。
「だから経営者としては彼女を作れって言うのよ。実生活が充実してないと、仕事に支障を来すのよね。
あのプレイヤーはヤれるってなったら店の評判ガタ落ちになるもの」
ほぉ~、そういうもんですか。瑠璃さんはお酒強いですね、飲み過ぎないで下さいよ?
あと紗雪さんはリア充リア充うるさい。どうせ俺は現実が重たいリア重だよ。
「だから今の状況はプレイヤーとしても優希君の実生活にしても、好都合な状況なのよ。私達のハーレムの主なんだから、これ以上相応しい状況はないわ。
例え紗雪が一番若いとは言え、男は同じ女だけじゃ飽きる生き物でしょ? でもあなたには私も牡丹もいるのよ。
成熟しつつある女との恋愛も楽しめるの、いいと思わない?」
あ、この人は絡み酒だ。紗雪さんが眉間に皺を寄せて唇を尖らせている。うりうり、可愛い顔が台無しですぞ。
お、笑った笑った。
「で、プレイヤーデビューする前の詳しい説明はまだしてもらえないんですか?」
「お~、ちょっぉとヤル気になっれいたわねぇ? いいでしょお、じゃぁご説明いあいあしょう」
瑠璃さん、口が回ってません。
滑舌の悪くなった瑠璃さんの説明を纏めるとこうだ。
プレイヤーデビューしたてのプレイヤーランクはFと決まっている。例えオーナーがスカウトした期待の新人であれ、特例はないらしい。
そして、デビューしたてでいきなり指名がバンバン来る事はあまりないので、新人は指名をしなかったお客様へとランダムで割り振られる事になるそうな。
女優ランクなるお客様向けのランク制度があり、低ランクのお客様がいきなりAランクのプレイヤーを指名する事は出来ないようになっている。そういった低ランクプレイヤーと低ランクアクトレスがマッチングする事で、お互いを高め合い、評価し合いそれぞれランクアップに励むのだとか。
プレイヤーが見られる評価項目は2つ、演技表現力と物語対応力だ。
愛想が良いとか一緒にいて楽しかった、なんていう雰囲気作りは無意味だ。お客様のニーズにはあえて居心地の悪い雰囲気でのプレイを望まれる方もいるからだ。雰囲気などニーズごとに指定出来る。それよりも必要なのは役になりきる演技力と表現力、そしてお客様のニーズに合わせたストーリーを展開出来るかどうかが重要らしい。
演技表現力と物語対応力の満点はそれぞれ5点。計10点が1回のプレイにおける獲得可能ポイントとなる。
ランクアップに必要なポイント数はお断り屋協会運営本部のみが把握しており、各自では確認出来ない仕組みにしているそうだ。その方が1回1回に入り込めるんだとか。
また、アクトレスランクは別な評価項目となっている。こちらは減点方式で、過度なお触りや暴力、ストーリー上不必要な色目や誘惑などを含む、プレイヤーがダメだと感じた分だけ減点する方式である。簡単に言えばマナーポイントだ。満点は10点であり、基本的にはほぼ毎回のプレイで10点を得られるようにしてあるのだ。ある意味プレイヤーを守る為の制度である。
プレイヤーはアクトレスをいい気分にさせるのが目的で、アクトレスはその為に最低限のマナーを守らなければならないと言う事だ。
ちなみに、プレイヤーへの評価とアクトレスへの評価はそれぞれの持つスマホアプリ、プレイヤーカードアプリもしくはアクトレスカードアプリを通じて行う。
と、ここまで説明された段階で、テーブルに突っ伏した牡丹さんから部屋に戻りたいですという要請が。
え~っと、部屋に帰りたいではなく部屋に戻りたいと言っているようです。
「そうね、お姉ぇももう何言ってんのか分かんないくらい呂律が回ってないし、ぼちぼち戻ろっか。
マスター、これで」
瑠璃さんとお揃いの黒光るカード。18歳でブラックカードマスターとはさすが大富豪のご令嬢だ。
「はいよ、あまりに見せつけるもんだからお客さんみんな帰ってったよ、商売上がったりだ」
「そう言いつつ、あたし達が来た時点で貸切にしてくれたんでしょ? 優しいね♪」
「ハッハッハッ! そうだろうそうだろう」
ホテルのバーを貸切にさせる宮坂三姉妹、恐るべし。
「お客様、しっかり連れて帰ってやって下さいよ。こんなに楽しそうな3人見たの久しぶりですわ。よろしくお願いしますね?」
「分かりました、分かりましたからその手を離して下さい痛いですめちゃくちゃ痛いって痛い言うてるやろ!!」
前話後書きで今日の昼の投稿はないと言ったな、あれは嘘だ!
次話投稿は本日22時、その次が23時の予定となっております。
書き溜めが残り少なくなって来ました。毎日更新記録を伸ばすモチベーションアップの為、コメント・評価・ブックマークをよろしくお願い致します!
作者アホやから煽てたら木に登るで!
リクエストも合わせてよろしくお願いします!
スマホアプリに関して少しだけ詳しく記述を追加致しました。




