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友達の彼女の告白を断ったら、お断り屋にスカウトされました!  作者: なつのさんち


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ハイプレイヤー総選挙へ向けて準備しよう

タイトルを間違えていたので訂正致しました。

 雑居ビルの中、1フロアぶち抜きで営業していた旧トプステのロビーから店内を見渡す。基夫もとおさんから譲り受けたこのお店を、どのように使うのかの方針を固めてしまわないと。


「方針は決まっているでしょう? ハイプレイヤーズ選抜総選挙で上位に選抜されたハイプレイヤーを出勤させる。ハイプレイヤーとAランクアクトレスとの公開プレイを見学出来るように設備環境を整える。飲食出来るようにする。

 その他にありますか?」


 瑠璃るりはもうその方向で話を進めるつもりのようだ。牡丹ぼたん紗雪さゆきも頷いている。

 夏希なつき姫子ひめは女優業の為、ここにはいない。


「お義兄にーちゃん、この場所をどう使うかよりも総選挙をどんな風に運営するかを先に決めた方が良くない?

 期間とか、総選挙の公表の方法とか」


紗雪さゆきちゃんの言う通りだと思います。優希ゆうきさんからぷれチャンの管理人さんにお願いしてもらえば、あっという間に総選挙が開催される事は周知されると思いますけどね」


 う~ん、箱を整えるのはその後でもいいんだろうか。スペックスのように十分な設備が整っていないから、ある程度小道具を用意したりする必要があると思うが、それよりも選抜総選挙のプランを先に練った方がいいというのが宮坂みやさか三姉妹の総意のようだ。


「総選挙なぁ。投票方法として、アクトレスアプリに投票機能を追加する事って出来るんだろうか」


「あぁ、アプリを通じての投票なら集計が早く済みそうですね。開発をお願いしている会社に相談してみましょう」


 その件は牡丹に一任する事とする。


「期間としては、どれくらい見ればいいんでしょうね?

 長くなり過ぎても間延びしますし、短過ぎても面白くありませんし」


 瑠璃の言う通り、期間をどれくらいにするのかは判断が難しい。アクトレス1人がどれくらいの頻度でスペックスへと通っておられるかの統計も鑑みて決めないとダメだろう。


「紗雪、1人のアクトレスがスペックスへと通う頻度って把握出来てるか?」


「そうね~、はっきりとは言えないけど、多くて月に2・3回じゃない? そう頻繁に通える価格帯でもないし。

 あ、でもAランクにもなるほどのアクトレスなら、週1で通ってても驚かないな」


 俺の体感としては、同じアクトレスと再びプレイするスパンは大体2ヶ月に1回くらいかな?


「アナタはあまり参考になりませんよ、希瑠きる紗丹さたんは特別ですから。アナタの予約が取れなくって、仕方なしに別のプレイヤーへと流れて行っている潜在的な需要も多いでしょうから。

 そんな方々の為のハイスペックな訳ですけれど」


 特別ねぇ、俺自身は最初からそのような状況なので、他のプレイヤーとの差異が把握出来ないでいる。

 信弥(しんや)さんに尋ねても「君は一体何者なんだい?」の決まり文句を貰うだけで、未だに答えを得られていない。


「投票権を得るタイミングはプレイヤーとプレイを終えた後で、プレイしたプレイヤーに限らず投票する事が出来る。

 って事でいいんだっけ?」


 確認するように紗雪が呟いた。想定される問題点としては、アクトレスが投票権だけを求めてフリーマッチングを適当にこなされる可能性だ。

 フリーマッチングは大抵の場合、指名の付かない新人プレイヤーがお相手する事が多い。推しプレイヤーへ投票する為に、新人プレイヤーがアクトレスからおざなりな対応を受けるかも知れない。


「新人プレイヤーが顔を売る機会と捉える見方と、捨てられるCDと同じだと捉える見方があると思う。

 正直、事前にプレイヤースキルの向上を計っておきたいところだな。新人プレイヤーを集めてある程度指導が必要かも知れない」


「あ~……、お義兄ちゃんは受けてないから覚えてないかも知れないけど、一応デビューする前に研修があるから」


 そういえばそんな事言ってたな、どんな事するんだろう。ってか役員になったからにはそこらへんにも目を向けるべきかな。

 新人教育としての指導法なんかは分からないけど、俺もそれなりにプレイ経験を積んだ。後輩に教えてやれる事もあるだろうと思う。


「よし、じゃあ俺が後輩プレイヤーに指導するって機会を作ろう」


 そこまで言ってから気付いた。自慢じゃないが乗り気ではないアクトレスを相手した事がないわ。

 みんなキラッキラした目でプレイしてくれるから、乗り気じゃないアクトレスをどうプレイに誘導して行けばいいのか分からない。


「あくまで新人指導としてではなく、乗り気じゃないアクトレスに対してどうお相手を務めればいいか。つまり自分をどう売り込んで行くかという事に焦点を当てた研修がいいと思うんだ。

 だから誰かにその乗り気ではないアクトレス役をしてもらって、どう立ち回れば今後自分を指名してもらえるようになるのかのロールプレイングをしたいな」


「それいいですね! ちょうどこの場所が空いてるのでここで研修を受けてもらいましょう」


 牡丹の眼鏡がキラリと光る。スペックスとしては総選挙を通じてハイプレイヤーを選抜出来て、なおかつ新人プレイヤー達を育てて全体を底上げする機会になる。

 旧トプステをハイスペックスとして立ち上げる事で、人気プレイヤーがスペックスに出勤する機会が少なくなる分、プレイヤー全体の底上げはとても重要な課題だ。


受付嬢達(エキストラアクトレス)に協力してもらいましょう。もちろん私も牡丹も紗雪も、出来るだけ研修に参加します」


 瑠璃も選挙前研修に賛成のようだ。牡丹もメモ帳に何やら書きながら頷いている。牡丹の秘書らしき姿を久しぶりに見た気がする……。


「何にしても、まずは総選挙の開催期間をどれくらいの長さにするかですね。スペックスへ戻って、アクトレス達がどれくらいのスパンで通っておられるかの統計を取ってみましょう。

 アプリの投票用のアップデートもすぐに出来るとは思えませんし、総選挙の告知もどれくらい前からすればいいのかも合わせて考えないと」


 事前告知のタイミングか……。告知自体はスペックス内でポスターを掲示するなり、千里(ちさと)さんに頼んでプレちゃんで情報を流してもらうなり出来る。

 牡丹が言いたいのは、告知のタイミングが早過ぎれば総選挙用の投票権を得られる期間までスペックスへ通うのを控えるアクトレスが出て来るかも知れない、という事だろう。


「告知のタイミングが早ければ通い控えが出て売り上げが落ちるかも知れない。直前過ぎると周知出来ない可能性がある、という事か。

 確かに難しいな」


 これも俺の知的顧問(ブレーン)を務めてくれている千里さんに相談してみよう。美代みみにもアクトレスの動向を探るべく動いてもらう必要があるかも知れない。


 うん、これからすべき事が少しずつ見えて来た。物凄く忙しくなりそうだけど、ワクワクしている自分がいる。

 いつの間にかどっぷりとプレイヤー業、そして経営者としてスペックスを運営する事に楽しみを見出している。

 全てが全て上手く行く訳ではないだろうけど、自分が、いや俺達全員がやり切ったと納得出来るモノを作り上げたい。




「お義兄ちゃん、いい顔してるね」


「ええ、本当に。優希君の顔がイキイキしているわね」


「優希さんの出してくれたアイディアですもの、絶対に上手く行くわ。私達も頑張らないとね」



いつもありがとうございます。

明日朝8時に「好きなのに理由って必要ですか? と彼女は言った」の第3章を開始致します。

現実世界恋愛のラブコメです。よろしければ合わせてよろしくお願い致します。


また、Fantiaというサービスに登録致しました。

(URL: https://fantia.jp/natunosannti)

Fantiaはクリエイター支援サイトなのですが、私のページは無料モニタープランに加入して頂ければ全て無料で閲覧して頂けます。

小説家になろうへと投稿する前の、新作の準備稿(ハイファンタジーとローファンタジー)を置いております。

先ほど挙げた作品、「好きなのに理由って必要ですか? と彼女は言った」の第3章の10話まで公開しております。


詳細は私のTwitterアカウントからご確認下さいませ。



近々上記サイトに置いておりますローファンタジーの連載を考えております。

連載開始の際はよろしくお願い致します。


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