瑠璃とのバレンタインデー
「アナタ、起きて? 今日は朝から忙しいでしょう?」
「ん……? あぁ、もうそんな時間か。おはよう、瑠璃」
ベッドから出て立ち上がり、ゆっくりと伸びをする。
「アナタには奥さんが多いんだから、早くみんなの愛を受け取りに行かないと」
そう言って手を広げる瑠璃を抱き締める。
甘えられたいし、甘えたい。正妻としての自分と1人の妻としての自分を、上手にバランスを取って切り替えられる女性だ。
しかし妻以外の女性に対しての嫉妬は過剰なほどに激しい。そういう時だけポンコツになるのも可愛いと言えば可愛いんだけど。
「そうだな。でも一番最初に貰いたいのは、お前からの愛だ」
耳元で囁く。あっ……、と漏れる吐息。首筋から順番にキスをして、最後に唇を奪う。
「んっ……、もう。ダメよ? みんなが待ってるんだから」
「愛してる」
背中を撫で、少しずつ手を下へ下へと移動させる。身体を離そうとする力に抗いながら、張りのあるその弾力を楽しむ。
唇から再度首筋へ、そして肩から鎖骨へとキスを降らせて、そのほんのりと甘い匂いを吸い込んでいると、顔を両手で掴まれてしまった。
「ア・ナ・タ? 続きはまた、よ?」
少し潤んだ瞳。目尻が下がっている。
濡れた唇を指で撫でる。
「ふぅ……、分かったよ。でも、その時を期待してるからな?」
「ふふっ♪ もちろんよ。あ、そうだ。忘れるところだったわ」
両手を胸の前で合わせて、後ろを振り返り何かを取り出す瑠璃。
「はい、アナタ。どうぞ、チョコレート♪」
次話は19時投稿予約済みです。




