君は誰とキスをする?:クリスマスSS
クリスマスイヴ。早い物でハーレムの主になってから数ヶ月が経った。
いずれはこの日を迎えるという事は分かりきっていた事だけど、プレゼントを用意したり何気なく何が欲しいか探りを入れられたりして、1人悩んだり迷ったりしているうちに結局当日の朝を迎えてしまった。
スペックスビル最上階の家、そのダイニングで朝食を摂っている。
「俺は誰と過ごせばいいんだろう……」
「お義兄ちゃん、何言ってんの?」
思わず溢した独り言に、すかさず紗雪からのツッコミが入る。
「そうですよ、何を仰ってるんですかアナタは」
「優希さん、ちょっとそれは……」
「……」
瑠璃と牡丹から容赦のない追い打ち。さらに姫子のノーリアクション。
俺、そんなにダメな事を言ったんだろうか……?
「あのね、お義兄ちゃん。お義兄ちゃんは何の主ですか?」
改めて聞かれたら困ると言うか、変な感じになる。
「は、ハーレムの主です」
「アナタのお嫁さんは何人いますか?」
未だかつて、こんな質問をされた事があるだろうか。
「え~っと、5人です」
瑠璃・牡丹・紗雪・夏希・姫子、心の中で数えてしまった。
「5人でいいのね……?」
牡丹が俺の顔を覗き込むように聞いて来る。それは美代の存在をどう思っているのかを確認しているのですか……?
あくまでみみは愛人扱いなので、嫁は何人かと問われるのであればみみは含まれない。
だから俺はコクコクと頷く。
「そう、5人なんだ。みみちゃんも呼んであるんだけど、あたしの早とちりだったかな?」
呼んである……?
「アナタ、今日は何の日ですか?」
「はい、クリスマスイヴです」
「クリスマスイヴとはどんな日ですか?」
「え~っと、恋人や家族と過ごす日、でしょうか?」
「そうですよね? だから今日はみんなで過ごします」
みんなで過ごす?
「ハーレムなんだから、1人に絞ってその人と2人っきりで過ごすなんて事は出来ないでしょう?
それともアナタはハーレムの中で1番は誰だ! って人を決めているんですか……?」
正妻たる瑠璃が上目遣いで俺を見つめて来る。あ、瑠璃だけじゃなかった。うわぁ、みんなが期待するような目で俺を見つめる……。
これぞ正しく針の筵か。
「みんな誰もがオンリーワンです」
その一言で、期待する目から一斉にジト目に変わる。
いやいやいや、ハーレムなんだからって言ったのは皆さんですよね!? ここで1人に絞ったらハーレム崩壊するじゃんか!!
「ま、良しとしましょう。今夜はここでクリスマスパーティーをします。夏希ちゃんとみみちゃんにももちろん声を掛けてあります」
夏希はもちろんとしても、みみまでとは……。
「今日はイヴだからお客様のリクエストもハイレベルだと思うけど頑張ってね。お義兄ちゃんの仕事が終わる頃には夏希も来てると思うよ」
そう言えば夏希とも連絡出来てなかったな。クリスマスが近付くにつれて店全体の来客がグンと上がって予約だけでなくフリーマッチングにも出ずっぱりだったし、夏希は夏希で年末年始の特番だ何だと引っ張りだこみたいだし。
お互い売れっ子という事か。
「私もエキストラアクトレスとして一緒にプレイする予定」
「そうだな、ご予約のアクトレスの傾向から、多分俺とひめがくっついて、アクトレスが捨てられるプレイなんじゃないかな。
ま、よろしく頼むよ」
コクリとひめが頷く。
何にしてもここ最近ぐじぐじ悩んでいた事が解消された訳だ。誰か1人を選ぶ必要なんてないんだ。
よし、今日も頑張ってお断りしますかっ!
「「「「いってらっしゃい」」」」
気合を入れて出勤したはいいが、予想を遥かに上回るレベルのプレイでくったくたになってしまった。
ひめがエキストラアクトレスとして参加したプレイに関しては本当にヤバかった。途中これって裏オプションだったっけ? と勘違いしてしまいそうになるギリギリの線だった。
何とか全ての予約を終えて、エレベーターで最上階へと帰って来た。
「「「「「「お帰りなさい」」」」」」
玄関を開けると瑠璃・牡丹・紗雪・夏希・ひめ・みみと全員に迎えられた。
6人共がミニスカサンタコス。いつの間に衣装を合わせたのか。
腕を取られ、リビングへと急がされる。
「お疲れ様、最近特に忙しかったんでしょ?」
夏希も忙しいだろうに、わざわざ時間を取ってくれたんだろう。でも口に出すとまた怒られそうなので自重する。
「似合ってるな、それ」
へへっ、いいでしょ~とクルリと周る夏希。
「は、履いてないんだよ」
何をだよ。絶対紗雪に言わされてるだろ、それ。
「ご主人様、奥様にお招き頂いたのでご一緒させて頂く事になりました」
「ご主人様は止めろって言ってんのに」
みみは黒いガーターベルト装備で長い脚を主張している。触りてぇ……、いかんいかん! 先ほどのプレイが尾を引いているようだ。
「ゆう、メリークリスマス!」
パンッ! うぉい!? いきなりクラッカー鳴らさないでよお姉ちゃん!!
「見て見て優希、みんなで作ったんだよ。どれも美味しそうでしょ!!」
さゆがその場でぴょんぴょん跳ねる。谷間がたゆんたゆんと揺れる。
「うん、美味しそうだな。楽しみだ」
それにしてもアレか? クリスマスだから牡丹も紗雪も2人きりの時だけの呼び方でも問題なしってか?
まぁ最近はだいぶんあやふやになって来ている感はあるけど。
とてとてとひめが俺に近寄って、抱き着いて来る。
「プレゼントは、私」
ギュッと抱き返す。首にリボンを巻いているのはこれを言う為か。
「さぁさ、夜はまだまだこれからよ! みんなで乾杯しましょう!!」
瑠璃をキッカケに、クリスマスパーティーが始まった。
「っと、その前に……」
と思ったら、まだ始まらないらしい。
みんなが俺を前に横一列に並び、目を閉じて手を後ろに回す。
「アナタ、今朝言いましたよね? 誰と過ごせばいいのかと。それはつまり、誰を一番にすればいいか迷っているって事ですよね?
ならばここで決めてもらいましょう。優希君が一番だと思っている人に、キスをしてもらいます。
さぁ、早く♪」
うわぁ、仕掛けて来たよ……。でもこれって俺があの一言を言わなくても絶対やってたよな? 悪質なイタズラだなぁ!
ここで「選べないよ!」 とか「みんなが一番さ!」 なんて言っても白けるだけだ。
全員にキスをする事は規定事項。重要なのは一番最初にキスをする相手が誰なのかという点だ。
素早くチュチュチュッ! とキスして行けば誰が一番だなんか分からないハズだ!
いやそんな事はないか……。
嫁ではない、という理由からみみは一番最後。これは確定。みみもそれは分かっているはず。
嫁の中で一番にキスをするのは、いや一番最初にしたいと俺が思うのは誰なのか。
誰と今日この日、クリスマスイヴを過ごすのかずっと悩んでいた。そして今朝まで決められずにいた。
それを今決めろと。どうするべきか……。
正妻……。
お姉ちゃん……。
同い年の義妹……。
幼馴染……。
マスコット的存在……。
目を閉じて小さく息を吐く。
意を決し、俺が最初にキスをしたのは………………
お好きな嫁で続きを妄想して下さいませ。
メリークリスマス!
アンケートなるものを取り入れてみました。
https://goo.gl/forms/pA98UlrWeQimxEUJ3
上記URLにて作者から皆様へ質問がございます。
ご協力頂ければうれしいです、よろしくお願い致します。
誤字訂正致しました。




