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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第2章 幻想闘牌浪漫譚
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第51話 ローン王国の国王

 突如アテム大森林からローン王国へと向かって、侵攻を開始したSランクモンスター。

 災害級のカラミティピークスから王国を守った件で、ズークは王城へと呼ばれていた。

 これでズークが討伐したSランクモンスターは2体目となり、この世界で3番目の討伐数に到達。

 過去を遡ればもっと多く倒した者も居るが、現在進行形では世界3位の実力者になったと言える。

 そんな世界に誇るべく英雄となった赤髪の美丈夫は、ギルドで借りた正装を着て謁見の間に通された。


 ギルドから借りた正装は、スーツと呼ばれている式典等で使われる衣服だ。

 上からジャケットにシャツ、ネクタイとスラックスと呼ばれている上下一式をスーツと呼ぶ。

 かつてこの世界に来た勇者が、最初に来ていた服装を元にしていると言われている。


 この服装ならば、どの様な場であっても失礼に当たらない万能な衣装だ。今ズークが借りているのは、真っ白な上下に赤いネクタイ。

 派手な赤髪をしているズークに、良くマッチしていた。美しい大理石で作られた王城の謁見の間で、ズークは落ち着いた様子でカーペットの上を歩いて行く。

 無駄にスーツ姿と革靴が似合っていて腹立たしい。そのまま近衛騎士達の横を通って、ズークは国王の前で跪く。


「ズーク・オーウィング、ただいま参上致しました」


「面を上げよ」


「はっ!」


 形式的なやり取りを終えて、頭を上げたズークの前居たのは45歳の現ローン王国の国王。

 鮮やかな長い金髪を後頭部で纏め、豪華な王冠を被った強面の中年男性。綺麗に整った口ひげが上品さを醸し出している。

 彼の名前はゲーティア・ローン・ゼンリボ。先祖代々続く第56代国王をやっている男性だ。

 趣味は狩りと魔動車の収集であり、45歳になっても少しヤンチャで若々しい所がある。


 魔動車とは異世界から伝来した、自動車という道具を魔道具として再現した乗り物の総称だ。

 魔力で動く特殊な車両であり、非常に高価なので高位の貴族か王族ぐらいしか買えない超高級品。

 金に余裕があるAランク以上の冒険者でも、ただ単に購入するだけならそう難しくない。

 ただ各種部品が高価で、維持費がkなり掛かる。所有だけして鑑賞用にするなら費用を抑える事は可能だが。


「お久しぶりです、陛下」


「またSランクを倒すとはな。流石はわが国の英雄だ」


「勿体なきお言葉」


「そう謙遜するな、私の本心だぞ」


 これまでに何度も顔を合わせており、ゲーティア国王とズークは結構親しい間柄だ。真に残念ながら。

 ズークはローン王国の王族から好かれており、誰からも好意的に見られている。

 やはり大きな戦争もなく、刺激的な話題に欠ける現在では娯楽に飢えている人が多い。


 かと言って王族が、平民向けのケイバ等に興じるわけにはいかない。あまり体裁の良い話ではないだろう。

 一応貴族や王族向けのケイバもあるのだが、そちらはどちらかと言えばゲスな趣味を持つ者向けである。

 騎手を娼婦や男娼にやらせるタイプの、そういった目的で行われる裏の興業だ。そしてローン王国の王族はそちらの方面に興味が無かった。

 その代わり収集癖があったり、冒険者の話題を聞きたがったりする。


「まあ良い。今回も国を守ったのだ、褒美を出さねばならん。前回同様に、3億ゼニーを国から払おう」


「ですが陛下、今回は俺1人の成果では」


「分かっておる。参加した他の者にも相応の褒美を出す予定だ」


 先ずは最もランクの高いズークから、そうやって順番に労う予定になっていた。

 もっともこうして王城にて、1対1で労うのはズークだけだ。Aランクの冒険者は全員纏めてこの謁見の間で、Bランク以下は全員王城の庭にて労いと報酬の受け渡しが行われる。

 ズークやリーシュ達については大金になる為、手渡しではなく後日冒険者ギルドに送られる。つまりズークの手元に渡る事はない。

 一部だけでも受け取って娼館へ、などと考えていたズークだがファウンズ支部長に先読みされていた。一銭も手渡される事なく、しっかりと借金返済へと回される。


「それより久し振りに王城に来たのだ、娘の所へ顔を出してやってくれ」


「構いませんが、よろしいのですか?」


「お前は特別だ。気にせず会ってやってくれ」


 未婚の王女に男が会いに行って良いのか問うたズークだったが、ゲーティアの方は特に気にしていないらしい。

 特別の意味が良く分からなかったズークだったが、第1王女は好みと言えば好みだった。

 1歳年上で年齢も近く、見目麗しい大人の女性だ。今もまだ婚約者が居ないのは、良いと思える相手が居ないからだとズークは聞いていた。


 そんな結婚相手を探している娘に男と平気で会わせる特別の意味を、ズークは気付いていなかった。

 父と娘の戦略にハマっていると気付いていないおバカなお花畑は、ホイホイと向かう事を決意する。

 ローン王家にSランク冒険者の血を取り入れられたら、そんな事を考えている2人の計画にズークは微塵も気が付いていなかった。


「それでは陛下、俺はこれで」


「ああ。その内また、ゆっくり話をしよう」


「はい、いつでもお呼び下さい」


 ゲーティアは国王である以上、様々な仕事をこなさねばならない。カラミティピークス戦についても詳しく聞きたかったが、それはまたの機会に回される事となった。

 そのままの足でズークは、第1王女の執務室へと向かって行く。

王族の名前は、最初期の時点でふざけ倒そうと思って決めた名前です。

カレンよりも先に設定が出来ていました。メインヒロインより先に決まるネタキャラ。

ゲーティアはGTRの読み方を崩したものです。高級車が好きな全リボ国王様。うーんこの国。

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