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金使いと女癖が悪すぎて追放された男  作者: ナカジマ
第1章 (借金が)10億の男
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第46話 緊急連絡

 いつもの様に授業をしていたズークの冒険者カードから、緊急連絡を知らせる警告音が鳴り響く。

 これは冒険者カードが持つ特別な機能であり、特定の相手に向けて冒険者ギルドからメッセージを発信出来る。

 今回はローン王国内に居る、Bランク以上の冒険者全員に発信された召集連絡だ。

 ズークが胸ポケットから取り出した掌サイズのカードから、空中に文字が浮かび上がる。

 そこにはカラミティピークスが王都へ向けて侵攻中である事と、討伐隊への参加要請が書かれていた。


「あの、先生それは一体……」


「悪い、ちょっと緊急の用事が出来た。全員この教室で待機だ!」


「は、はぁ」


 魔法の授業を教えていた教室から急いで飛び出したズークは、先ず真っ先にメリーナがいる学園長室を目指す。

 途中で同じ事を考えたリーシュと合流して、2人でメリーナに今入った情報を伝える。

 それからの行動は早く、メリーナは学園内の生徒達を集めて避難に向けて動き出す。

 ズークとリーシュの2人は、学園から借りた馬に乗り急いで合流地点を目指して移動を開始。

 カレンから書かれていたメッセージには、アテム大森林から王都までの間にある3つの砦の内、3つ目の砦であるポジットが合流地点と書かれていた。


「ったく、災害級ってのはいつも突然だな!」


「本当に迷惑しちゃうわ」


「急げば今日中に着ける、頼むぞお前ら!」


 ズークは学園から借りている杖を使い、聖属性魔法に分類される身体強化魔法を2頭の馬にかける。 

 元々の倍以上になる速度と体力を獲得した馬は、猛烈な速度で草原を進んで行く。

 昼前に学園都市ライアーを出発した2人と2頭は、日付が変わる頃には最終防衛ラインであるポジットに到着していた。


 本来なら2日は掛かる距離を、強化魔法等を駆使して半日程度で到着している。

 この辺りもSランク冒険者故の成果なのだが、普段からこれだけ有能であればと思わずには居られない。

 もうそんな領域は既に乗り越えているリーシュは、何も言わずに夜の警備に当たっている騎士に声を掛けた。


「私は冒険者のリーシュです。状況を教えて貰っても?」


「貴方があの、おっと失礼。今は1番砦で本隊が侵攻速度を抑えていますが、恐らく朝には突破されるでしょう」


「そう……何とか間に合った様ね」


 現在騎士団長が率いる王国騎士団の本隊が、寝る間も惜しんで戦闘中だ。しかしその圧倒的戦闘力の前では、抑えるのが精一杯であるのが現状。

 元々対人戦闘に重きを置く騎士団だけでは、討伐や撃退はそう簡単に行かない。

 騎士団の対モンスター戦における戦闘力は、冒険者に例えればBランク相当だ。

 砦を使っているとは言え、抑えられているだけマシだった。人間同士の集団戦と違って、個の能力が著しく高いモンスターとの戦いは全くの別物。

 こう言った事態では、迅速に動ける騎士団が先行し本命の冒険者達に繋ぐのがセオリーである。討伐や撃退は専門家に任せて、後は支援に回るのが彼らの戦いだ。


「リーシュ、俺達は先ず休もう。夜が明けてからが本番だ」


「ええそうね。いきましょうズーク」


「夜の番は我々に任せて下さい」


 有名な最高位の冒険者が到着した事はすぐに砦内に広まった。騎士達の間で安堵が広がり、騎士達のモチベーションも上がる。

 ただ何故かズークがSランクパーティとして行動していない事に、彼らは若干の疑問を覚えた。

 ズークがソロになったという噂は既に国内に流れていたので、噂は本当だったのだろうと彼らは納得する。

 本当はアホでバカな男が追い出されただけだが、残ったメンバーがまともだったので悪い噂は流れていない。


 そんな事をしても何1つ自分達の得にならないと、真っ当な判断がなされた結果であった。

 ともあれ緊張感が少しだけ和らいだのは間違いなく、この戦いに勝てるというムードが広がって行った。

 夜明け頃には冒険者達が続々と到着し始め、ファウンズに依頼されたバックスがズーク用の装備を手渡す。


「なんだよ、粋な事してくれんじゃんか」


「でもズーク、手紙には終わったら返せって書いてあるわよ?」


「……(頷く)」


 事が事だけに、急いでファウンズが支部長として用意した数々の装備品。

 発動体が付いたマナ鉱石で作られた剣に、鎧や手甲など装備一式がズークの手に渡った。

 どれも一級品と呼べる品々だが、ズークが元々持っていた装備より確実に1段階は下がる。

 元々使っていた装備類は全てダンジョン産であり、同じ物を用意するのは先ず不可能だ。

 売り払われたそれらはオークションに出された後であり、全て国外に行ってしまっている。


 今更買い戻すのも難しく、キャッシュの街で手に入る最高級品を用意するのが限界だった。

 人間が使う物としては文句の付けようもない一品揃いだが、相手が災害級のモンスターとなると少し厳しい。

 だが今回の戦いは、ズーク1人で戦うわけではない。他の冒険者達と連携しながら、全員で討伐を目指す。

 それに共に戦うリーシュも居るので、激戦にはなっても戦力不足という事は無い。

 後は騎士団の面々が良い具合に相手を疲弊させながら、ここまで撤退して来るのを待つのみだ。

3番砦は預金の意味を持つデポジットから。

1番はクレジットカードからレジット、2番はウォレットです。

クレカ→財布→預金(口座)と失うとヤバイ順にしています。

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