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目を開けると、白い天井が見えた。

寮のベットより、よほどふかふかのベットに横たわっている。

身体の痛みも何もないし、なんだか気分もいい。

ここが天国か。

周りを見渡すとドアの前に双子の天使が立っていた。



ん?すごく見覚えがある。もしかしなくてもジーンとペギー??

「おはようございます」

「いま主を呼んでまいります」

二人はいつもの無表情のまま告げ退室して行く。


私まだ生きてる??ルーベンスは?どうなったの!??


じっとしていることができず、ベットから飛び起きる。

絨毯の床に足を着いた所で足がもつれ、べしゃりとそのまま倒れこんだ。

「あらあら、まだ起きては駄目よ」


頭上から声がして見上げる。深緑のドレスに身を包んだアルマがいた。

彼女は私を抱き起こしベットまで支えてくれた。


「ルーベンスは?どうしてまだ私死んでないんですか!!?」

アルマのドレスの裾を掴み訴えた。



「落ち着いて。順番に話すわ」

アルマはベットのふちに腰掛け、私の微笑みかけた。

「まず、あの子は大丈夫よ。まだ万全ではないけどね。起き上がれるまでには回復してます。あなたは6日ほど眠りつづけたの。身体は何処かおかしい所はないかしら?」


アルマの言葉に歓喜した。

ルーベンスが無事で本当に本当に良かった!!!

では私はなぜ平気なのだろう。?

ふと、胸元を見ると以前と同じように首飾りがかけられている。

球体の飾りも傷一つなく元通りになっていた。


「そのね・・・ふふっ」

アルマは耐えきれないといった風でいきなり笑い出した。

「ふっふふ。こめんなさいね、我慢出来なくて」

なぜ笑出したか理解できず訝しげな顔の私を見てアルマは更に笑う。

「あの子の為にあなたがあんまり一生懸命だったから、ついつい話に乗ってしまったの。あの程度の怪我で命を落とすほどあの子は柔じゃないわ。お陰で、素敵な告白が聞けて良かったわ」

「騙してごめんなさいね」とアルマは目尻に涙を浮かべて言った。


「えぇぇえぇぇぇぇぇ!??」


なんてことだろう。あまりの恥ずかしさに頭を枕で覆った。私は一人でルーベンスが危ないと勘違いして、私の身体を返せば助かると信じていた。

その時うっかり盛り上がって「愛してる」と頷いてしまったような気さえする。


正直に言えば、まだ愛してると言えるほどルーベンスに対して考えたことがない。

彼を思うと何故だか心が温かくなる、それを最近自覚したばかりに過ぎなかった。


恥ずかしさで悶絶をする私にアルマは言葉を続けた。

「南の森にいた少年についてだけど10日後、もとの世界に送り届ける予定よ。今は然るべき場所で保護されているわ。でも本当にいいのかしら?彼には同情すべき点はあるけれど、この世界で沢山の魔力を奪った罪人よ。こちらの世界では流刑という形になったけれど。あなたの世界に返していいの?」


「・・・・サバラくんは大丈夫です。元はきっとさやしい子のはずだから。」

そう言う私にアルマはサバラくんの処遇について教えてくれた。今は処罰が確定したので、魔術士により身体が与えられていること。

ルシは帰るその時まで側に寄り添っている事が許されたこと。

彼が無事帰れるようにアルマが尽力を尽くしてくれたのだ。

感謝してもしきれない。


「あなたとあの少年は会って数日。しかも監禁までされていたのに、どうしてそんなに思えるのかしら?」


「・・・・もしかしたら、私がそうなっていたかもしれないからです。だから、私がこの世界に来ていろんな人に優しくされて嬉しかった事を彼に返したかったんです、って私何もできなかったですけど・・・」

その言う私にアルマは微笑み、頭を撫でてくれた。

「数日はここにいて休んで、食事を持ってくるわ」

と言うと部屋を出て行った。


その後、果物を持ってグレゴリがこっそりお見舞いに現れ、直ぐに双子に見つかり一悶着あったり。

アリアさんが花束を持って現れた姿は王子様みたいでうっとりしてしまった。

彼女も大変な任務に着いていたそうで、その話にハラハラ興奮した私に彼女は「まだ病み上がりだから続きは今度にしよう」とあっさり帰ってしまった。

職場の上司のグリフとテイラーは手紙で「早く治して戻って来い。人手がたりない」と書いて寄越してくれた。


数日が過ぎ、ルーベンスはいつまでたっても現れなかった。

まだ動けないくらい調子が悪いかもと心配して、ジーンとペギーに聞いてみると「仕事には復帰しています」と答えが帰ってきた。



会いたい思いばかりが募る。明日の朝会いに行こうと考え、眠りについた夜更けに彼は現れた。



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