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長い通路をひたすら歩き、離れにある部屋の前で騎士は立ち止まる。

「中でお待ちです」

軽く扉を叩いてから入室する。

先程の美しい王女様がそこにはいた。


美しい女性は硬い表情をしていた。

「あなたには私がどう見えますか?」

唐突な質問に戸惑いを隠せない。

「えっと・・・すごく綺麗なアリアさんに見えます・・」

そう答えると目の前の美女は手で顔を覆った。

「どうやら、あなたには術が効いていないらしい」


「どういうことですか?」

「詳しくは話せないのだが・・・本当の王女は今、城にはいない。私がその王女の変わりに見えるように魔術士が城全体に術を施している。なのに、あなたには効かなかったらしい。」


何のためにと疑問で頭が埋め尽くされる。

「どうして、アリアさんが王女様の身代わりを・・・」

「すまないが、それ以上は話せない。・・・その上でお願いしたい。この事は誰にも話さないで欲しい。今使われているのは強い暗示のような魔法だ。この事を口外されると疑心が生まれる可能性がある。」

「そうなるとまずいんですね?」

そうだとアリアは頷く。

「わかりました。誰にもいいません、約束します」

「すまない・・・」

そして私の頭に手を置くと子どもにするそれと同じように撫でられた。

「今日は一段と綺麗だ」

と言い優しく微笑む。

アリアさん、綺麗なお姫様の格好してるのにはずなのに、なのに溢れ出る男前オーラはなんだろう。


「そろそろ、時間です」

扉の外から声がする。

アリアは頭の手をするりと下ろした。

そして、強い口調で言った。

「あと、半刻したら城には決して近づかないで欲しい。なるべく遠くへ移動してくれ」

アリアは頼んだぞと言うと足早に部屋を後にする。


アリアさんきっと何か危険なことしようとしてるんだ。話を聞いた瞬間から城内にあるピリピリとした空気を感じ取れた。

きっと、私の知らない所で何かが起きようとしているんだ。


元来た道を戻ると、大広間は人がまばらになっていた。

「どこ行ってたんだ、捜したぜ」

グレゴリが足早で向かってくる。

「ごめん・・・」

「まあ、いいさ。それより天恵祭が中止になった。城門を閉鎖するから今すぐ外に出ろって話だ」

「閉鎖するの?」

そうだ、とグレゴリは言うと私の腕を掴んで歩き出す。

「嫌な臭いがする。よくないのが入り込んだ匂いだ。早くここから出るぞ」


始終無言のまま門の前まで引きずられるように歩いて、はたと気づいた。

鞄がない。

「ちょと待って、鞄を忘れた。直ぐに行くから先に行ってて!」

と踵を返す。

「今はやめとけ!」

背後からグレゴリの声がした。

「ごめん!すごく大事な物なの!」

そう言って走り出す。


さっきバルコニー出るまでは持っていた。そこに落ちているかもしれない。

逆走する私は時々人にぶつかりながら進む。

その度にすいません、すいませんと声をあげた。

バルコニーの片隅に鞄は確かに落ちていた。

ホッとして拾い上げる。



その瞬間、爆音とともに大きく建物が揺れた。

私は立っていられず、手すりに持たれかかる。

もう一度爆発音がしたかと思うと私の体は宙に浮きバルコニーごと落下していた。


「きゃぁぁぁぁぁーー」

ありったけの声を出し叫ぶ。

いずれ来るであろう痛みに恐怖した。


しかし、いつまでたっても私の体は地面にぶつかることなくフワフワと浮かんでいた。

そして、ゆっくりと地面に降り立つ。

上を見上げると壊れたバルコニーがスローモーションで落下していた。

思わず身を屈ませしゃがみ込む。

だけど、いつまでたっても衝撃が来ない。


薄っすら目を開けると、私を守るように男性が立っていた。

男性が手を大きく動かすとバルコニーは離れた位置に落下して激しく壊れた。



「どうしてこんな所にいるんですか!!」

叱責され、男性を見上げた。

そこには銀色の髪が揺れていた。


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