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人の列はゆっくりと進み城内の謁見の間へと進んで行く。
城内には等間隔で白い服の騎士が立っている。
「ねぇ、グレゴリ。どうして騎士団の人って時々違う色の服きてるの?」
裾を引っ張り小声で尋ねた。
「あぁ、所属が違うからじゃねぇの。今ここで白い服着てるのが第一。町とかにいる黒い奴らが第二、あと残りの青い服のは第三」
「へぇ、違うんだぁ」
「白服は貴族が多いから俺はあんまり好きじゃねぇ。黒いのは戦闘に秀でたさっぱりした奴ばかりだ。時々、第三に出入りしてるけど可愛い女の子が多い」
「ふぅーん」
「あ、ヤキモチ焼かないでくれよ」
「焼いてないよ?」
「・・・・」
グレゴリは脈がなさすぎて泣けるとぼやいていた。
そうしている間に王のいる謁見の間に着いた。
正面に着席しているのが王様か。
イメージしていた髭も蓄えていないし、王冠もつけていない。歳も20代くらいに見える。
金髪に甘い顔立ちで周りで見惚れている女性が数名いた。
「左にいるには誰?」
そこには白い隊服を着た男性が座っていた。
「あれは、王の弟のクリス。第一に所属してる。あいつはボンクラ王子だ」
「わゎ、そんな大きい声だと聞こえるよ」
そのボンクラ王子と呼ばれた男性は片眉をあげた後グレゴリに手を振るう。
「よぉ!バカ王子」
グレゴリも片手を上げ軽快に答える。
あまりの気安さにビクビクしてしまう。
「鳥が、女を連れている。滅べ、不幸になれ!」
上座から王子は言い放ち、周りに諌められている。それをグレゴリは指差し。な、バカだろあいつとからから笑っていた。
王様の右側には赤いドレスを着た女性がいた。
長身で背筋がいいのが座っていてもわかる。
顔の半分をベールで隠していたが、その美しさは十分伝わった。
なんだか私の知っている人に似ている。
さすが王女様。気品に溢れているところとはアリアさんと似通っている。
ん?と言うかほぼ本人じゃない?
アリアさんは実は第三騎士団の団長秘書は仮の姿で、実は王女様だったのだろうか。
でも、以前貧乏で苦労したとか言っていたような・・・。
「グレゴリ、王女様って・・・」
ひそひそと耳元で話しかける。
「あ、王女?小せえのに偉いよな」
としきりに感心している。
「小さいかな?グレゴリと同じ身長だったような」
「なにいってんだ?大丈夫か。姫さんはまだ12歳だぞ」
アリアさんて、そんな小さかったの?いやいや、お酒を一緒に飲んだし、むしろ酒豪と呼んでいい状態だった。
なんか変だな。私だけ騙されているような感じ。
グレゴリをちらりと見るが嘘をついている様子には見えない。
穴が空くほど王女様を凝視する。やっぱりアリアさんにしか見えない。
数秒間だけ彼女と目が合った。彼女は少し困った顔をして
「後で」と口だけ動かした。それきりもう目は合わなかった。
謁見の間を出て大広間へと向かう。
沢山のシャンデリアが輝き、その下で男女がワルツを踊っている。
グレゴリに誘ってもらったが、リズム感ゼロの私は丁重にお断りさせていただいた。
「グレゴリ、せっかくだから行って来て。少し人に酔ってしまって、休んでる。ごめんね」
グレゴリは隣にいると言ってくれたが、今日は嫁探しの日でしょう?と送り出した。
バルコニーに出て風にあたる。
火照った身体にひんやりした空気が心地いい。
「ルリ様でいらっしゃいますか?」
突然、背後から声をかけられドキリとする。
振り返ると第一騎士団の騎士がいた。
「王女様がお呼びです。お時間よろしいですよね」
有無を言わせないような話し方だった。それでも好奇心が勝ってしまう。
「はい。大丈夫です」




