第3話 非常呼集
午前3時54分 長野県 松本駐屯地
「非常呼集ーッ!」
隊員の叫び声が聞こえる。
各隊舎に明かりがつき、連隊長旗を付けた緑色のパジェロが衛兵の敬礼の下、入ってくる。
ほぼ全ての隊員は起床と同時に、小銃などで武装し、弾薬を支給された。
何が起こっているかもわからないまま、である。
「久間二尉。転属だ」
久間優一二等陸尉は所属する会計科に、突然入ってきた自衛官に声をかけられた。
「幹部自衛官が不足しているんだ。普通科の指揮経験があればいいんだ」
久間は入隊で訓練以外、小銃をいじったことはなかった
「自分は最近電卓しかいじったことありません」
そう言ったが、三等陸佐の襟章をつけ。会計科に入ってきた自衛隊は続けた。
「かまわんよ、普通科の経験があれば十分だ。急げ。元寇の来襲だ、実弾を配給する」
「実弾!」
久間二尉は状況は何もわからないが、事態の深刻さは伝わって来た。
第32普通科連隊、柿崎一等陸佐が演壇に訓示を述べる。
馬面の一佐は叫んだ。
「現在 新潟県で正体不明物体が上陸。新潟沿岸をから県外に向けて進出中である。
将兵たちは驚いたが、周辺にいる隊員たちの一喝に全員が黙った。
「全く正体不明だが、彼らは道路をそって侵攻中だ。我々は栄え村で前線を張り、県内への進出を防ぐことである。
現在、日本中の自衛隊が新潟に集まって我々は、先陣を切ることになる。我々がこれ以上の進行を止める。それが反抗に一手となるだろう…」
すでに総理官邸に関係者が集まってくる頃には東京・市ヶ谷の地下指揮センターに、高級幕僚たちが集っていち。
広い会議室は、中心に画面が映し出される巨大な机があり。片面はガラス張りがとなっており、中央情報センターが映っており、巨大な、まるで宇宙センターの管制室のような様子であった。
広い部屋に集まっているのは統合任務司令部の面々だった。
これまで統幕議長は防衛大臣の補佐と、部隊の指揮を同時に行ってきた
しかし、統合任務司令部を置き、部隊の直接指揮をとり、統幕議長は防衛大臣の補佐に一元化できる。
「今敵の様子はどうだ」
口を開いたのは統合任務司令官の梶原陸将だった。がっしりと筋肉の持ち主で、今は60間近だが、年不相応の若さを維持している。
「今、コンソールに出します」
そういったのは木本二等海佐だった。背が高くメガネをかけており、インテリの雰囲気を出している
新潟を中心とした画が映し出される。赤く染まっているのは新潟県に出現し、密集していた。
各幹線道を使って移動をしている
また空中にも数十機が飛んでいた。
「この赤が敵です、そして…」
新潟県周辺でポツポツと青い点が見える。
「これが我が軍です」
「統率した動きが取れていないな」
司令部総幕僚長の桃原純一海将補は言った。わが自衛隊に対しての評価だった、
メガネをかけた、少し小太りで背の低い男だった。
「それに偵察活動もすすんでない」
「仕方がない」梶原が桃原の発言をやめさせた。
深いため息をつきながら、梶原陸将は答えた。
「各部隊は情報不足、また弾薬不足のなかで行動している。燃料不足もあって満足な偵察活動もできない」
「それについてですが―」
後方運用部長の高宮一等陸佐がいった。ここで一番若い人間だった。
40代後半に見える、長身の男だった。
梶原がすかさずいった。
「今、自衛隊の各部隊に武器・弾薬・燃料を支給していますが、どの部隊も不足しております。行動はできていても恐らく3日分が限度化と」
梶原がすかさずにいった
「統幕議長に至急連絡をとってみよう。武器・弾薬・燃料の大至急配給、また在日米軍にも武器・弾薬・燃料の至急応援要請。満足に偵察活動もできないと付け加えてな」




