第15話 海外からの支援
日本で奇妙な戦争が始まって以来、日本には海外から物資や軍隊が送られていた。
神奈川県横須賀基地には世界各国から軍隊が集結していた。
ドイツ陸軍第9装甲教導旅団第33戦車大隊、エドムント・シーバー中佐が港を歩いていると、英語で呼び止められた。
イギリス陸軍ロイヤル・アングリアン連隊第1大隊、ブラントン・ニコル中佐が駆けよってくる。
「なんだ、お前もいたのか」
ドイツ語訛りの英語で、シーバーは答えた。
二人は欧州演習で何度も知り合った旧知の仲だった。
「まさか日本で落ち合うとはな」
ニコルは人懐っこい笑顔をみせて、キングス・イングリッシュで話しかけてくる。
「凄いぞ」 シーバーが言った。
「アメリカはもちろん、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシア……世界中の軍隊が集まってるぞ」
「うん、日本各地には欧州の軍隊や南アジアの軍隊も集まってるらしいぞ。インド、イタリア、スペイン、ポルトガル……こりゃ連合軍だな」
「いや、地球防衛軍さ」
シーバーは胸についたワッペンを指さした。
青い背景に白い線で描かれた世界地図の上に『Earth's Guardians(地球の守護者)』と筆で書かれたような字が書かれている。
「なんだい、そりゃ」ニコルは言った。
「日本人が配ってる。日本のアニメーターが作成したワッペンらしいぞ」
「へぇ。こりゃ、本格的に地球防衛軍って感じだな、俺たち」
「そうさ、俺たちは地球防衛軍さ。これから、化け物に一大反撃を仕掛けるんだ」
そう。
この多国籍軍は敵に対し、一大攻撃を仕掛け、さらにこれ以上侵略しないように大規模な作戦を発動させるのだ。
すでに一部の海外の部隊が前線に入って、敵の進撃を食い止めている。
敵と戦っているのは自衛隊だけではない、そして、これから、自衛隊を含む多国籍軍によって、一大反攻作戦が行われようとしている。
嶋田総理は官邸の執務室で、防衛省の官僚や大臣から海外からの支援の説明を聞きながら、深く息をした。
「日本だけではない、ということを実感するな」
「そうです」
大臣は言った。
「そして、これだけの戦力があれば、必ず敵を撃退できることと、私は信じています」
防衛大臣の自信あふれる表情に、総理は頷いた。総理もまた何かを確信した表情で、大臣に言った。
「それでは、我々の反撃作戦の詳細を聞こうか」




