第13話 東京防空作戦 前編
15時43分。
北関東上空を飛んでいたE2C早期警戒機が、新潟からやってくる機影群を確認した。
数は120。
早期警戒機に乗っていた幹部は司令部に警報を送った。
横田の航空総隊司令部はその情報と警報を得た。
今までにない大群が新潟から南東に向かっている。
新潟から南東―――総隊司令官は、敵の目的が分かった。
東京だ。
総隊司令官は茨城県百里基地、静岡県浜松基地、埼玉県入間基地、神奈川県厚木基地に展開されている戦闘機を全て上げるよう命令を下した。
戦闘機発進前に入間の第一高射群に攻撃命令を発令した。
基地内にいたペイトリオットが発射装置を敵に向け、数十発のミサイルを発射した。
敵の正三角錐の戦闘機が群馬県上空を飛んでいる。
敵の戦闘機が突然散開する。
発射されたペイトリオットミサイルを探知したからだ。
敵戦闘機は放たれたミサイルにミサイルを発射して迎撃するなどしたが、
いくつかの戦闘機にミサイルが当たった。
続いて、航空宇宙自衛隊の迎撃戦闘機群が殺到する。
まずやってきたのは。埼玉県入間基地に進出していた第302飛行隊のF35戦闘機20機だった。
すでに散開していた敵戦闘機集団に、第302飛行隊も散開。
神奈川県厚木基地にからは築城基地から配備された第308飛行隊のF35B20機も散開、参戦する。
百里基地の第7飛行団も全機が出撃。浜松基地からも第201飛行隊F15戦闘機20機と第305飛行隊20機が動く。
在日米軍も出動した。横田基地に展開していた、第35戦闘飛行団のF16戦闘機40機が迎撃に飛ぶ。。
数の上では同数。航空宇宙自衛隊側は全力での出撃と言ってよかった。これらが群馬から埼玉にかけての空で衝突したのである。
敵戦闘機群はまた集結した。今度は4つの集団に分かれた。
彼らは低空で南下し続けた。
「4つに分散して、東京に向かっているな」
総隊司令部。幕僚の一人がぼやいた。
総隊司令官は言う。
「敵をaからdの集団として呼称する。第302飛行隊はaに、201はbに、305はcに迎え。在日米軍司令部と連携して第35戦闘航空団はdの迎撃を要請」
第302飛行隊のF35戦闘機1機が敵機を追尾する。
ターゲットをロックし、ミサイルを発射する。近距離で放たれたミサイルは、敵機が回避する前に命中する。
この機を操縦していた武井一尉は息を荒くしながら、次の目標を探す。
彼がふと低空をみると、10機の敵機が飛行していた。もちろん東京方向に向かっている。
「こちらヤタガラス06、超低空で南東へ向かう敵機を視認。援護を乞う」
彼は報告しながら、操縦かんを操って、10機の敵機群に向かう。




