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砦の状況

 俺達はコリンナの父親である、マルドー辺境伯のいる場所へと案内された。


「お父様!」


「コリンナ、何故(なぜ)来た!」


 と、言いつつも、辺境伯はコリンナを抱きしめる。

 なにせ戦時中だ。

 俺達の到着が遅れていたら、彼は娘の顔を2度と見られなかったかもしれない。

 会えたことが、嬉しくない訳ではないのだろうな。


「こんな危険な所に……」


 しかし心配な気持ちもある……と。

 で、そんな辺境伯は髭面の大柄な男で、いかにも武人って感じだった。

 しかも全身に鎧を装着している。

 そんな男に抱きしめられて、コリンナは苦しそう……というか痛そうだ。


「おっ、お父様っ!!

 それよりもミーティア王女殿下が、お越しになられました!」


「おっ、おお……!

 それは遠路はるばる……」


 辺境伯はコリンナを解放し、姿勢を正して頭を下げる。


「よい、私的な来訪だ。

 楽にせよ」


「はっ……。

 しかしこのような戦場に王族が……。

 ご自重くだされ」


「そう言うな。

 援軍を連れてきたぞ」


「援軍……?」


 辺境伯は胡乱(うろん)げな視線を、こちらに向けた。

 まだ13歳の小娘とメイドの2人だからな……。

 取りあえず、挨拶をしておくか。


「エルネスタ・タカミ子爵です。

 平素は我が商会に格別のお引き立てを賜り、ありがとうございます」


「タカミ……?

 タカミ商会か!?」


 辺境伯が勢いよく近づいてくる。

 ちょっ、怖ぇよおっさん!!


「そなたの商会から購入した物の数々には、大変助けられた!

 あれらがなければ、この砦は既に陥落していたかもしれぬ!!」


「そうですか。

 お役に立てたのならば幸いです」


「それで援軍とは……。

 また何か納品していただけるとか……?」


「今回は私が戦います。

 現在の戦況を教えてください」


「戦う?

 あなたが?」


 辺境伯は戸惑うが、俺の外見からは戦えるように見えなかったのだろう。

 その反応も無理はない。

 だが、外見が強さの指針にはならないことを、教えてあげよう。


「少なくとも森鬼や地竜の、討伐実績はありますよ?」


「なんと……!」


 驚く辺境伯。

 王女やコリンナも驚いている。

 まあ、普通の冒険者には無理だろうからなぁ。


「ただ、できれば私の能力は隠したいので、私が戦う時は人払いをお願いできれば……と」


「うむ……分かった。

 取り計らおう」


 その後、俺達は防衛戦の最前線である、外壁の上へと向かう。

 その道すがら、戦況を辺境伯から説明された。


 この砦を攻めているカトリ教国軍の兵数は約3万。

 それに対して、辺境伯軍は5000そこそこ。

 狭い砦内にそれ以上の兵力がいても邪魔なだけだろうし、城攻めは難しいからこれくらいの戦力差でも持ちこたえることは可能だろう。

 籠城戦という訳だ。


 ただ、数で押し切られるのは時間の問題だし、こちらから打って出て逆転を狙うには戦力不足だ。

 ましてや籠城戦は、援軍ありきの戦法だ。

 本来は砦で時間を稼ぎ、王国各地からの援軍が到着するのを待ってから反転攻勢に出る──そのような取り決めになっていたらしい。

 しかしその援軍は無い。


「どうして、なのですか?」


「ああ、それは旅の道中で説明するつもりだったのだがな。

 あまりにも早く到着してしまったので、言い忘れておった」


 と、王女が口を挟む。

 え、なんか事情があるのか?

 そういうことは、先に言っておけよ。


「ここへ軍を送る為の街道が、封鎖されているのだ」


 え、何それ?


「誰が、一体なんの為に?」


「……恥ずかしい話だが、我が寄子(よりこ)のランバート伯爵が裏切ったのだ。

 街道の橋を落とし、そして関所に立てこもっている。

 我らは砦の防衛で精一杯で、自力での対処は難しい状況だ」


 辺境伯が苦虫を噛み潰したような顔で言う。

 あ~……教国も無策で、この砦を攻めているという訳じゃないのか。


「どうやら教国と内通していたようでな。

 伯爵が街道が封鎖している所為で、軍は送れない。

 それでも少数の人間ならば、山道を通って行けると思ったのだがね」


 と、王女。

 ああ、それで単騎でも大きな戦闘力を発揮できる、俺達に声がかかったのか。

 となると、後日その伯爵の対処も、俺達がしなきゃ駄目ってことかなぁ……。


 で、話が終わった頃に、外壁の上へと到着した。

 この外壁は、谷のようになった地形をダムのように塞いでいて、教国軍の侵入をせき止めていた。

 外壁の下には教国軍が展開しており、この壁を破壊するか乗り越えようとして躍起になっているらしい。


「今は攻撃が落ち着いているが、気をつけてくれ」


 辺境伯の言う通り、周囲は既に薄暗くなってきていて、戦闘も一時的に止まっているようだった。

 夜の闇の中では、お互いに不利ということか。

 まあ、絶えず攻撃があるような状況では俺もやりにくいので、いいタイミングだったか。


「ここから1番近い教国の村や町までは、どのくらいの距離があるのでしょうか?」


「40kmほどですな」


 辺境伯の答えに、俺は考え込む。

 ふむ……微妙な距離だな。


 その時アンシーが口を開く。


「お嬢様、頭をお下げください」


「え?」


 アンシーに指摘されて気付いたが、俺に向かって何かが飛んでくるのが視界に入った。

 「いいね」の仕様が変わったみたいなので、色々と試してみてください。

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