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侵 入

 セリエルとの一件が終わって以来、俺は比較的平穏な学園生活を送っている。

 まあ、さほど学びたいことも無いので、ぶっちゃけいつ卒業してもいいような気もするが、せめてアリサとクレアが卒業するまでは待つか。


 ちなみに卒業には特別な試験とかは無く、もう学ぶ物が無いと自身で判断するか、学費が払えなくなった時に学校側へ申請すれば、その時点での成績証明書を発行されて、それが卒業証書の代わりとなる。

 俺は社交ダンスが無理ゲー過ぎて投げた「礼儀作法」の授業以外は上級クラスになっているので、成績優秀という形で卒業することができるだろう。


 そんな訳で、勉学に励む必要も無くなったので、()いた時間で武具を作って、それを王都で立ち上げた商会の支店へと(おろ)すことにした。


「ここが私のパパと、エルが作ったタカミ商会の王都支店だよ!」


 支店を前にして、アリサが胸を張る。


「なんであなたが偉そうなのですの……?」


「凄いのはあなたのパパと、私の(・・)姉様よ」


 支店へと納品しに行こうとしたら、アリサ・クレア・セリエルの3人娘がついてきた。

 勿論、護衛としてアンシーとミミのメイド達も。


 今回はアリサとクレアに手伝ってもらって、魔法を付与した武具を中心とした納品だ。


「魔法が付与された剣は金貨30枚、鎧は40枚ほどで売れるでしょう」


「それではそのように」


 支店の従業員に納品する物を見せ、その場で値段が決められる。

 今回魔法が付与された剣は3本、鎧は2つ持ち込んだので、これだけでも売れれば日本円にすると200万円近い稼ぎになるな。

 それ以外にも俺の「変換」で色々と道具を作って納品したから、300万円くらいになるんじゃないかな?

 しかも材料は俺の魔力だけなので、原価はタダみたいなものだし、売れば売るだけ儲かる。


 勿論、従業員の給与とか支店の運転資金も必要だし、その他にも自転車などの製造工場を建てる為の資金を貯める必要もあるので、全てが俺の手取りになる訳ではないが、他の店よりも利益率はいいので、俺の取り分はそれなりに多い。


「お姉様が作ったものでしたら、このセリエル、全て購入いたしますわ!」


 早速、カモが現れたな。

 いや、それにつけ込んで、悪徳な商売をするつもりは無いが。


「買い占めはいけませんよ。

 他のお客様に、商品をお届けできなくなりますから。

 今回は1つくらいにしましょう。

 ですが、今後とも我が商会をご贔屓にどうぞよろしくお願いします」


「ええ、お父様にも推薦しておきますわ!」


 お得意様ゲットだぜ!

 ともかくセリエルは、店で商品を物色し始めた。

 色々と珍しい物があるから、目移りしているようだ。


 さて、セリエルは暫く放置しておいて良さそうだから、残る2人についてだ。


「はい、これは魔法を付与してくれた、2人への報酬です」


「え、いいの?」


「って、こんなに!?」


 俺は2人に対して、少々多い金額を手渡した。


「魔法の付与は2人がいなければできなかったので、正当な対価ですよ」


 労働に対しての報酬は、当然支払わなければならない。

 時と場合によっては無報酬のボランティアも尊いが、そういう奉仕の精神を悪用するようでは商売人としては失格だからな。

 むしろ2人には少ないくらいの金額を渡しているのだが、さすがに子供に大金を渡すのは問題なので、渡せなかった分は貯金しておこう。


「うわ~、何を買おう!」


「無駄遣いは駄目ですよ。

 貯めれば私のように爵位だって買えるのですから、よく考えて使いましょう」


「あ~……姉様みたいになれば、家と縁が切りやすいかも……」


 クレアは真剣に、爵位の獲得を考慮してみるようだ。

 俺達は実家から捨てられたようなものだが、それでも両親が何らかの形で干渉してくる可能性はあるからな。

 まあ、既に子爵の俺ならクレアを守ることはできるが、クレア自身が爵位を持っていても損になることは無いだろう。


「うちの商会で専属の付与術士になれば、すぐだと思いますよ」


「考えておく……」


 で、納品が終わった帰り道、街の大通りを歩いていた俺達だったが……。


「お嬢様!」


 アンシーが俺を(かば)うように、前に出た。

 そんな彼女が送る視線の先には──、 


「久しぶりですね、エルネスタ嬢」


「は?」


 魔族のクロムスタがいた。

 ここは敵地の中心みたいなものだろ……。


「なんで王都にいるんですか……。

 いや、前に来るとか言っていたような気もしますが……」


 しかし都内に入る為には、入国審査的な手続きが必要なはずなんだが……。

 いくらクロムスタの外見が人間と大差ないとしても、こうも容易(たやす)く侵入されるようでは、魔族がその気になったら王都はすぐに陥落するぞ……。


「前に見た時よりも大きくなりましたね。

 そしてより美しく……」


 え、何?

 俺、口説かれているの?

 悪い気はしないが。

 

「そんなことより、何の用で……。

 勿論、道具を仕入れに来たのでしょうけど……」


「はい、少々戦況が、面倒臭いことになっていましてね……」


 ……ん?

 魔族領に攻め入っているという人間達が、本腰を入れ始めたのかな?

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