戦闘クラス
魔法に関しては反則的な方法を使って、上級クラスへと上がることができた。
俺のスキルで擬似的に魔法を再現するだけなら、そんなに難しくはないからな。
「な……なんて大魔法を……!!」
教官もびっくり。
俺は人よりも魔力がかなり多いようだから、武器として作り出す物を相当なサイズまで大きくすることが可能だ。
だから巨大な氷柱を空中に生み出して落下させるだけで、高位の氷雪系魔法を行使していると、他人には見えたことだろう。
作り出した物を自由自在に消すことができるのなら、なおのことだ。
「しかし……何故いきなり、これほどの上達を……!?」
「何かコツを掴めたのだと思います」
非常に嘘くさいが、そうとしか言いようがないわな……。
だって実際には、魔法なんて使ってないんだもの。
そんな訳で魔法の上級クラスへは簡単に上がることができたけど、他の教科はそうもいかない。
既に上級クラスになっている座学はともかく、礼儀作法がなぁ……。
ただの礼儀作法ならどうにかなるのだが、この教科に含まれる社交ダンスが俺には難しい。
俺、音痴ではないつもりだったが、身体を動かしながらリズムをとるのが壊滅的に駄目らしい。
つまり踊れない。
他の生徒からめっちゃ笑われたわ。
屈辱……!!
……いいよ。
社交界デビューとかするつもりはないから、この教科は中級止まりでも構わない。
むしろ社交ダンスの授業は、今後全部サボる!
俺は淑女を目指している訳じゃねーし!
それよりも戦闘クラスの方が重要だ。
俺は義足のアシストによって、身体能力だけは常人よりもかなり上になっていると思う。
だから素手でも、その辺のゴロツキを圧倒することはできるだろう。
だが、技術が伴わないから、達人が相手だと少々心許ない。
技術を学ぶ為にも、早く上のクラスへと上がってしまおう。
まあ、初級クラスは体育の授業とそんなに変わらないので、身体能力の高さを見せつけるだけで、中級クラスへ進むことができた。
そして中級クラスも身体能力の高さだけで、昇級が可能だった。
所詮は子供相手の授業なので、実際にダンジョン攻略などの実戦に参加したことがある俺にとっては、ちょっと生ぬるく感じる。
……これは期待したほど、この学校で学ぶことが無いのでは……?
ともかく結果的に中級クラスだったアリサ&クレアの2人とは、一緒に学ぶことができた期間は一瞬だったなぁ。
どうやら魔法以外で同じクラスになれる機会は、当面の間は無さそうだ。
で、戦闘の上級クラスに入ると、そこには奴がいた。
「あらぁ、なんで成り上がりがここにいますの?」
「……子爵家当主に対して無礼ですよ。
礼儀も知らないのですか、あなたは?」
「私、礼儀作法は上級クラスですわよ」
解せぬ。
まあ、子供相手に権力を振りかざすつもりなんて無いので、実害が無い範囲での無礼は許すが……。
そんな訳でラントール伯爵家の娘、セリエルとの再会である。
通称、ドリル令嬢。
俺のことが気に入らないのか、何かと絡んでくる奴だ。
「初級クラスだった者が、もう上級クラスに来るなんておかしいでしょう?
成り上がりらしく、教官にお金でも握らせたのではなくて?」
「確かな証拠も無く、教官の名誉を貶めるような言動は慎んでください。
初級クラスだったのは、クラス決めの時に体調不良だったからですよ。
実力を発揮できれば、元々上級クラスの実力があったのです。
私の実力を疑うのでしたら、試して見ますか?」
あまり絡んでこられても鬱陶しいので、ここらで分からせてやるのもいいかもしれない。
「……いいでしょう。
私も伊達に、上位クラスに所属している訳ではなくてよ?
授業での模擬戦を申請しますわ」
そんな訳で試合することになった。
ちなみに審判は、マルドー辺境伯家令嬢・コリンナ様だ。
「武器と防具以外道具や、魔法を使用するのは禁止。
どちらかが降参か戦闘不能で決着──ということでいいですね?
それでは勝負開始!」
セリエルはフルーレを構える。
軽くて細長い剣──レイピアを更に軽量化して刃を落としたもので、主に練習用に使われる武器だ。
フェンシングに使われている物と同じタイプだが、競技用のものと違ってこちらの先端は尖っている。
つまり刺すことに特化した物なので、殺傷力は決して低くい訳では無いのだ。
まあ、さすがに模擬戦なので、先端には、コルク栓が刺してはあるが。
そういえば、前世で園芸店のアガベの刺に、発泡スチロールを刺して保護していたのを見たことがあるけど、それを思い出すなぁ……。
いずれにしても、度を超えた力で突いてくれば、コルク栓なんて突き破るのだろうから、絶対に安全とは言い切れない。
対して俺は、素手だ。
技術が無いから、武器は使いこなせない……いや、左手の義手で接続すれば、俺の身体の一部として操つることができるのかもしれないが、戦闘に関するスキルは使えないだろう。
それならば身体能力で、ごり押しした方がいい。
「素手とは、ふざけていますの?」
「いえ、手加減は必要ですので」
俺のメインウェポンである銃器を使ったら勝負にならないからな。
「くっ……!
怪我をしても、知りませんわよ!!」
そう叫ぶなりセリエルは、顔を怒りの色に染めながら突進してきた。
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