女神の目的
昨晩の地震に被災された方へ、お見舞い申し上げます。
作った宇宙戦艦は、「空間収納」の中へ仕舞い込んだ。
今は使わないからね。
宇宙旅行は、公爵を引退してからでもいい。
老後の楽しみだ。
実際これからは、カトリ教国絡みの後片付けをしなければならないし、当面の間は忙しくなりそうだからな……。
たぶん、聖女ミラを暫定的な女王に据えて、俺の領地から派遣した人員を中心に、新しい国の運営を任せることになると思うが……。
とにかく、忙しくなるのだ。
それじゃあそろそろアンシーと合体を解除して、一旦国へ帰る準備をするかな……。
そう思った瞬間、視界が暗転した。
いや、そこは真っ暗ではなく、宇宙空間ような場所で……。
その中に俺の意識はあった。
ここは見覚えがあるぞ……。
「お嬢様、これは一体……?」
あ、俺と繋がっていたアンシーの意識まで、こっちに来たか。
ここはあれだ、俺が転生する前に来たところだな。
「転生……そんなことが……」
転生については、墓場まで持っていく秘密だったが、俺と意識が繋がっている今のアンシーには隠せない。
「となると、この空間に現れるのは……」
「そうだな……。
何故、俺をここに呼んだんだ、女神よ!」
と、宇宙空間に呼びかけると、そこに大きな女性の姿が浮かび上がってきた。
10mくらい?
前は姿を見せてくれなかったけど、今回は姿を見せてくれるのか。
『久しぶりですね。
私は女神サレナです』
サレナ……初めて聞く名前だ。
前回は名乗らなかったが、今回は名乗ったってことは、多少は礼節を持って接すべき相手だと俺のことを認識しているのか?
『ええ、そうですね。
今のあなた達は、邪神を倒したことで、神の領域に片足を突っ込んでいますので。
いわば神の卵と言いますか……。
将来の仲間として、あなたを扱います』
マジかよ。
俺が……俺達が神とか、冗談のような話だ。
『ともかく、よくやってくれました。
期待以上の成果です』
ナチュラルに心を読むな。
「……やはり、邪神と戦わせる為に、俺をこの世界に送り込んだのですね」
『いえ、教団の暴走を抑えてくれれば、それでいい……と、思っていたのですけどね。
だから、期待以上です』
そうか。
いくつかあった邪神対策の中の1つが、たまたま大当たりしたって感じか。
『ええ、私達神々は、直接世界に関与しないというのが掟ですので。
だからあなたのような代理を送り込んで、事の成り行きを見守る程度のことしかできません』
そうですかい。
まあ、別に不満も無いけれど。
おかげて最愛の人と出会えたし。
「お嬢様……」
アンシーのトキメキが伝わってくる。
こんな風に直接相手の感情が分かる合体状態も、たまには悪くないな。
「……で、結局なんでここに呼んだんです?」
『ええ、それは邪神討伐のお礼をしようと思いまして。
なにか希望はありますか?』
う~ん、改めて言うが、特に不満は無いんだよなぁ……。
このまま平穏な生活が、続いていけば……。
『そうですか……。
では、そちらのメイドさんは?
あなたの功績も大きいので、願いは聞きますよ』
「私は……お嬢様と、永遠に一緒に生きられれば……」
『それはあなたのご主人様に、叶えてもらってください』
そうだな……。
それはいつか、俺かアンシーの寿命が尽きそうになった時に、考えるか……。
『どうやら、私が叶えるような願いも無いようですね。
ならば代わりに、忠告を……。
今から約400年後に、この星に巨大な隕石が落下し、壊滅的な被害を世界に与えるでしょう。
今からそれに備えると良いと思います』
「なっ……!?」
『それでは、いずれ神々の世界で会いましょう。
新たな神の卵よ』
ちょっ、待っ……!!
しかし止める間も無く、女神は姿を消してしまった。
特大の爆弾を残して──。
そして、元の世界へと意識が戻った俺達は、呆然とする。
どうすんの、これ……。
作ったばかりの宇宙戦艦だが、使用の用途が早速決まったな……。
しかし400年後か……。
それまでに生きていられるかなぁ、俺……。
新作を始めています。
『その者、神にハイシンす。~猫耳な男の娘にされた俺の冒険記~』
https://book1.adouzi.eu.org/n0046ll/
読んでいただければ幸いです。




