2人の力
俺は身に纏った白銀の鎧を巨大化させる。
通常は3mほどだが、今はナノマシンの力で10mほどの巨体だ。
で、俺は鎧の腹部に収納されている訳だが、胸部にアンシーの収納スペースも作った。
そこを開き──、
「アンシー、ここへ」
「ハイ、ここに私を接続すればいいのですね」
収納部に作った端末に、アンシーが接続する。
この鎧は俺の義手が変化したものであり、義手はたぶん俺の脳神経にも繋がっている。
つまり今の俺達は、一心同体も同然ということだ。
だから俺達の間に、言葉は不要!
『アンシー、白銀の制御を任せる。
俺達のエネルギーを合わせて、最大の攻撃をぶつけてやれ!!』
『ふふ……頭の中は、まだ坊ちゃまが残っているのですね。
かしこまりました』
ちょっ、今「ベッドの上では、あんなに女の子なのに」とか考えたな!?
今、そういうのはやめて!!
ともかく、2人の力を合わせた攻撃だ。
先ほどまでの攻撃よりは、効くはず──。
『波動砲、発射!』
アンシーの制御によって、空高く舞い上がった白銀は、両腕を融合させて巨大な砲身を形成する。
そしてはるか下にいる邪神に向けて、ビームを発射した。
これは空中要塞の主砲とは違って範囲を絞っているので、影響範囲は限定的だ。
ただし、圧縮した膨大なエネルギーである為、飲み込んだ邪神の全身をあっさりと消し飛ばしている。
……いや、中心部……いわゆる核の部分は残っているな。
『アンシー、ストップ』
そこが異常に頑強だ。
このままでは倒しきれないだろう。
むしろこちらの攻撃のエネルギーを吸収して、再生しようとさえしている。
だが──、
『狙い通りですね』
『ああ』
再生の余地があるとはいえ、邪神の身体を大きく削ることができた。
ならば、今がチャンスだ。
以前俺は、魔法の術式を直接「変換」することを試みたことがある。
それは半ば成功していた。
また、生きている人間の臓器を、直接「変換」することにも成功していた。
その応用で、邪神の肉体を、魔力を、生命力を、可能ならば魂まで、全てを「変換」して、邪神そのものを消滅させる!!
『小賢しい真似を!!』
ただ邪神も、無抵抗でそれを受け入れる訳ではない。
無数の触手を伸ばして攻撃してきた。
だが、それはアンシーが回避してくれる。
しかし動き回ると、「変換」に集中できない。
なかなか上手くいかず、これは長期戦になるかも……と、思い始めた頃──、
『援護を要請します』
と、アンシー。
うん? 援護? 誰に?
ああ……そういうこと。
アンシーの意図が伝わってきて、俺は納得する。
それから暫しの間、触手による攻撃の回避に専念しつつ、「変換」を試みる。
だけどやはり動き回る相手に対しては、効率が悪い。
だが──、
『来た!!』
邪神の触手が弾け飛ぶ。
だけど俺達は攻撃していない。
攻撃したのは──、
『こっ、これでいいのですか!?』
空中要塞──そしてその制御室にいた聖女ミラだ。
攻撃の回避に専念していたアンシーでは、要塞の遠隔操作は難しかったが、ミラに指示を出すことくらいはできる。
そしてミラの解析能力があれば、要塞の機能を使うことくらいは可能だ。
そもそも空中要塞は未来技術の結晶だから、攻撃もある程度はオートでやってくれる。
まあ、識別コードなんて設定していないから、普通にやると敵味方関係なく、邪神の近くにいる俺達も攻撃の照準に入ってしまうが、そこはミラに手動操作で外してもらった。
結果、要塞から次々に発射されるビームによって触手は消え、邪神の核が丸裸にになったような状態になった。
勿論、邪神は触手を新たに生やそうとしているが、それも要塞の援護射撃で封じている。
よし、今なら「変換」に集中できる!!
だが、邪神も抵抗しているのか、通常よりも魔力の消費が激しい。
しかも周囲の岩を取り込んで、それで身を守ろうとしている。
このままだと、巨大な岩の巨人が誕生するかもしれない。
さて……どうしたものか。
あ、あれが使えるか?
『アンシー、要塞にトラクタービームの機能はあったよな!?』
簡単に言うと、物体に対して照射すると、浮かせたり引き寄せたりすることができるビームだ。
『……ありますね。
聖女ミラに使うよう、指示を出します』
よし、まずは邪神の周囲の地面を「変換」して、周囲に取り込むものが皆無の状態にする。
で、要塞のトラクタービームで邪神を引き上げて、空中に浮かばせれば、少なくとも地面から何か吸収されることは無い。
まあ、多少はトラクタービームや空中からエネルギーを吸収するかもしれないが、それは些細な量だろう。
問題があるとすれば、俺の魔力の残量が心もとないことだが……。
『お嬢様、私の魔力もご利用ください』
『助かる!!』
2人の魔力を高めて、全力での「変換」!
これにより邪神の核は激しく輝き、その形は砂山が崩れるように消えていく。
『神が……こんな……ああぁぁ……』
そして、か細い邪神の声を最後に、その空間には何も無くなった。
ふう……やったか……。
いや、フラグではないよ?
実際、「変換」は成功して、上空に巨大な物体が出現している。
邪神を「変換」することで作り出した空飛ぶ戦艦──。
そう、宇宙戦艦だ!!
今後は宇宙にも、行けるようになったぞ!
ひっそりと新作を始めています。
『その者、神にハイシンす。~猫耳な男の娘にされた俺の冒険記~』
https://book1.adouzi.eu.org/n0046ll/
よろしければどうぞ。




