邪神降臨
俺はカトリ教国の聖地から脱出するついでに、そこにあった兵器を爆破した。
その結果生じた誘爆で、山体の一部が消失する。
いや、どんだけ爆薬を溜め込んでいたんだよ!?
まあおかげで兵器工場など、教国の闇の部分は殆ど消えたはず……。
……消えたか?
「お嬢様、爆心地で何か動きがあります」
あらら……教国の主神とやらは、まだ生きているようだ。
爆心地では、巨大な肉塊が蠢いている。
あの爆発でも、健在かぁ……。
「アンシー、遠隔で空中要塞の主砲準備」
「ハイ」
さっきは使えなかった主砲が、ここで役に立つ。
その攻撃に巻き込まれないように、俺達もその場から離れる。
空を飛ぶアンシーに抱きかかえられながら、空中要塞のある場所まで──。
よし、このくらい離れていれば大丈夫か。
「アンシー、いけますか?」
「準備完了です」
「では、発射!」
次の瞬間、視界が真っ白に染まった。
そして遅れて、衝撃波が届く。
小型核並みの爆発が起こっているようで、普通ならどんな生物も消滅しているはずだが……。
しかし爆心地には、先ほどよりも小さくなった肉塊が焼け残っている。
いや──焼け残っているのではなく、肉塊が凝縮されているようにも見える。
実際、表面が焼け爛れた形跡は無かった。
あるいは高速で再生している?
やがて肉塊は、巨大な人型へと変化していく。
全高で100mくらいか。
ただ、人型なのは上半身だけで、下半身は不定形のまま──幾層もの肉のヒダや触手が折り重なっているようだ。
なんとなくローマ帝国時代の服である、「トガ」を纏っているようなシルエットにも見えた。
ただし顔はのっぺりとしており、目鼻口は穴が開いているだけって感じである。
あと、頭髪は無く、その代わりに角が幾本も生えていた。
これは悪魔というよりは、邪神感があるな……。
『オオオォ……神の降臨を称えよ』
うわ、喋った!?
『全てを捧げよ。
信仰を、忠誠を、身体を、命を!
生けとし生ける者全ては、我の糧となれ!』
しかもなんかやべーことばかり言ってる。
こりゃ、共存どころか、話し合いも不可能なタイプだな……。
人間のことは、家畜とすら考えていないだろうし、近寄ったら教国の上層部のように、吸収融合させられるのがオチだろう。
こんな危険物は、さっさと処分するに限る。
だけど、空中要塞の主砲でもビクともしないとなると、倒すのは簡単ではないぞ……。
「アンシー、攻撃は一点に集中させた方が良さそうです。
手分けして攻撃しましょう。
私は頭部、あなたは胸部を」
邪神に脳や心臓があるのかは分からないけど、とりあえず弱点になりそうな部分から攻める。
さあ、俺も白銀の鎧を纏って攻撃だ。
俺はレールガンで、アンシーは両腕からビーム──たぶん陽電子砲か何かで攻撃を開始した。
ぶっちゃけアンシーは自己進化しているのか、俺でも把握しきれていない兵装が多すぎる。
うん、攻撃は効いている。
攻撃が命中した箇所には、穴が開いていた。
しかし効果は無い。
すぐに再生しまうからだ。
しかも──、
『不遜』
邪神は全身から、触手を伸ばして攻撃してくる。
まあ、こちらの攻撃で触手を破壊することはできるんだけど、それはすぐに再生するんだよなぁ……。
まさか無限に再生できるとは思えないが……。
だから少し、攻めあぐねている。
だけどそれは邪神の方も同じで──焦れたのか邪神は、触手の先端からビームを発射し始めた。
「うわっ!?」
勿論それは、俺達には当たらない。
触手の本数が多いから、ちょっと回避は面倒だが、避け切れない速度ではない。
ただ、周囲が──数kmもの範囲が、物凄い勢いで火の海と化していく。
とにかく破壊力と、効果範囲がかなりヤバイ。
これを上回る攻撃力を有しているのは、俺とアンシーと、あとは空中要塞の主砲くらいだろう。
つか、周囲に広がった炎が、邪神の触手に吸い込まれている……?
こいつ、色々な物を吸収して、エネルギー源にできるタイプか?
じゃあ、無限に再生できるじゃん!!
それどころか、これからあらゆるものを取り込んで、更に強大な存在へと成長していく可能性もある。
つまりここで、確実に倒しておかなければならない相手だということだ。
だが、俺の全力を尽くしても勝てるかどうか……。
いや、核爆弾を使えばいけると思うが、それは最終手段だ。
環境汚染がね……。
となると──。
「アンシー、合体しますよ!」
「まあ、お嬢様ったら……!」
いや、普段している夜の営みと勘違いしないように!
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先月まで地元でも熊の目撃情報があったけど、さすがに寒くなった今月は出てきませんね……と思っていたけど、他の地域ではまだ普通に目撃情報があるんだな……。




