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海の城

 赤えいの巨体を、荷電粒子砲が貫いた。

 丁度頭部の辺りで、活け締め狙いだ。

 だが──、

 

「まだ動いている……!?」


 こんなのが野良で海にいる異世界、ヤバすぎるやろ……。

 ただ、もう赤えいに反撃する力は残っていないようだ。

 でも駄目押しで──!!


 俺は荷電粒子砲を撃ち続けたまま、左右に腕を振る。


「ふんっ!!」


 すると荷電粒子の光が、赤えいの巨体を斬り裂いていく。

 さすがに胴体を真っ二つにされたら、普通の生物は死ぬ。

 実際赤えいの巨体は、ほどなくして力を失い、海面を漂うことになった。


 このた死体は「空間収納」に入れて──いや……この大破とはいかないまでも、結構ボロボロになったヤマトを修理する為の材料にすべきか……。

 あ、それよりも計画していたあれを作ろう。


 だけどまずは、ミーティア達の無事を確認するのが先だな。

 俺は傾いた艦橋へと向かう。


「全員、無事ですか?」


「……そう見えるか?」


 アンシーこそ超然と立っているが、他の者達は傾斜のついた床を転がったらしく、半分床のようになった壁の方へと、弁当箱のゴハンのように偏っていた。

 ミーティアが逆さまの、あられもない格好になっていてえっちだ……。


「……返事ができるようなら、大丈夫そうですね」


 まあ、無傷ではないだろうし、最悪骨折くらいはしているかもしれないが、ここに回復魔法を使える者はいないから、今はどうしようもないな。

 一部をサイボーグ化してもいいなら治しようもあるのだが、コストがかかりすぎるから、よっぽど命の危機がある時にしかやらないぞ。


「それでは、船を新しくしますね」


 俺はヤマトと赤えいの死体を材料にして、「変換」を開始する。

 今回はヤマトよりもちょっとコストがかかるけど、未来技術は使っていないからなんとかなる。

 ただ、ヤマトよりは大きな船体になるから、楽ではないが……。


「ふぅ……完成……っと」


「これは……また様子が違うな……。

 なんだこの広い甲板は……!?」


 床の傾きが直ったので、ミーティア達は起き上がり外を見る。

 彼女達は、ヤマトとは全く違う甲板に驚いていた。

 この世界にはこんな形の船は、無いだろうからなぁ。


「ここが我が公爵家の、新たなる城です」


「なっ、海上で生活する気か!?」


「普通に城を建てたら、資金も期間も大変なので……」


 その点、これはちょっとした城に匹敵する巨大な船な上に、俺の能力を活用する為にも丁度いい。

 そう──今俺達がいるのは、原子力空母だ。

 これなら滑走路があるから、航空機も利用しやすくなるし、燃料を10年ほど交換する必要が無いという利点もある。


 更に俺には「空間収納」があるから、この空母の格納庫はあまり使うことは無いだろう。

 なので格納庫を縮小して、生活スペースを増やしている。

 しかも各部屋には浴室は勿論LED照明などが標準装備されているし、艦内には冷蔵室や調理室、更にゲームなどもできる娯楽室もあるぞ。

 これで確実に生活のレベルが上がる。

 前世とかなり近い生活ができるようになるのだ。


 ただ、こんな巨大な物が港に停泊し続けたら、影になる海中の生態系や漁業に影響がありそうなので、定期的に移動する必要がありそうだけどな。

 基本は外海に出て、特定のルートを回遊し続けるという形がいいのかもしれない。


 まあ、町に行くのはちょっと手間だが、それは郊外に建てた屋敷から馬車で行くのと大差ないかな。

 それと船酔いしそうなセリエルは、ここには住めないかもしれないのは問題だが、ドMだから放置プレイでも……。


 いや、さすがにそれはひどいか。

 やはりセリエルには、町に別邸を作ってそこの管理を任せ、俺が通うことで許してもらおうかな……。

 うん、結局は迎賓館のような物を、建てなきゃ駄目だ……。


 その後、この空母は港の沖へと停泊した。

 港の水深が浅くて、入れないからね……。

 それでも町からは、この巨大な船体がはっきり見えた為、大騒ぎになった。

 住人達には魔物のごとき存在に、見えたのかもしれない。

 直前までヤマトの砲撃音が鳴り響いていて、それに不安を感じていたらしいからなおさらだ。


 でも、新たな領主の就任を説明するいい機会になったので、結果オーライか。

 その後俺は町まで行って、港に何事かと集まっていた野次馬達に、俺の身分が公爵であること、空母が俺の所有物であり城であること、そしてこれらの艦船を用いて魔物の退治に成功したことなどを説明した。

 そしたらあっという間に、情報が町中に共有されることとなる。

 それだけ町人にとって興味のある事柄であり、事件だったということだ。


 これで俺のことを舐める住人は、1人もいなくなっただろう。

 実際、俺の外見を理由に、反抗的な態度を取る住人はその後見たことは無かった。

 俺は確かに少女だが、俺が所有する空母の威容と、公爵の権威は無視できないからな。


 住民の協力を得られやすくなったことで、領地の運営は多少楽になるな……と感じた。

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