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少女公爵爆誕

 暗殺組織の拠点に乗り込んだ夜から、数日が経過した。


 当初、孤児院の子供達は、宿屋でも貸切ってそこで生活させようかとも思ったが、組織からの干渉される可能性が限りなく低くなったので、取りあえずそのまま孤児院で生活してもらうことにした。

 まあ、さすがに壊れかけたベッド等、それらの代わりとなる物は、新たに買って運び込んだが。


 勿論、念の為に冒険者を雇って護衛もつけてたし、定期的に食事を配達するように、料理屋にも依頼している。

 そして静代さんには、孤児院の状況を俺に報告する連絡員として働いてもらうことにした……のだが──、


何故(なぜ)いるのですか……?」


 朝、目覚めると静代さんが隣で寝ている……ということが増えた。

 ベッドにもぐりこんでくるとか、まるで猫みたい……というか、猫か。


 ただ、アンシー達があまりいい顔をしないから、頻繁にはやめてほしい。

 そう言いつつも、静代さんの体温のぬくもりは心地いいので、うれしくもあるのだが。

 頭を撫でておこう。


 それから数日が経過して、数人の貴族が暗殺されたという話を聞いたが、たぶん活動の継続が不可能となった暗殺組織が、切っ掛けとなった依頼人へ八つ当たりをしたのだろう。

 知らんけど。


 でも、あれから俺の周囲を嗅ぎまわる者はいなくなったので、しっかりと警告になったようだ。

 これで俺に手を出したらどうなるのか、貴族社会にも裏社会にも周知されたと思う。

 そんな訳で、ゆっくりと陞爵(しょうしゃく)の儀式に備えることができた。


 あとは暇を見て新領地の下見をし、俺の下についたカトリ教国の者達の移住の準備を進めている。

 彼らには開拓民として、新たな村を作ってもらおうかな。

 いきなり地元の町に移住となると、異文化の価値観と対立しかねんからな……。

 で、開拓村の住人中から、能力次第で商会の店員や商品開発者、護衛等として雇用しようと思う。

 希望者には、孤児達の里親になってもらうのもいいだろう。


 


 で、そんな日々を送っていく内に、ついに迎えた陞爵の儀式の日──。

 これは王城で行われる。

 だが、内容は卒業証書の授与式を更に格式ばった物にしただけなので、特別面白いことも無い。

 だからその内容については、割愛する。


 ただ、出席した貴族の中には、俺のことを睨んでいる者も少なくなかった。

 やっぱり暗殺者を送るほどではなくても、目障りなのだろうな。

 あ、ザントーリ公爵もいるのか。

 さすがに息子を殺されているから、俺を敵視するのも理解できる。


 だけどそんなに嫌うのなら、出席を辞退すればいいのに。

 強制参加じゃねーぞ、これ。

 まあ、参加しない者は俺の対立勢力だと立場を明確にするから、それが不利益だと感じる者なら、参加せざるを得ないのだろうけれど。

 だから遠方や他の用事で参加が難しい者でも、祝電……という訳ではないが、お祝いとお詫びの手紙くらいは送ってくるからな。


 そんな風に俺へと敵対的な態度をとる者がいる一方で、着飾った俺に見惚(みと)れている者も多かった。

 さすがにこれほど立派なドレスを着るなんてことは、前世では全く考えたこともなかったから、なんだか変な気分だ。

 まあ、羨望の視線はちょっと気持ちいいが……って、エロい視線を送ってくるんじゃない!

 不敬だぞ。


 そして儀式が終わった後は、場所を城外の会場へ移して、ささやかな記念パーティーが開催された。

 その中で俺とミーティア第5王女、それにラントール伯爵家のセリエルとブラウン男爵家のアリサと婚姻を結んだことも発表されたが、参加者の驚く顔は見ものだった。

 ただ、その途端に俺との縁をつなごうとして、挨拶しにくる者が爆増したのはウザかったが。

 やっぱり王族とのコネは、価値が大きいのか。


「ははぁ……アリサが君と結婚したいという手紙を、毎日のように送ってきたのはこういうことか」


 と、今回の儀式の為にロゼーカンナ市から、この王都へ訪れたルエザリクさん。

 さすがに王女との結婚は、彼にも秘密だった。

 事前に情報が洩れると邪魔をする者が出てくるかもしれないし、こういう場で発表した方がインパクトが大きく、結果的に俺と王族のつながりを強く印象づけることができるからな。

 だからルエザリクさんとしては、アリサとの結婚しか把握していなかったはずだ。

 

「いや……いいんですか、アリサの結婚は……?」


 事前に手紙にて「いいよ」と軽いノリで許可されていたが、本当にそれでいいのか?


「公爵様と親類になれるのなら、良いことじゃないか。

 そもそも私は、アリサを政略結婚の道具にするつもりは無かったからね。

 しかし男爵になった以上は、あちらこちらから縁談が持ち込まれていたから、いずれは断り切れなくなるとは思っていた。

 それならばアリサの希望の相手に、嫁がせるのが1番だ。

 まあ、女性の君が相手というのは予想外だったが、誰よりも信頼できる相手だし問題無いよ」


「なるほど……」


 確かに俺も、アリサが政略結婚に使われるのはなんか嫌だな。

 妹みたいな存在だと認識していたけど、少し認識を改めて彼女に向き合うべきなのかもしれない。


 というか、これから俺は、ルエザリクさんのことを「お義父さん」って呼ばなければいけないのだろうか……。

 国王やラントール伯爵はともかく、彼は商売仲間のつもりから、なんだか照れくさいかも……。


 そしてその後も、色々な人から挨拶されたのだが、予想外の人物が現れた。


「姉様、ちょっとまずい……!!」


 クレアが慌てたように駆け込んできた。

 そして彼女の視線の方を見ると──、


「何故いるのですか……!?」


「ひ……久しぶりだな、アーネスト」


 そこにはリンジャー男爵家夫妻──つまり俺とクレアの両親がいた。

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