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ごはんよー!

 俺は襲いかかってきた男を、鎧化した右手で掴み──、


「ひっ、何をす──」


 偽神父に目掛けて、全力で投げつけた。


「ぐおぉぉぉぉっ!?」


 男は偽神父を巻き込んで、砲弾のように吹っ飛んでいく。

 多分頭から突っ込んだ男の方は、即死だろう。

 変な方向に首が曲がっているし、頭の形も歪んでいる。


 まあ俺も、直接命を狙われた時は、甘い対応はしない。

 命という代償は、しっかりといただくぞ。


「なっ……その姿は!」


 静代さんも、俺の変化に唖然としていた。

 片腕だけ肥大化しているようで、異様な姿に見えたことだろう。


「私が本気で戦う時は、鎧を(まと)います。

 まあ、まだ片腕だけですがね」


「凄く強そう……。

 私、必要なかったかも……」


 静代さんの猫耳がペタンと伏せて、しょげ返っているのがわかった。


「あなたが私の為を思って、行動してくれたことが嬉しいのですよ」


 と、俺は右手を元に戻して、彼女の頭を撫でる。


「にゅ……」


 静代さんは、気持ち良さそうに目を細めた。

 はぁ……可愛い。

 尻尾の付け根をトントンと叩いてあげたい。


「む……」


 しかし俺が静代さんに気を取られいる内に、偽神父が起き出して、孤児院の方へと向かっているのが見えた。

 あの勢いの人間と衝突してもまだ動けるとは、随分としぶといなぁ……。


 だが、これ以上は駄目だ。


「がっ!?」


 俺は「空間収納」から銃を出し、偽神父を撃ち抜く。

 お前、逃げる時間を稼ぐ為に、子供達へ俺と戦うように命令するつもりだっただろ。

 そうでなくても人質にするとか、ロクな使い方はしなかったはずだ。

 それは許容範囲を超えている。

 大人しくしているなら、組織の情報を引き出す為に取りあえず生かしておこうかと思っていたが、そういうことをする奴は駄目だ。


 さて、片付けた偽神父達は、いつも通り適当な物に「変換」して「空間収納」に保存……と。

 そして次にやることといえば、孤児院の子供たちについてだ。


「孤児院の子供達の生活は……どんなものだったのでしょう?

 その、食事とか……」


「お腹いっぱいになったこと、無い……」


 静代さんは、目を伏せる。

 あまり思い出したくない生活だったようだ。


「それでは炊き出しですね。

 食料は常に持ち歩いていますから、みんなに食べてもらいましょう。

 まずは孤児院の子供達に、私を紹介してください」


「……はい!」


 これから子供達を預かることになる訳だけど、恩を売る……と言うと聞こえは悪いが、俺への印象を良くしておかないと、言うことを聞いてくれない可能性がある。

 ましてや暗殺組織に育てられた子供達だから、反発されると面倒なことになりかねないからなぁ……。

 まずは胃袋を掴む。


 俺の「空間収納」に保存していた料理は、時間が止まっているから温かいままだ。

 だから味は悪くないはずだし、貴族向けの料理だから、子供たちにとっては初めて食べる御馳走だろう。


 実際、子供達は喜んでくれたので、狙い通りだ。

 これならうちの商会で雇っても、問題なさそうかな?


 で、食事中──、


「誰!?」


 静代さんが警戒した様子で反応する。

 窓をノックする音が、聞こえたからだ。

 

 まあ俺は、その正体をなんとなく分かっていたので慌てない。

 そちらを見ると、予想通りアンシーがいた。


「アンシー、ご苦労様です。

 シズヨ……ニさん、彼女は私のメイドですよ」


「ああ……はい。

 知ってる……」


 俺達を監視していたもんな。

 それだけだから良かったけど、暗殺の実行役に加わっていたら、今頃ここにはいなかっただろう。

 俺としても、そんなことにならなくて良かった……。


 それはさておき、静代さんを狙撃した犯人を追っていったアンシーだが、普通に合流してきた。

 マジで俺が何処にいても、居場所が分かるようだ。

 たぶん彼女の脳内マップの上では、常に俺が表示されているのだろうな。

 未来技術のサイボーグだから、なんの不思議も無い。


「追跡した男が逃げ込んだ拠点を、制圧してきました。

 ただ、あれが組織の全てなのかは分かりません」


 さすがアンシー、実に有能だ。


「構成員は生かしてありますか?」


「抵抗した何人かは消しましたが、他は縛り上げました」


 ……消すって、物理的に消滅させたんだろうな……。

 恐ろしい子!


「それでは、そこへ案内してください。

 依頼者について吐かせましょう」


「かしこまりました」


 その時──、


「わ、私もいく!」


 静代さんが手を挙げた。

 それを見て、アンシーはジト目での視線を俺に送る。


「お嬢様……またですか?」


「またってなんですか、またって!?

 命を救ったら、(なつ)かれてもおかしくないでしょ?」


 まるで俺が好き好んで、女の子をたらし込んでいるかのように言われるのは、ちょっと不本意だ。

 たまたまそういう結果になっているだけだから!


 それはともかく静代さんにとっては、今まで逆らうことができなかった者達がいる場所だ。

 そこについてきても、あまり面白いことにはならないと思うが……。


 あるいは、だからこそか?

 自分を支配していた者達が、破滅するところを見たい……とか?

 それを見届けないと、組織からの呪縛が解けないというのもあるかもしれない。


「分かりましたシズヨニさん。

 悪い大人にお仕置きをしに行きますよ」


「はい!」


 そんな訳で俺達は、再び夜の街へ繰り出した。

 パソコンを買い替えた為、執筆環境がちょっと変わっています。結果として誤字脱字が増えていたらごめんなさい。

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