あなたのお名前
42号の名前をヨニシズからシズヨニへ変更しました。
最近、俺の周囲を監視している者がいるので、あえて人通りの少ない夜道を通って、誘い出すことにした。
そしたら狙い通り、襲いかかってくる者達が現れる。
完全に問答無用で、脅しでも何でもなく、暗殺が目的だった。
ならば遠慮無く、反撃することにする。
アンシーが4人、俺が2人を相手した。
アンシーは指からビームが発射できるから一瞬だけど、俺は銃を使うからちょっと対応が遅れるんだよな……。
それでも危なげなく、暗殺者を返り討ちにした。
「お嬢様、まだいます」
「はい、追いましょう」
襲いかかってきた暗殺者達の遺体は、取りあえず「空間収納」に保管し、現場から立ち去った存在を追跡することにした。
相手は気配を消すのが上手いようだが、アンシーのセンサーなら、見失うことは無さそうだ。
俺でもなんとかギリ追える。
で、標的が拠点らしき場所に潜り込んだので、俺達は少し離れた場所から様子を窺っていた。
すると中から、小さな人影が窓から顔を出した。
あれ……頭に突起のようなものが……?
もしかして耳か?
だとしたらケモミミ……獣人か!?
しかも小さな女の子っぽいし、これは手荒な真似をしないで、仲間に引き入れたいな……。
俺がそんなことを考えていると──、
「お嬢様、標的がコウモリを放ちました。
おそらく組織との連絡用……。
後を追えば、組織の本拠地が分かるかもしれません」
「そうですね。
ただ、さすがに私はコウモリを見失わずに追える自信は無いので、追跡はアンシーに任せ──」
その時、猫耳の方に何かが飛来するのが見えた。
矢!?
ヤバイ、口封じか!!
「アンシー、今矢を射た者の位置は分かりますか!?」
「はい、矢が飛んできた方向から逆算して……いました。
かなり離れていますが、補足できます」
「では、確保を。
私はあの子を助けます」
「はっ」
俺達は二手に分かれる。
そして俺が猫耳のところに駆けつけると、彼女は既に危険な状態だった。
これは心臓をやられているな……。
救う方法は俺の義足のように、治癒力を高める人工心臓を作るしかないか。
丁度、暗殺者達の遺体もあるし、それを材料にして……よし、なんとか間に合った。
それにしても……改めて見ると、小さな子だ。
9歳くらいかな?
黒猫……あるいは黒豹の獣人だった。
その後、意識を取り戻した猫耳少女から、なんとか打倒暗殺組織の協力を取り付けた。
しかし名前が無く、「42号」としか呼ばれていなかった……というのは、驚きだった。
普通は、貧民にも名前はあるはず……。
このことだけで、組織での扱いがどんなものだったのかが察せられた。
そこで新しい名前を提案したのだが、まさか「シズヨニ」という珍妙な名前を名乗るとは……。
俺が提案したのは、「シズ」だけのつもりだった。
「ヨニ」は42に、こんな意味を持たせられる……という一例で挙げただけのつもりだったんだ。
だって彼女には言ってないけど、「ヨニ」にはサンスクリット語で「女性器」って意味があるらしいし、名前としてはちょっとどうかな……と思っていた。
そういう意味では、「ヨニ」だけを選択されなくて良かったと言えるけど、「シズヨニ」は呼びにくいんだよなぁ……。
心の中では「静代さん」と呼んでおこ……。
「それでは、子供達を保護しにいきましょうか。
さすがに大勢の子供を、暗殺組織の拠点で育てるのは難しいと思うので、表向きは孤児院を偽装した施設で育てているのではありませんか?」
子供なんて騒いで当たり前だから、世間から身を隠しているであろう暗殺者達と、同じ場所では生活はしていないだろう。
ならば、逆に子供が騒いで当たり前の場所で、子供達を育てているはずだ。
「凄い、分かるんだ……。
小さい子はそこで暗殺者としての、基礎を教え込まれる……」
おそらく、子供らしさ……人間性を抑え込まれるような、厳しい生活を強いられているのだろう。
その過程で命を失う子も少なくないはずだ。
すぐに助けなければ……!
「それでは、そこへ案内してください」
「分かった……!」
アンシーはまだ戻ってきていないけど、彼女なら俺が何処にいても合流してくれるだろう。
なんなら追跡していた暗殺者を追って、組織の拠点を突き止め、制圧してくれているかもしれない。
彼女に任せておけば、問題は無いはずだ。
「こっち。
わ、身体が軽い!?」
走り出した静代さんが、自身の身体能力の変化に驚いて立ち止まった。
「新しい心臓で全身が強化されていると思うので、今まで以上に動けると思いますよ」
「凄い!
前よりもとても速く、走れそう!!」
テンションを上げて再び走り出した静代さんを追って、俺も走り出す。
強化された身体能力なら、俺も負けないぞ!!
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