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鎮圧終了

 さあ、アンシーが他の兵達と遊んでいる──本気になったら皆殺しだよ?──内に、ランバート伯爵を捕縛してしまおう。


「抵抗はするだけ無駄だ」


「ひっ、ひいぃぃぃ!!」


 3mほどもある俺の強化甲冑を見上げて、伯爵は震え上がった。

 まあ、こんな大きいのが迫ってきたら、俺でも怖いわな。


 そして伯爵は破れかぶれとばかりに、剣を無茶苦茶に振った。

 なんだこいつの動き……素人か?

 回避は容易(たやす)いけど、その必要も感じないほど酷いので、あえて強化甲冑の装甲で受ける。

 すると装甲に弾かれて、剣は明後日の方向へ飛んでいった。


「大人しくしろ」


「ガッ!?

 アアアァァァッ!!」


 俺は伯爵の右(すね)を蹴る。

 すると彼は地面に倒れ、苦しみ悶えた。

 さほど力を入れていないが、金属の塊に蹴られたら骨も砕けるわ。


 痛そうだが、可哀想……とは思わない。

 こいつは国を裏切った。

 同じ国の仲間からすれば、純粋な敵であるカトリ教国よりも唾棄(だき)すべき存在だろう。

 こいつの裏切りの所為で、本来は生じなかった多数の犠牲が出ているからな。


 しかも獣人達に対する奴隷的扱いを考えたら、骨折の痛みくらいはまだマシな方だ。

 これから彼は王都に運ばれて公開処刑にされるだろうけど、それまでは存分に苦しんでもらおう。

 勿論、教国のこととか、色々吐いてもらうこともあるし、楽には死ねないだろうな。


「私を助け──」


「おっと」


「なっ!?」


 伯爵が何か道具を手にしたので、即「変換」で適当な物に変えておいた。

 おそらく獣人達へ命令を与え、それを強制させる為の道具だろう。

 これで伯爵自身は勿論、獣人を操っての抵抗もできないはずだ。


 よし、伯爵を押さえ付けつつ、再度降伏勧告だ。


「伯爵は捕縛した。

 全員抵抗をやめろ!!」


 その呼びかけに、伯爵の配下全員が従った。

 彼らは伯爵に従っていただけで、この反逆も本意でなかったのかもしれないな。

 だから敗北を悟った瞬間に、あっさりと(あきら)めたようだ。

 誰も伯爵を奪還しようとはしない。

 要するに人望が無かったということだな。




 そんな訳で、マルドー辺境伯領での戦いは終わった。

 まあ、これから伯爵の悪事を調べるとか、色々とやることはあるだろうけど、それは辺境伯達の仕事だろうし、俺の仕事はもう無い。

 ……いや、俺に付いた教国の者達の世話があるな。


「え~、お前達の今後については、今王国と入国が可能なのかを協議しています。

 まあ、どのような結果になっても、悪いようにはしません」


 と、教国の者達に説明する。

 それと、改めて確認することができた。

 彼らの亜人達に対する態度だ。


「改めてお前達が、この剣を握ることができるかどうかを問います」


 俺が出した剣を見て、皆は戸惑う。

 だが、伯爵に奴隷にされていた獣人の中には、既に帰る場所が無い者もいる。

 そんな者達を俺は引き取ろうと思っているので、獣人達を差別する教義の中で生きてきた者達とのすり合わせは必要だ。


「私の従者の中には、獣人がいます。

 仕事仲間には、エルフやドワーフもいます。

 もしかしたら、魔族の知人だっているかもしれません。

 それでもお前達は、私に付き従うことがでるかどうか。

 そのことをこの剣で(あかし)を立てられない者は、我が民として受け入れることはできません」


 そんな俺の言葉に、皆は困惑してざわめく。


「必ずしも亜人種族と友好的に付き合う必要はありません。

 距離を置くのなら、それもいいでしょう。

 どんな種族にも悪人はいるし、他種族から見れば好ましくない性質はあるでしょうからね。

 

 それでも意味も理由も無く、一方的に害意を募らせて、攻撃することは許しません。

 今までと同じ信仰と価値観を持ち続けるのなら、教国へ帰りなさい。

 しかし変わろうと努力する決意を持つ者ならば、拒む理由はありません」


 そんな俺の言葉に、考え込む者達──。

 ただまあ、この程度で帰るようなら、彼等は最初からここに留まることはなかっただろう。

 その価値観に変化が生じたからこそ、ここに残ったはずだ。


「わ……分かりました」


 1人が進み出て、再び剣を握った。

 それに他の者が続く。

 今度は誰も脱落しなかった。


 そういうことならば、彼らの待遇をもうちょっと良くする為にも、当面生活する場所を作るか。

 俺のスキルでは家とかは作れないし、かといって車とかでは狭いし、何台作らなきゃならないんだ?って話になる。

 だが、軍事的な物なら、建物もいけるかもしれない。


 う~ん、トーチカ──人口の防衛陣地とか?

 十数人程度が寝泊まりできる程度の、大きなのを……。


「あ、できた」


 ならばこれを人数分量産する。

 そして危ないから、銃座とかの武装は後から消しておく。

 ここでの寝泊まりなら、テントよりはマシだろう。

 

「暫くはここで生活してください。

 王国内の移住先が決まったら、迎えにきます」


「おお……ありがたい」


 皆が(ひざまづ)いて、俺に祈りを(ささ)げるようなポーズを取った。

 そういうのはいらねぇから!

 今後、色々と教育する必要があるなぁ。


 それじゃあ後のことは辺境伯に任せて、王都に帰るか。

 でも本当に今回の戦功で、陞爵するのだろうか……。

 俺が当事者でなかったとしたら、こんな子供が教国軍を追い返したとか聞かされても、絶対に嘘だと思うね。

 いつも応援ありがとうございます。

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