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第18話

「お待たせいたしました! さっ、帰りましょう恋葉ちゃん!」

さっきの機嫌の悪さはなんやったのか。まあ、元気なのでそれはいいとして。

「また来てね、恋葉ちゃん」

「って言っても、いつになるか分からないかもな〜?」

「そんなぁ! じゃあじゃあ、今のうちに恋葉ちゃんといっぱい百合キスしなくちゃ!」

せ、先輩方それはちょっと!!

「え、エヴァちゃん助け!」

いないいい!!

なんで!? 酷い酷い!

「あわわ、し、失礼します!!」

慌ててお店を後にします。うぅ、まさか1人で残されるとは! んもう!



「うふふ♡ エヴァちゃんは分かりやすくて可愛いですね♪」

「そーとー動揺してたな!」

「いじるのやめてあげなさいよ……」



「さあ恋葉ちゃん! 今日も百合キス補充、ですわ!」

お風呂もご飯も済ませて、あとは寝るだけ。いつも部活やバイトで百合キスしてきたエヴァちゃんならこんなこと言わんのやけど。

「リトル・ガーデンでいっぱいしたのに?」

「今日は足りないんですの!」

あれあれ、またご機嫌斜めモード?

「あ。じゃあ、エヴァちゃんちょっとだけ目を瞑ってて?」

結局メイドさんたちとのキスとエヴァちゃんとのキス、なんか違うんやけど、違和感の正体は掴めんのよね。

「なんですの?」

「まあまあ、すぐ終わるけん。電気は先に消すよ」

なんというか、慣れてきてしまったような。エヴァちゃんとのキスはドキドキするけど、キス自体にはもう抵抗も無いし。生活の一部になったような感じ。

さて。そんなわけでウチは今からエヴァちゃんにキスしようというわけなんですが。

それが1番手っ取り早いような気がして。

電気を消し、ベッドに戻ってきて正座でエヴァちゃんと向かい合う。

「すーっ、はー……よし。じゃあエヴァちゃん、目瞑って」

「かしこまってどうしたんですの?」

不思議そうなエヴァちゃんの声には応えず、再び深呼吸。ウチからするのは2回目なんやけど、やっぱ緊張する。目を瞑ったエヴァちゃんを見つめる。綺麗やなー。ほんと、お人形さんみたい。

血色のいい頬を、自らの両手で包む。すべすべで温かい。ドクンドクンと心臓の音が聞こえて、更に緊張が高まる。前回の遊びのようなお仕置きのキスなんてもんじゃ無くて、今からするのは、本気の……気持ちを、確かめるためのキス、だから。



ちゅっ



「……ね、ねえエヴァちゃ、」

「な、なな、なんですの!?」

「え。どうしたと? キス、いっつもしよるやん」

ぼふんという音が聞こえそうな勢いで、顔を真っ赤にするエヴァちゃん。予想外の反応で、恥ずかしさを忘れて呆然とする。

なんで?

「いやあのだって、恋葉ちゃんからしたことって、あんまりないでしょ?」

「でも2回目よ?」

「うう! だから!」

「ねえ、エヴァちゃん。エヴァちゃんがウチにするキスって、何のキス?」

リトル・ガーデンでのキスは、お仕事だよね。もちろんエヴァちゃんは女の子が可愛いからキスするんだろうけど。それと同じなんかな。ウチは、違うな。メイドさんたちとのキスと。今、はっきりした。

「それは…」

困ったように俯くエヴァちゃん。

「あのね、もっとしたいなって、思ったよ」

きっと、もっと可愛くて綺麗で、エヴァちゃんに想いを寄せるような人が周りにはたくさんいると思う。やけん、特別やったら嬉しいし、でもそうじゃない可能性だって高い。本当にそれだけのこと、可愛いからってだけでキスしとるかも。でも、

「あのね、たった今、分かったこと、やけど。……ウチ、エヴァちゃんのこと、好いとーよ」

この数日引っかかっていたことが、この一言で、するりと解けていく。

まだエヴァちゃんはびっくりした表情で、どういう気持ちでそうなっているのかまでは分からん。

嫌なのかも。でもエヴァちゃんなら、嫌だったら菊花寮に移ることもできて。まあ、手間はかかるけど。ウチから、逃げることができる。そうしてくれていい。そしたらもう関わらんし、教室でだって喋らん。普通がどんなものかは知らんけど、ウチは もし拒まれたら忘れたい。

「変なこと言ってごめんね。寝よっか」

とは言ったものの、この状況ではとてもじゃないけど気まずいし寝れるわけない。散歩でもしよう。きっとその方がエヴァちゃんもいいよね。


完結までまだもうちょっとかかりそうだ…

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