第14話
結局、日を改めてやってきた旧校舎。
「さて! 漫画研究部は……2階ですわね」
「じゃあ2階からまわろっか」
廊下にはウチらと同じように部活見学に来ているらしい子たちも少なからずおる。でもほとんどが中等部の1年生だ。エヴァちゃんがおって良かった〜。
「あ。あなたたちも部活見学中? 良かったら覗いて行かない?」
声をかけてきたのは、イラスト部の先輩だった。他にも何人か見学に来てるみたい。
「行ってみましょうか」
「うん」
部室では、壁に部員が描いたイラストが展示されている。部員の人たちは教室の中心に寄せられたテーブルに着いて、和気あいあいと談笑しながらイラストを描いているみたい。まずは展示を見ることにした。
「ウチ、絵描くの苦手やけん、羨ましいなぁ」
「あら、練習あるのみですわよ。……あ、この子……」
足を止めたエヴァちゃんが見つめる先には、2人の女の子が描かれた絵があった。1人は背が低くて、無邪気な笑みを浮かべた可愛い女の子。もう1人は、背が高くて控えめな笑みが上品な、綺麗な女の子。
「素敵な絵! 幸せそうだなぁ〜」
「ええ、私が会ったことのある女の子にとっても似ていますわ。もしかして、モデルになった方がいらっしゃるのかしら」
「褒めてくれてありがとう。その通りだよ。ふたりのこと知っているの?」
最初にウチたちに声をかけてくれた先輩が、このイラストを描いたらしい。
「この右の女の子に、一度、助けてもらったことがあるのです。犬に追いかけられて……天使に見えましたわ。とってもかわいくて」
エヴァちゃん、犬苦手なんだ。それにしても、エヴァちゃんは女の子にはみんなに可愛いって言ってるような。
「かおりちゃんね。あの子、いつも動物と一緒にいるね。わたしが最初に出会った時も、猫を追いかけて迷子になっていたし」
かおりちゃんって言うんだ、この女の子。
「まあ、可愛いわ。このお二方、あなたの大切な方ですの?」
「そうだよ。それこそ、わたしの天使だよ。恥ずかしいけど」
先輩はポッと顔を赤らめて本当に恥ずかしそう。でも、イラストを見てもそうだけど、3人とも幸せなんだな。恋するって、そんな感じなんだ。羨ましい。ウチもいつか、幸せな恋できるかなぁ。
「私、本当にかおりちゃんには感謝していますの。お礼をしたいのですが、彼女は何か部活に入っているのですか?」
「かおりちゃんは美術部だよ。あんまり顔を出していないみたいだから、今日も行ってるかは分かんないけど。部室にいなかったら、たぶん図書室だと思う」
「ありがとうございます! では恋葉ちゃん、次は美術部に行きましょう!」
もう、エヴァちゃんは本当に行動早いなぁ。
「え! もう行くと? それに漫画研究部は??」
「そんなの後回しです! わたくしは一刻も早くあの子に会いたいのですわ!」
ちょっ、そんなこと先輩の前で言うの良くないよ!
「先輩の彼女さんなんやけん、キスとかしちゃいかんよ?」
って、行っちゃった。追いかけようとすると、先輩に引き止められる。
「君たちは恋人同士なの? キスって?」
「い、いえ! ルームメイトなんです。エヴァちゃん、女の子大好きだから……ウチにもしてきたし。大丈夫かなぁ」
暴走しちゃわないかな。
「あの子はあなたのことが特に大好きみたいだね。じゃあ、万が一あの子が暴走したら止めてね。流石にちょっと、キスは許せないかも」
学校で先輩に目をつけられるって、とてつもなくやばい! 早くエヴァちゃんのとこに行かな!!……あ、そうだ。
「あ、あの。恋するって、どんな感じですか?」
この人なら、何かヒントをくれるような気がした。
「え? うーん、そう聞かれると難しいかも。1つだけ確かなのは、恋をするってとっても素敵だってことかな。上手くいってもそうじゃなくても、相手を好きだって気持ちだけですごく満たされるもの。そりゃあ上手くいく方が嬉しいけど」
2人の天使の事を思い出してか、先輩はすっごく優しい顔をしている。
……うーん。そうなんだ。でも素敵なことだって言うなら、やっぱり憧れるな。
「そうですか……あ、変なこと聞いてごめんなさい。失礼します」
「うん。素敵な恋ができるといいね。良かったらまた遊びに来て」
ありがとうございます、とお礼を言って、教室を後にする。そういえばエヴァちゃん、美術部の場所知っとうとかいな?
とってもイチャイチャ少なくてごめんなさい!
富美司つかささんの水藤叶美ちゃんにご登場いただきました!叶美ちゃんが活躍する「恋は芽吹いて百合が咲く」はこちら!
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