表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/69

帝国の町に行くことにしました。

誤字脱字の指摘、大変助かっております。

 ルンデル商会の第二便が俺んちに届く。

 今回の売り上げも金貨四千枚以上あり十分な収入らしい。

 そのうちの一部を食料として納入してもらい、皆に振り分けていた。

 そして働いた者には給料を出す。

 まだ、ルンデル商会の支店はできていないが、住人たちは商隊が持ってきた商品を見ながら買い物を楽しんだ。

 ただ、所々で、

「あの子が居たら喜ぶのに……」

 という売られていった子供のことを思う者の声。

 何とかならんかね。


「ノワル、グレア、ベアトリス、ドリス、ウルでここを守っていてくれないか?」

 急に言い出した俺の言葉に意味がわからない五人。

「俺は帝国の町を覗きに行きたいんだ。

 獣人の子供が奴隷として居ると言う町をね。

 近くに居る者だけでも助けたい」

「私は無理ですが、他の誰か一人だけでも連れていって下さい」

 とベアトリスが言った。

 本当は全員で守ってもらいたいんだが……。

「それでは、ノワル頼む」

「了解じゃ」

「ご主人様私は?」

「不服か、グレア」

「そうではないのですが……」

「俺がノワルを選んだのは、ノワルが完全に人化できるからだ。

 グレアの人化は、耳と尻尾が残る。

 俺は好きだがね。

 ただ帝国の町に行けば、獣人は差別される。

 俺はグレアが悲しむのは見たくない。

 それに、ノワルかグレアのどちらかにはこの場所に居て欲しい。

 やっぱりノワルかグレアが俺を除いた最大戦力だからな」

「しかし、奴隷化された獣人たちが、ご主人様やノワル様が声をかけたとして納得できるでしょうか?

 私が、街に行き差別されながらも獣人を探し保護するほうが獣人たちにとって安心できるのではないでしょうか?」

 珍しくグレアが反論した。

「確かにグレアの言うことも一理あるのう。

 獣人に見えるグレアのほうが安心できるかもしれん。

 アリヨシよ我らはパスで繋がっておる。

 アリヨシが呼べばその場まで(われ)はあっという間に辿りつけるだろう。

 アリヨシ以外の最大戦力である(われ)がこの場に居たほうがいいのかもしれぬな」

 確かにグレアの言うこともノワルの言うことも一理あるな。

「それじゃ、俺とグレアで行く。

 ノワルはここの防衛と何かあった時の援護を頼むよ」

「ご主人様、かしこまりました」

「アリヨシよ、心得たのじゃ」


 ふと、視線を感じると、そこにはアリーダ。

「イーサの町に行くんだろ?

 俺も行く!

 私が行ったら知ってる子たちが安心する。

 俺はアリヨシの奴隷って立場でもいいよ。

 だって、あのままだったら死んでたんだから」

 アリーダの目には強い意思があった。

「ダメだ、ミカルさんは俺と行っていいと言ったのか?」

「お父さんは『アリヨシ様の役に立つことをしなさい』と言った。

 だから、俺はアリヨシと一緒に街に行く。

 仲間を取り戻す」

 俺とアリーダはミカルさんのところに行き、

「アリーダが「俺と帝国の町に行きたい」と言っているがいいのか?」

 と聞いてみた。

「アリーダがそれを望むなら、やらせてもらえませんか?

 あの子はあなたを好きなようだ。

 役立ちたいと思っている。

 たとえそのせいで死を迎えようとも笑うんじゃないでしょうか」


 そう言うの要らないから……。

 ミカルの言葉が肩に重くのしかかる。

 期待した目でアリーダが俺を見上げた。

 そりゃ確かに顔見知りが居るのは大きいよな。


「仕方ない、連れて行くか」

 俺がアリーダを見て言うと、

「やったー!」

 と言って俺に抱きつく。

「遊びじゃないんだぞ。

 そして見たくないものを見るかもしれない。

 俺とグレアが守るとはいえ、怪我をするかもしれない。

 それでも来るのか?」

「うん」

 アリーダはニコリと笑うと体を大きく振って頷くのだった。



ここまで読んでいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ