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領主? の依頼を達成しました。

 ノワルと共に俺とグレア、そしてスレイプニルたちがオセレ村の入口に降りる。

 村人たちは慣れたもので、「また来た」って感じである。

 グレアがノワルの背から降り人化した。俺もスレイプニルから降りる。

 そのままドリスの館の方へ歩いていくと、報告を受けたのかドリスが走り出てきた。


「アリヨシ様、ようこそお越しくださいました」

「おう、来たぞ」

 グレアとノワルは後ろでニヤニヤしている。

「アリヨシ様、その馬は?」

「ああ、オセレ村の領主様が依頼していたものです」

 俺はわざとらしく言った。

 一番デカいスレイプニルが俺に横に出てくる。

「八本足の巨馬……まさか本物のスレイプニル?」

 驚くドリスの前に跪いた。

「乗れって言ってるぞ?」

「えっ、いいの?」

 クイクイと頷くスレイプニル。

 恐る恐るドリスはその背に乗った。

 するとスレイプニルが立ち上がる。

「わわっ。思ったより高い」

 スレイプニルが急に走り出すとドリスが振り落とされた。

「おっと」

 俺は近寄ると落ちる前に抱えあげる。

「さすがです」

「さすがじゃの」

 グレアとノワルがニヤニヤ継続で見ていた。

「ブヒヒヒン」

 歯茎を出して笑っているように見える。

「ちょっとしたイタズラらしいな。

 でもスレイプニルとしてもこのくらいは軽く乗りこなして欲しいんじゃないか?」

 すると、ドリスは厳しい顔をして

「悔しいですね。

 でも乗りこなしてみせます」

 と言った。


 んー、気づいてない? 

「で、そろそろ降ろしていいかな?」

 今の状況を理解したドリスの顔が真っ赤になる。

「私ならば、もう少しご主人様に抱き上げていて欲しいですね」

(われ)もじゃな」

 集まってきた村人たちもちょっと笑っている。

 真っ赤な顔をしていたが、勢いをつけ首に手を回して抱きついてきた。


 そのままドリスを放置していると、ばつが悪くなったのか、そろりと回した手を離し、

「降ります」

 と言ったので、ドリスを降ろした。

「もちょっと頑張るかと思ったがのう」

 ノワルがからかうが

「恥ずかしいです」

 と下を向き小さな声でドリスが言った。


「あっ、スレイプニルたちに名前を付けないと」

 ドリスが気付いたように言う。確かにおっきいスレイプニルとか母スレイプニルとかじゃいかんか……。

「ドリスがつければいいだろ?」


 三頭……俺ならガ〇ア、オルテ〇、マッ〇ュあたりにしそうだな。

 でも親子だしメスが居るから無理か……。


「ガイア……」

 おっ、まさか……。

「は、この子のお母さんね」

 ですよね……。

「お父さんをウラノス……、子供をクロノス……でどう?」

 俺じゃなくスレイプニルたちに聞くドリス。

 スレイプニルたちは。頭を縦に振っていた。

 名前を受け入れたようだ。

「ありがとう」

 順番に抱きつくドリス。

 そして、ドリスに頭を寄せるスレイプニルたちだった。


「さて、オピオまでの道を作る訳だが、ここからは旅人も多いだろう。急に足元が変わって、オセレ村のように驚く者が出てきてもおかしくない。グレアとノワルに前を行っててもらって、巨人の状態で道を作ろうと思う。それに巨人のままでやらないと魔力が足りなくなりそうなんでね」

「そうじゃな、(われ)は巨人の巫女じゃしな」

「そうですね」

 ケモノーズの二人も付いてくると言った。ドリスが俺の方を向くと、

「アリヨシ様は私の従魔です。私が前を行きますね。それにスレイプニルに乗る練習にもなると思いますし」

 と言といいだした。

「まあ、丁度スレイプニルも三頭居ることだし、それでいいんじゃないかな?」

 俺が巨人に戻ると、父スレイプニルのウラノスにドリス。

 母スレイプニルのガイアにノワル。

 子スレイプニルのクロノスにグレアが乗る。

 そして、オピオに向かった。


 んー、ここまで見世物みたいになるかねぇ。

 俺の周りには結構な野次馬が集まる。

 同じ方向に進む旅人なんかは、一緒に行こうとする始末だ。

 女騎士姿のドリス。

 そして白と黒のゴスロリ服姿の美女のグレアとノワル。

 その後ろから俺。そりゃ目立つよな。

 それでも俺は歩きドリスの前を整地石化させながらオピオに向かった。

「あの巨人どうしたの?」

「あの騎士に捕まったんだって」


 いや、捕まってないから……。


「あの白と黒の女の人は?」

「騎士に従う者だってさ」


 いや、俺に従ってるから……。

 いちいち、説明しながら動くわけにもいかないからか、俺は放置されている。

 まあ、話題になる位なら問題ないか……。


 俺は公共のためにやっているが、それがわかっている者など俺以外にはドリス、ノワル、グレアだけだ。

 だから、心無い人も出てくるわけで……。

 一人の男が調子に乗って石を投げてきた。

 俺に当たる前に、ノワルが反応し石を掴む。その石を投げた男に投げ返した。

 狙っていたのだろう、男の頬を掠め、地面に突き刺さった。

「お前、死にたいか?

 何を勘違いしている?

 (われ)は巨人に仕える者。

 巨人に手を出すなら遠慮はせんぞ?」

 男に脅しをかけるノワル。


 おっと、ヤバいオーラが出てるね。


「ノワル、抑えろよ」

 パスでノワルに話しかけた。

「何でじゃ?」

「ノワルが俺のために怒ったのは嬉しいが、お前が怖がられたら困る。

 それにお前は俺に仕える者だろ?

 お前が怖がられたら俺が怖がられる。

 俺が怖がられたら人に嫌われる。

 嫌われたら最悪俺が狙われる。

 狙われたらドリスやベアトリス、グレアやノワルが俺を守るだろ?

 するとあの場所に住めなくなるかもしれない」

「よくわからんぞ?」

「要は俺はお前が心配なんだ。

 妻は夫の言うことを聞くものだ」

 自分で言っててメチャクチャだとは思うが「妻」という言葉に反応する。

「妻は夫の言うことを聞くものじゃな」

 そんな気は更々ないのだが、そう思っているなら使わない手は無い。

「そう、聞いてもらえると嬉しいぞ」

「わかったのじゃ」

 ふう、収まったようだ。

 俺が説得しているうちにドリスが説明をする。

「この巨人は普通の巨人ではない、人のために働く良い巨人だ。

 だから、石など投げたら、巫女だけではなく騎士である私が処罰する。

 わかったか!」


 おお、ドリスも怒っているようだ。

 ありがたいね。


 野次馬たちはシュンとする。

 その方が俺は助かるがね。

 道の整備の邪魔になるのは困る。

 とりあえず三分の一程度終わった時に日が暮れ始めた。


「今日はこれまでかな?」

 ドリスにパスで話す。

「アリヨシ様、やはり昼間は難しいのでは?

 夜であれば旅人は宿屋や野営で街道から離れます。

 夜に作業を行ってはどうでしょうか?」


 そういえば、日本で道路工事と言えば夜が更けてからって感じだよな。


「それは、夜になって作業しろって事?」

「そうですね、アーネコス村からオセレ村までを一気にやった感じでオピオまでやってしまえばいいのではないでしょうか」

「ドリス、それ採用」

 俺たちは、野営始める旅人を尻目にほどほど進め、誰も居ない場所まで行く。そして、夜中まで待った。

 地の精霊に依頼して整地を行ってもらったあと、おれがメイスで石化する。


 はい、出来上がり。

 最初っからそうすればよかったと後悔。

 さすがドリスです……。


 ノワルに龍化してもらって、オピオ直近まで確認してもらったが、

「オピオの門直前までは道は広くて石敷きじゃ」

 という報告があった。

 これで、とりあえず、アーネコス村から領都オピオへの道はできた。

 早く岩塩の回収に来てもらえるといいのだが……。

 今後は時間ができたらアーネコス村からオピオの道をバイパスで作るかね……。

 オセレ村の事を考えると難しいかなぁ……。

 ドリスと話しあって作るかね。

 そう思って街道整備を終えた。


小説を読んでいただきありがとうございました

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