エルフの受け皿を作ろう。
ウルの村のエルフたちが俺のところへ来ることになった。
準備しないとね。
まずは家かぁ。
ベアトリスの家も見た目はもう少しだけど大工はベアトリスの家で手一杯。
俺が作るしかないんだろうなぁ。
土の家になるなあ。
大丈夫かな?
俺んちから少し離れたところにメイウルで土壁を作る。厚さが十メートル、幅が十メートル高さが三メートルってとこ。その中を土の精霊に頼んで壁の分だけ残して除去。玄関と勝手口を作る。
んー、ただのだだっ広い部屋でしかないな。
土の精霊に再び頼み十字に壁を作って四部屋にした。
ウンウンこれなら……。
それぞれの壁を通れるようにするのも忘れない。
窓も要るね。ガラスがないから、木戸の両開きってことで。
木の精霊にちょうどいい木の板を作ってもらって嵌め込む。
入り口と勝手口にも扉を忘れない。
こんなもんかなあ……。
最後に土の精霊に依頼して、出来上がった土の家を硬化してもらった。
そしてメイスで石化する。
俺は巨人に戻って家を踏みつけてみた。
「やっぱり〇ナバ、俺が乗っても大丈夫」
ボソリと言ってみる。
面白くなさ過ぎて背筋が寒くなるな……。
物置じゃねえし。
まあ、俺の荷重に耐えられるなら、大丈夫か。
同じことを十五回ほど繰り返すと、ちょっとしたゴーストタウンのようになった。
木の精霊にふたたび依頼して、テーブルと椅子を作る。
一軒にテーブル一つと、椅子二脚。
なんと継ぎ目なし。強度はありそうだ。
あとは、収納棚を一軒に一つ作ってと……とりあえず、家はこんなもんかなあ。
洗い場上の水を分岐させて集落に行くようにして、洗い場も作る。
ウンウン水回りはこんなもん。
トイレは穴掘っておけばいいか。
一応壁で囲ってと……。入口の扉も作っておこう。
んー、わからん。あとは来てからってことで。
あとは、ウルに見てもらってと……。
俺は一度家に帰りウルを探す。
ありゃ、居ないねえ。
「ウル、どこ?」
パスで声をかけた。
「お風呂に入っております。
いつアリヨシ様のお呼びがあってもいいように……。
で、どこでしますか?」
風呂に浸かっていて見えなかったのか……。
「いや、お前とやるために呼んだんじゃないし……」
「それでは何を?」
ウルの不思議そうな声。
不思議じゃないし……。
「村のエルフたちが住む家を作ったんだ。
ウルにその家を一度見てもらって意見を聞きたい」
「少し待ってくださいね。
何なら私をじっと見ていてもいいですよ」
なんか変わったなウル……。変な方向に吹っ切れてるぞ?
ウルの着替えが終わると、二人で集落へ向かう。
「ウル、こんな感じでできたんだが……」
そこには石でできたマッチ箱のような建物が並ぶ。
「さすがはアリヨシ様ですね。これほどの物を短時間に……」
「一緒に中に入って確認してくれるか?
手直しが必要ならやっておきたい」
「はい!」
ウルは俺の腕に抱きつき一緒に中に入る。
俺的にはこの家で何も問題ないと思うが、どうなんだろう……。
「カマドが欲しいですね」
「カマドかぁ……」
田舎の古い家にあるやつでいいかな?
メイウルで小っちゃい壁、縦五十センチ、横一メートル、高さ八十センチを作り、内部の成型は土の精霊に頼む。薪を入れる所と、鍋やフライパンんを置くところを作成。
後は、硬化と、石化でどうでしょう?
「ウル、こんな感じでどう?」
「はい、これなら問題ありません。
村人が来た時には薪を準備してもらえると助かります」
「おう、了解」
他の所にもカマドを作成する。
「アリヨシ様、食器などは村人たちが自分で持ってくるでしょう」
「そういや、移動の手段とかあるのか?」
「馬が数頭いたと思います。馬車での移動になりますね」
俺とノワルで荷物、グレアで人を運べば何とかなるかな。
「あっ、アリヨシ様。できたらお風呂も……」
「温泉?」
「はい」
ふむ……。
メイピで湯船を二つ、ディトで温泉の給水溝と排水溝を作成。あとメイウルで風呂場と風呂周りの壁、男女の仕切り板をつくってと……。
「アリヨシ様?」
「何?」
「何で湯船が二つ何ですか?」
「男湯と女湯って考えてるんだが」
「何で男湯と女湯なんですか?
一緒に入らないのですか?」
「エルフは一緒に入るのか?」
「エルフは行水になります。
お風呂に入る習慣は有りません。
でももしお風呂を作るなら男女一緒のほうがいいと思います。
ただでさえ出生率の低いエルフです。
裸同士でお風呂に入れば……ね?」
「『ね?』って何だ?
まあ、湯船は大きめのを一つにしておくよ」
これで、風呂はできたと……。
「ウル、食事はどうすればいい?」
顎に手を置いて上を向いて考える。
「そうですね、食料は皆で持ってくると思いますのでしばらくは問題ないでしょう。
問題はその後ですね。
弓等の武器があれば狩りに出て肉は自給すると思います。
穀物はベアトリス様に頼んで定期的に仕入れるようにすればいいでしょう。
野菜は、近辺に菜園でも作れば大丈夫かと」
「服は?」
「エルフは、製糸、機織り、縫製、自分で服を作る術を持っています。
時間があれば問題ありません」
さすが寿命の長いエルフだ。
時間で何とかするんだね。
「じゃあ、とりあえずこれで受け入れは可能だな」
「はい!」
準備完了!
あとは、受け入れだねぇ。
穀物の件は、ベアトリスと相談するか……。
俺とウルはベアトリスを探し食べ物系の話をしに行くのだった。
小説を読んでいただきありがとうございました。




