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俺の報告とベアトリスの報告と。

 グレアと家に帰ると、ベアトリスとノワルも既に帰ってきていた。

 ウルが食事の準備をしている。

 俺を降ろすとグレアが人化し、俺の後ろを歩いてくる。

 既に顔が赤いグレア。

「お帰りなさい、アリヨシ様」

「ウル、ただいま」

「遅かったですね」

「ちょっと遠くまで散歩だ、グレアの父ちゃんが亡くなった場所に行っていた」

「でもなんでグレアさんは赤いのですか?」


 そこ突くかぁ……。


「それはのう、女になったからじゃな」

 ニヤリと笑いながらノワルが言った。

 さらに赤くなるグレア。


 グレア、アンタそれじゃ認めているようなもんじゃないか……。


「「えっ? 女?」」

 ウルとベアトリスが反応する。

「匂いが違うからの。

 間違いなかろう」

 駄目押しですかノワルさん。

「で、どうなのじゃ? アリヨシ」

 ノワルは俺の目の前に立ち聞いてきた。

 家ができてからって話だったが、ここでジタバタしても仕方ないか……。

「グレアを抱いたぞ?」

 何かが張りつめる。三人の視線が俺に集まる。

「ほっ、ほう、でどうだった?」

 俺があまりにも素直だったので、焦るノワル。

 もうちょっと動揺したほうがよかったのか? 

 というか、どうだったって聞かれてもな……。

「グレアは綺麗だったし可愛かった」

 としか答えられなかった。


「で、子はできるのか?」

 ノワルよそっちを聞くか? 

 意外とやっちゃったほうは気にしないのね。

 ノワルだけが気になるわけではなく他の二人もそうなのだろう。めっちゃ見てくる。

「まだわからんよ。卵子に精子が辿りついて受精しなければ子供はできないだろうし、それが着床しないとなあ」

「「「? ? ?」」」

「アリヨシ様、卵子とか精子というのは何のことでしょう?

 着床とは?」

 ベアトリスが代表して聞いてきた。

 この世界ではそういう知識が無いのかね。

 でもエルフってそういう知識込みで俺を作ったんじゃないのか? 

 もしかしたら、ロストテクノロジー的な物になってしまっているのかな? 

 訳が分からない。


「女性が持っているのが卵子、男性が持っているのが精子。

 これが一緒になって受精する。

 そしてその受精した卵子が子宮にに定着しないと子供ができないんだ」


 で、よかったかな? 


「私の兄が子供ができないと悩んでいるのですが」

 ベアトリス、なぜその相談を俺にする。

「それはタイミングだろう。

 生理って知ってるか?

 月のものとか聞いたことが無いか?

 要は血が出た日から約十四日後に排卵が起こる。

 その時にやることをやれば子供ができる確率が上がるらしい」

 なぜか真面目に答える俺。

 メモをするベアトリス。

 その後不思議そうに、

「なぜそんな知識を?

 前の世界で医者だったとか?」

 ベアトリスが聞いてくる。


 中学時代に辞書でそういう性関係の知識を漁って、身につけた知識だなんて言えない……。


「前の世界では出生率を上げるためにその辺の知識を少々は教わるんだ」

 と適当なことを言っておく。

「ということは我々も……時を合わせれば……」

 三人で頷き合う。

「でも、俺のような作られた巨人が他の種族と子を成せるかはわからない。

 それと例をあげたのは人の話だから、エルフや人化したドラゴンはどうなるのかわからない。

 そこ覚えておいてね」

 いろいろ言われるのかと思ったが、ちょっとした性教育みたいになってしまった。

 今のところ彼女たちの中では「子供を作るためのタイミング」が重要ということらしい

 んーアタックが厳しくなるかな? 


 これ以上の追求もないようだ。

 よかったぁ……。

 ちょっとホッとする。


 キリがよさそうなので、話を変える。

「ベアトリス、オヤジさんは砂糖の件なんて言ってた?」

「はい、砂糖をこの北の地で生産できるとなれば、莫大な富を得るだろうと言っていました。

 そこで、一度アリヨシ様と話がしたいそうです」

「言うことは言ったんだ。

 こっちからは特に無いぞ?」

「いいえ、砂糖の件だけでなく、お菓子の件も……」

 ごめんなさいって感じで、ベアトリスがボソリと言った。

「はあ?

 菓子の件ってプリンのこと?」

「そっ、そうなんです。『あんな所じゃ、甘いものも無いでしょう』ってお母様に嫌みを言われたので、ちょっと言い返したときに話してしまったのです。

 そうしたらお母様が『なぜ私たちに無いのです!』と怒りまして……」

 売り言葉に買い言葉ってやつか? 

「それって、オヤジさん関係ないじゃん」

「いえ、お母様がお父様に『アリヨシ様を呼べ』と……」

「まさか、オヤジさん。

 母ちゃんに弱いとか?」

「本当は言ってはいけないんですが、尻に敷かれていますね」

 あのごっついオヤジさんがねえ……。

「ですから、近日中にお父様と……たぶんお母様とお話を……。

 あっ、プリンを持参でお願いします」

 ベアトリスが頭を下げて頼んできた。

「いいよ、俺の点数上げとかないとベアトリスと結婚できないからな」

「はい、結婚のためにもお願いします」


 やっぱりそういう部分もあったのね。

 仕方ないなぁ。



 ノワルとグレア、ウルで話を始めた。

「で、グレアよどうだったのじゃ」

「雄の性器をあんなふうに使うとは思わなかったです。

 でもそれが………」

 グレアの声が小さくなり、俺のいる場所からは聞こえなくなる。

 ウルは身を乗り出して聞いていた。

 そしてベアトリスもその輪に加わる。

 俺はグレアに、

「恥ずかしいからほどほどに」

 と言って、温泉に向かうのだった。

小説を読んでいただきありがとうございました。

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