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ランニングバードを探していたらいいものが見つかりました。

誤字脱字の指摘、助かっております。

 ノワル曰く

「ランニングバードは人化した(われ)と同じぐらいか、それよりちょっと大きい位の高さで、走るのは速いが飛べない鳥じゃ。地面に巣を作り定期的に数個の卵を生む。飼うにはぴったりじゃろう?」

 自信を持っているのだろう、人化して無い胸を張りながら言う。

 話を聞くに、ダチョウを小型化したサイズかな? 

「で、どこにそのランニングバードは居るんだ?」

「ご主人様、ランニングバードは平原と山の境あたりに居ますね。私も何度か狩ったことがあります。雄一羽と雌数羽、そして雛という感じで行動しています」

 グレアが言った。

「そうじゃ、よく知っておるの。じゃから群れの一つを捕まえてしまえば、卵は手に入ったも同然となるのじゃ」

「何を食べる?」

「食べるもの?」

「何を食べているか知らないと飼えないだろ?」

「む……」

「虫や木の実、草だったと思います」

 グレアがフォロー。

「そうじゃ、そんな感じだったぞ!」

 ノワル、お前知らんかっただろ? 言わんけど。

「とりあえず、数羽確保するか……」


 ランニングバードを探すために、俺んちの方から山沿いに移動する。

 そういや俺んちも山際である。

 グレアもノワルも以前見たのが山の方だと言っていた。

 信用するしかないか。

 俺の肩にはウル。今回はグレアとノワルに人化を解いてもらい、グレアには臭いで、ノワルは上空から監視してもらった。俺のレーダーは魔物の種類がわからないので参考程度である。

 グレアもノワルも真剣に探してくれる。


 山沿いにしばらく歩くと、ふと岩の壁の部分ににピンク色の結晶が露出していた。

 そういえば、何かのテレビで岩塩が出てたよな。あれが薄いピンク色だった気がする。

 軽く削り取って舐める。

「おぉ塩だねえ」

 ウルも俺の手についていた結晶を舐めた。

「塩ですね」

「地の精霊、岩塩をきれいに見せてくれる」

 我ながら、適当な指示。

 それでも地の精霊に頼むと、俺ぐらいの大きさの結晶が露出してきた。結構でかいね。

「どうしよっか」

「ドリスさんに聞いてみては?」

「いい意見。そうしよう」

 俺はドリスにパスを繋いだ。


「おーいドリス、今、大丈夫?」

 俺は声をかける。

 ドタンバタンと音が聞こえると、

「あっ、何でしょう?」

 とドリスの声が聞こえた。

 急に声をかけたのだ、それは驚くだろう。

「すまんな、驚かせたか?」

「いいえ、私はアリヨシ様の声が聞きたくて待っていました」

「私用でもパスで連絡してもらってもいいからな」

 そう言うと、ドリスの

「はい」

 という嬉しそうな声が聞こえた。


 さて、

「塩ってこの辺じゃ高価なの?」

 ドリスに聞く。

「塩ですか、内陸部のこの場所では塩は海から持ってくるしかありませんから、必然的に高価になります」

 とドリスが答えた。

「岩塩の鉱脈みたいなの見つけたんだけど、どうしよっか?」

 再び聞くと、

「えっ、それは大変なことです」

 明らかに焦った声が聞こえる。

「私には扱いかねますね。ベアトリス様に聞いてみては?」

 と提案された。


 おう、ベアトリスね。

 確かに、上役に聞くのが筋か……。


「一度パスを切るぞ」

「わかりました」

 ドリスの返事が聞こえたらパスを切った。



「ベアトリス様。

 今、大丈夫?」

 パスを繋ぐ。

「あっ、はっはい。大丈夫です」

「なんかしてた?

 だったら切るけど」

「いいえ、大丈夫です」

「じゃあ、聞きたいんだけど。

 岩塩の鉱脈ってすごいの?」

 俺が聞くと、

「えっ……」

 ベアトリスが固まる。


 凄いらしい……。

 

 暫く待っていると、

「莫大な富を得ることができますよ!

 内陸部で塩が高価なこの周辺に売りさばくことができますから」

 とベアトリスが言った。

「んー。その鉱脈を見つけたみたいなんだ」

「えっ、それは本当ですか?」

 ベアトリスの声が焦っている。

「間違いないと思う」

「それはどこなのですか?」

「俺の家から山沿いへ歩いた先、そんなに時間はかからなかったけどどうする?」

「どうすると言われましても、お父様に相談しないと……」

「そうすると、俺の話が出る?」

「そういうことになりますね」

「ドリスが見つけたことにしていい?」

「面倒なのでしょう?」

 溜息と共にベアトリスの声が聞こえた。

「まあ、そういうこと。

 従魔の俺の家に来てて見つけたってことにしよう。

 うんうん、それがいい」

 俺は見えないのに頷く。

「岩塩の鉱脈を見つけるなど、人であれば、相応の地位が約束されると思いますが。

 アリヨシ様は巨人ですから……。

 ドリス殿が了承するなら、そういうことにいたしましょう。」


「おーいドリス」

 ドリスとパスを繋ぎ、三人で会話できるようにした。

「アリヨシ様何でしょう?

 先程の岩塩の件でしょうか?」


 おっ、話が早い。


「そう、その件でお願いがあるんだが」

「アリヨシ様からのお願い……もちろん受けます」


 決まっちゃったよ。一応話すか……。


「岩塩の鉱脈を見つけたのはドリスってことでお願いします」

「えっ、いいのですか?」


 あっ、焦ってるねぇドリス。


「もう、受けるって言ったんだから、よろしくお願いします」

「あっ、はい……」

「じゃあドリス殿、父上、つまりクルーム伯爵宛に手紙をお願いします」

 ベアトリスから今後の段取りの説明が入る。

「その後調査のために誰かが……多分私だと思いますが……派遣されるので、現場への誘導をお願いします」

「ベアトリス様了解しました」

 ドリスが了承した。

「あとはこちら側の仕事。

 現地確認後、間違いなく岩塩の鉱脈であり、商業的に成り立つのであれば採掘の開始となります。

 そしてそんな岩塩の鉱脈を見つけたドリス殿には褒美があるでしょう」

 ベアトリスからの説明が終わった。


 ドリスが何か思いついたようだ。

「それならば、アリヨシ様の家と農地の周辺の土地を貰えるようにしたいですね。

 そうすれば一緒に暮らせます」

 おぉ、考えたねえ。

「ドリス殿、それはずるい。

 私だってアリヨシ様の家と農地をお父様にお願いしようと思ったのに」

 あなたもですか。

「俺的には、自分の土地にしたいかな」

「あっ」

「ん? どうしたドリス」

「いいことを思い付きました。

 アリヨシ様は私の従魔ですから見つけたのはアリヨシ様にして私が報告。

 それで褒美が出たときにアリヨシ様の家と農地を保証してもらう。

 ベアトリス様どうでしょう?」

「いいですね、私とドリス殿がアリヨシ様の保証人になれば、状況確認ということで家や農地に行けますから……」

「でしょう?」

 二人の意見が一致した。

「「それでいいですね?」」

 二人が俺に聞いてくる。

「……はい」

 そして俺は二人の威圧感に負けた。


「ベアトリス様、早速手紙を書きます」

「こちらは、お待ちしています」

 早速、計画発動のようだ。

 まあ、ここが俺の土地になるなら問題ないけどね。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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