表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/69

壁の手前を開墾しました。

 ノワルに依頼して村長に開墾する意思があるかを確認しに行ってもらった。

 俺は結局暇なので横になって傍で横になるグレアの頭を撫でていた。

「ご主人様気持ちいいです」

 グレアがそう言って体をすり寄せてくる。

 ウルはグレアの腹の上で横になっていた。

「ウル、グレアの腹の寝心地はどうだ?」

「アリヨシ様、最高です。

 ドリス様が準備してくれた服もいいですね」

 ちなみにウルはドリスに貰った村娘風の服を着ている。

 そして、フワフワのグレアの腹でゴロゴロするウルであった。

 そういや、俺たち基本ゴロゴロだな。


 そんなことをしていると、

「アリヨシ、村長は『開墾できるなら助かるが、人手が足りないと思う』と言うておったぞ。

 『もしアリヨシがそこを開墾するのなら、好きにしてもよい』とも言うておった」

 ノワルは俺を見つけるとそう言った。

「んー、暇なんだよね。時間はあるから開墾するか……」

 俺は立ち上がると、ナイフを持って先日作った壁に向かう。ウルは俺の肩に乗り、グレアとノワルは元の姿でついてくる。

 今日はやることがある。

 それがちょっと嬉しかった。


「今日は開墾をします。

 俺とノワルは木の伐採。

 多分引き抜けると思います」

「わかったのじゃ」

 返事をするノワル。

「グレアは、開墾する場所の周囲でおしっこしてもらえる?」

「おしっこですか? なぜ?」

「それは、グレアの縄張りだと主張してもらいたいんだ。」

「ああ、マーキングですね」

 グレアは納得した。

「そう、そうすれば弱い魔物が近寄って来ないだろ?」

「わかりました、マーキングしておきます」

 やる気満々のグレア。マーキングにやる気満々って……。

「ウルはどうする?

 俺の肩に居て、そんでできそうなことが有ったら言って」

「わかりました」

 ウルは俺の肩で待機という事になった。


 壁の前に来ると、俺は草を引くように木を引き抜く。ノワルは俺を手伝い、グレアは壁の向こう側に行ってマーキングだ。


 意外と簡単に抜けるもんだな……。


 引き抜いた木は、並べて置いておく。

 後で木材にすればいいだろう。

「アリヨシ、燃やせばいいんじゃないのか?」

 ノワルが聞いてきたが、

「確かに灰は肥料になるかもしれないけど、木材として売るほうがお金になるかもしれない。

 村がどの程度の交易をしているかにもよるだろうし後で村長に聞こう」

 俺が作った防壁の内側に広大な平地ができた。そこをサッカーコート位に区切る。六面できた。

「土地を起こしたり畝を作ったりするのは村人にお願いするかな」

 俺がそう言うと、、

「私が耕します」

 俺の肩でウルが呪文を唱え始めた。

 区切った地面がボコボコと動き出す。

 ああこれは畑を魔法で耕しているのか。

「精霊に手伝ってもらったのか?

 魔力は大丈夫か?」

「アリヨシ様、凄いんです。

 温泉に入ってから魔力が上がってるんです。

 魔力があるから地の精霊たちがよく話を聞いてくれるんです」

 興奮気味のウル。

「なんで?」

「アリヨシ、あの温泉はお主の魔力が溶け込んでおる。

 その温泉に浸かっておるのじゃ。

 何ぞ影響があってもおかしくあるまい?」

「下流で魔物とかが温泉を飲んだら影響があるとか……」

「影響が無いとは言えんの。

 ただ、魔物が温泉を飲むことは無い。

 水源が無くどうしても喉が渇いたときぐらいではないかの」

ノワルが言った。

「あっ、そう言えば水不足の後にギガントベアが出ただろ?

 それも関係してるとか?」

「それはわからぬ。

 しかし、たまたまじゃろうて」

 穴掘り魔法のメイピと塹壕魔法のディトでそれぞれの土地で水が使えるように溜池と水路を作る。

 あとは俺んちの水路とこの土地の溜池を繋いだ。

 おお、水が溜まるねぇ。

 水路と溜池は石化魔法のメイスで石化しておいた。

 人がやったらどのくらいかかるのやら……数時間で終わらす俺も凄いんだろうな。


 そう言えば、壁で仕切られていた街道はどうなってるんだろ。

 物流が滞っていなければいいんだが……。

「ノワル、街道の事は何か言ってなかったか?」

「いいや、特に何も言うておらんかったぞ」

 って事は、あまり重要な街道ではないのかな? 

 一応、壁と街道が重なる場所にディピで穴をくりぬき通れるようにした。

 ここは後で扉でもつけてもらうか。

「ご主人様、終わりました」

 グレアが帰ってきた。

「ありがとな。これで弱い魔物は近寄って来ないだろう」


 土の中に空気が入りふかふかの畑ができた。

 ただ、まだ春までは時間がある。

「何か食いたい野菜はある?」

(われ)は野菜は好かん」

「ご主人様、私も苦手です」

 フェンリルのグレアが玉ねぎ食ったら大変なことになるのだろうか?

「私は小麦や大麦を作りたいです」

 おお、唯一まともな意見のウル。

 ウルが言うんだから小麦や大麦はあるんだな。

 野菜系は前の世界のものがあると考えていいのだろうか?

 デカい土地で三圃制をやるのも有りか。ただ土地が痩せている。

 肥料とかも無いからなぁ。

 今の時期なら牛糞でも漉き込んだら少しは違うような気がするんだが……。

「あとで、ドリスに聞いてみよう」

 結局ドリス頼みの俺たちであった。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ