約束通りノワルを撫でました。
誤字脱字の指摘、ありがとうございます。
家に着くと日は暮れていた。
感覚的には二十一時ぐらいかな?
ホールの前にお座りしてグレアが待っていた。
ホールの入口から少し離れたところに鹿が何頭か積み上げられている。留守番をしている間に狩ったのだろう。
「ただいま、留守番ありがとう」
ハッハッハッハッって感じで舌を出しながらグレアが居る。
「特に何もありませんでした」
「了解」
俺はグレアの頭を撫でながら報告を受けた。
そんなことをしている間にノワルは俺の肩からぴょんと降りた。そしてドラゴンに戻る。
するとすぐ、
「アリヨシよ、その……のう……」
上目遣いで言うノワル。
ああ、そういう事ね。
「おお、すまんすまん。ノワルが頑張ったから撫でるんだったな」
「そういう事じゃ」
俺はノワルに近づくと、ノワルの全身を撫でだした。
撫でる度にピクンとノワルの体に力が入る。
「おっ、ああ、そこは……ダメなのじゃ」
ノワルの喉、角の根元、尻尾の先、わき腹などを撫でるとちょっと妖しげな声が上がる。
「やめたほうがいいか?」
あまりの反応に気が引けて聞いてみたが、
「イヤ……イヤなのじゃ。このままのう……しばらく……撫でて欲しいのじゃ」
何かを耐えながらノワルが懇願する。
「いいけど……大丈夫?」
「大丈夫なのじゃ、アリヨシが撫でるならずっとでもいいのじゃ」
そのうち、
「あーダメじゃ、このままでは我はダメになる」
等と声を上げたあと、ノワルの体がだらりとなり力が抜けた。そのまま寝たようだ……。
「ジー」って感じでグレアが俺を見ている。
「どうかしたか?」
俺が聞くと、グレアの体がピクンの振れた。
緊張しているのか尻尾が止まっている。
「わっ私も、もっと撫でて欲しいです。
だっダメですか?」
グレアは潤んだ目で俺を見てきた。
「そうだな、留守番してくれたもんな」
「はい、留守番頑張りました!」
「鹿も狩ってくれたんだろ?」
「でも、これは私とノワルさんの食事ですから……」
「どっちにしろ『ありがとう』だ」
「はい!」
俺はグレアの傍に行くと、某有名動物王国の国王のようにグレアの体全体を撫でた。
「あっ、ああ、気持ちいいですぅ」
グレアは仰向けになり服従のポーズになる。
「今更だがフェンリルになって大きくなったよな。毛も見違えるほどきれいになったし」
俺は腹の辺りをワシワシと撫でる。
「あっ、そこは……ダメなんですぅ」
グレアのツボである。
ここを撫でると気持ちいいのか目を細める。
「もうダメですぅ」
そう言って数回ピクピクするとグレアも寝だした。
ノワル、グレアの順にホールの中に寝かせると俺は温泉に入った。
「ふぅ、落ち着くねぇ」
湯船の縁に頭を置き見上げると、満天の星空が広がっていた。
「前の世界じゃこうはいかないか……」
おっと、今のうちにドリスに帰宅の連絡をしておくかな……。
「おーいドリス。今大丈夫?」
俺はパスを通し話しかける。
「へ?
あっはっはい、ちょっと待ってください、今裸なんで……」
「おっ、悪い」
手の中で洗われるドリスの事を思い出した。
おっと、違う違う……。
「もう今は大丈夫です。
ローブも着てベッドに居ます」
「ただ、帰宅の報告をしたかっただけなんだ。
気を使わせてしまったな」
「気になさらず、私は話ができるだけでも嬉しいのですから」
ドリスの嬉しそうな声が聞こえる。
「今後、坊ちゃんがちょっかい出してくることもあるだろう。
帰る時にも言ったが、何かあったら言えばいいからな。
すぐに総出で助けに行くから」
「はい、心強いです」
「ん、それじゃ、そろそろパスを切るぞ?」
「もうですか?」
「ああ、そろそろ切るよ。
でも、こっちから連絡するし、そっちからも連絡すればいい。
遠慮するなよ?」
「はい!」
嬉しそうな声。
「それじゃおやすみなさい」
「おやすみなさい」
ドリスの声が聞こえると俺はパスを切った。
「さあ、明日は何しよう……」
そんなことを考えながら俺は風呂で寛ぐのだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。




