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騎士が討伐に来ました。

誤字脱字の指摘、ありがとうございます。

 少し冬が深まると、俺としてもすることがない。

 雪深いので村人も来ない。

 家のホールでグレアとノワルでゴロゴロする。

 それが終わったら、温泉入って、熊スーツを着てまたゴロゴロしているのだ。

 そんな時、レーダーに光点が映る。


 えっ、村人?

 かと思って見てみると赤だった。

 でも一つだけ……。


「何か来たかな?」

 スンスンと臭いを嗅ぐグレア。

「人間みたいですけど……どうします?」

「んー面倒臭そう」

 正直どうすればいいのかわからん。

()ってしまうかの?」

「ノワルさん、それダメなやつね、一応話を聞かないと……ね」

 俺はノワルを宥めた。

「んー、悪いけど二人に対応してもらおうか」

「ハイご主人様がそう言うのなら」

 素直なグレア。

「仕方ないのう、アリヨシだからやるんじゃからな」

 素直じゃないノワル。


 暫くすると、全身鎧にフルフェイスのマスクをつけた人間が近づいてくる。

 どう見ても歩きづらそう。

 家の入り口近くまで来ると、人化したグレアとノワルに気づいたようだった。

「失礼する。

 ここに巨人が住んでいると聞いたが」

 女の声か、女騎士って奴な。

「はい、ここには巨人であるアリヨシ様が住んであおられます」

「この先の村人には巨神と呼ばれておるの」

 グレアとノワルがそう答えると、

「村人に良くしたと言っても、所詮は魔物。

 成敗しに来た」

 んーどうしても俺を倒したいらしい。おっと、「成敗する」と聞いた瞬間、二人から殺気が漂う。

「ハイハイ、ダメだよ二人とも」

 とパスで咎めた。

「でも」

「じゃが」

「『でも』でも『じゃが』でもないよ、落ち着いて。できれば名前を聞いてもらえないか?」

 最近パスシステムで気づいたことがあった。

 相手の名前がわかれば強引に繋げるのだ。村長の名前も知っているのだが、「神っぽくしろ」と言うことでパスは繋いでいない。

 直接会話はしない方針になっている。ちなみにノワルもパスを繋いである。

 ただ今回は取り次ぐのが面倒なのでパスを繋いでみることにした。


「アリヨシ様に取り次ぎます。貴方の名は?」

「ドリス・ベックマン」

 女騎士の名がわかったのでパスを繋ぐ。

「あーあー、テステス、ドリスさん聞こえますか?」

 俺の声が聞こえたのだろう、

「何者!」

 と周囲を見回す。

「君が倒しに来た巨人なんだけど、いいかな?」

 俺はホールの中からのそりと出る。村人からもらったクマ◯ンスーツ。略して熊スーツ着用である。

「ギガントベア!」

「ハイハイ落ち着いて、顔出すから」

 ギガントベアの口から俺は顔を出す。

「寒いからこれ着てるんだよ」

 俺が顏を出すと、

「出たな!

 巨人」

 と女騎士が構える。

 しかし、

「出たけどさ、どうするの?

 俺倒す?」

 と聞いてみた。

「そのつもりだ!」


 ふむ……。


「倒せると思ってる?」

「倒さねば、結果を残さねば、我が家が舐められてしまう。

 女当主だからとバカにされる」

 声が泣いていた。

 

 無理難題って奴を押し付けられたんだろうな。

 人間って面倒だね。

 まあ俺も人間だったけど。


 そこで俺は、

「俺殺さないといかんの?

 君に従属する振りじゃいかんかな?

 何ならフェンリルとブラックドラゴンも付けるけど」

 俺の言葉を聞き、グレアとノワルが人化を解いた。

 俺とほぼ同じ大きさのフェンリルとブラックドラゴンが現れる。

「ひっ」

 あっ、腰抜かした……。あーあ、気を失って失禁してる。

 雪の上に黄色い染み。

 そんなに俺ら怖いかね。


「グレア、爺さん(村長)トコ行って、女物の服借りてきて」

「ご主人様、了解です」

 さっと村へ向かう。

「ノワル、悪いんだが鎧を脱がしてやってもらえないか?」

「仕方ないのう」

 ノワルは人化し女騎士の鎧とマスクを脱がした。

 ピンクのストレートな髪がはらりと落ちる。

 腰まで有りそうだな。

 そして端正な顔立ち。

「おっと、可愛いね」

 俺が言うと「ピキン」と言う音が聞こえたような気がした。

 ノワルの女騎士への扱いが荒くなる。

「どうした、ノワル?」

「なっなんでもないぞ?」

 ノワルの場合は何かあるよな。

 さっき女騎士を誉めたから妬いたかな?

「どっちかと言うとノワルの方が好みかな」

 フォロー的にそう言うと女騎士の扱いが戻った。


「悪いんだが、人化したままで風呂に入ってもらえるか?」

 俺はノワルに言う。

「いいぞ?」

 との返事。

 そして、ノワルが服を消した。

 小振りの乳房や黒い茂みが見える。

「えっ、何で裸に?」

 俺は驚いてしまう。

「人は風呂に入るとき裸じゃろ?」

「そりゃそうだが、普通の女性は男に裸を見せんだろうに」

(われ)はアリヨシになら見せても恥ずかしくないのじゃ。

 元々一緒に入っとったじゃろうに」

「それはドラゴンの時だろ?」

(われ)には関係ない」


 仕方ないか……


「俺が人用の湯船を作るから女騎士の服も脱がせて洗ってやってくれ」

「わかったのじゃ」

 俺は風呂の縁にうつ伏せになり、両手で器の形を作り湯に沈める。指の隙間から湯が入りその深さが程々になるようにした。

 裸のノワルが裸の女騎士を軽く抱き、俺の手の湯船に入れる。

 女騎士はボンキュッボンだね。

 女騎士をじっと見ていると……ノワルに睨まれた。

 ノワルが女騎士の体を丁寧に洗う。


 その時、グレアが帰ってきた。

「借りてきました。お古だから返さなくていいそうです」

「グレアありがとう。

 それじゃ、洗い終わった女騎士を拭いてもらえるか?

 グレアも手伝ってやってくれ」

 人化したグレアが女騎士を受け取る。

「何でノワルさんは裸なんですか?」

「アリヨシに見せつけているのじゃ」

「じゃあ……」

 俺の「いいから」の言葉が間に合わず、素っ裸になるグレア。

 銀色に彩られた裸体が現れる。

 そりゃ眼福だけど、うつ伏せの俺には辛い。


 胸のボタンが二つほど飛んだが、なんとか女騎士の着替えが終わり。残りの二人も人化を解く。

「ご主人様どうでしたか?

 私の裸」

「アリヨシよどうじゃった?

 (われ)の裸体は」

 立て続けに聞かれた。

「二人とも綺麗だったぞ。

 俺が人なら声かけて恋人にしたいところだ」

 誉め具合はこの辺でどうだろう。

「恋人」

「恋人じゃ」

 ぽーっと上を向き妄想が始まる二人。

「ご主人様が小さくなれるのならば、私もノワル様もご主人様の妻になると言うのは?」

「それは良い考えじゃ。

 (われ)が第一、グレアが第二じゃがの」

「私は第一でも第二でも気にしません。

 ご主人様に愛してもらえるなら……」

 二人の妄想が暴走しだした……。

「それでいいな、アリヨシ」

 ノワルが俺に報告する。

 あっ、何か決められた。

 完全に俺の意思がなかった……。


読んでいただきありがとうございました。

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