─58─アジャドの確かな教え
こんにちは!本久禅です!
この作品を手に取っていただきありがとうございます!この話が初めてだよーって方は是非1話から読んでみてください!そっちの方がより楽しめます!
そして、1話から読んでくださっている方、読み続けて下さっている方々!本当にありがとうございます!
では本編どうぞ!
「始めっ! 」
いざ、私と椿の一騎打ちが始まった。
私は椿の戦い方を知らないので下手に手を出すことが出来ない。それに、剣を前にして構えるんじゃなくて、腰あたりで刃先を私の方に向けずに構えている。
これまでに見た事のない、奇妙な構えだ。
開始から10秒ほどだろうか。両者ともに睨み合いながらジリジリと距離をつめ、そして同時に両者斬りかかった。
カーン!!
木がぶつかり合う乾いた音が周囲に響く。
なんて力だ。大概の相手は簡単に振るい払えるのだが、振るい払うどころか若干押されている。
こんなのお父様以来……。
なんとか剣を滑らせてかわし、反撃に出た。
幾度となくぶつかり合う木刀は、持っている手にキシキシという悲鳴をあげる。
「止めっ!そこまで! 」
応戦に夢中になっていた2人は、アジャド先生の声でようやく我に返った。
アジャド先生は、力を込めた私達2人の剣を片手で止めていた。
「ここにいるもの全員が感じたことだと思うが、今しがた素晴らしい戦いを魅せてくれたこの2人は、紛れもなく逸材だ」
アジャド先生の熱がこもった弁に、私達2人は顔を見合わせ照れあった。
「この戦いを見て君たちは何を感じるのか、ここに追いつけないと感じるのか、はたまた追い抜いてやろうと闘志を燃やすのか、私はこの2人を含めここにいるのも全員に後者であって欲しいと願う。
気持ち、気概は時に肉体の強さを上回るほどのパワーを生み出す。また、ライバルや格上といった他の存在も時に力を与えてくれる。それらを得るために君たちはここに入学してきたのではないのか?
君たちが本番とする冒険の中でも間違いなく仲間の存在は大きくなる。ここでの人脈は、きっと将来役に立つだろう。存分に見聞を広めてくれたまえ!では次のペア、一騎打ちを……」
私はアジャド先生の言葉たちを聞いて、静かに涙を流していた。
理由は分からない。ただ静かにゆっくりと涙が流れた。
この学校の最大の長所は、教師が幾度となく修羅場をくぐり抜けてきた歴練の猛者たちだということ。
彼らしか語れない物語があり、彼らにしか発することの出来ない言葉達がある。
そして多分、それらの言葉はこれから同じような道を歩く私たちにとって最も説得力があり、最も信用に足るものなのだろう。
私は、この学校に入学できて、そしてアジャド先生の授業を受けることが出来て本当によかったと、そう思えることが出来た。
ここまで読んで下さり、ありがとうございます!
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