─21─祝福された門出
こんにちは!本久禅です!
この作品を手に取っていただきありがとうございます!この話が初めてだよーって方は是非1話から読んでみてください!そっちの方がより楽しめます!
そして、1話から読んでくださっている方、読み続けて下さっている方々!本当にありがとうございます!
今回はちょっと長いです!
では本編どうぞ!
「こんにちはー!染谷です! 」
僕はアドガーさんの店を出て、ドールさんの家に着いた。
「お待ちしておりました。どうぞお上がりください」
出迎えてくれたのはドール邸に勤めるメイドさん、アズマさんだった。
「勝手ながら、お召し物をこちらで準備させて頂きました。よろしければ、そちらにお着替えください」
アズマさんが差し出してきたのは、燕尾服と言われる、背広の裾部分が長くなっているスーツだった。
たしか夜間の男性の正装と、聞いたことがある。
もちろんそんなきっちりした服を着るのは初めてで、若干戸惑っている。バレないように努力はしたけど……。
アズマさんは、僕を連れドール邸内の一室へと案内した。
というか、やっぱりこの家無駄に広いな……。掃除とか大変そうだ。
そんなこんなで、案内された部屋でスーツに着替え、終わると次は食堂に案内された。
「こちらで、皆様がお待ちです。では私は、雑務がございますのでこれで……。どうぞお楽しみください」
そうすると、アズマさんは忙しなく去っていった。
僕は襟を正し、髪の毛をチェックし、1度深い深呼吸をしてから食堂の扉を開けた。
──パパーン
『俊樹 (くん) の、旅の無事を祈って!!いってらっしゃい! 』
僕を待ち受けていたのは、門出を祝うためのクラッカー的なものだった。僕の体をリボンが覆っている。
いきなりの祝福に驚いたのはそうだが、それ以上に、メンバーにも同じくらい驚いた。
そこに居たのは、ドールさん、ソフィー。
そして、アドガーさんに、トンキーさん、ネオンちゃんがいた。
「2人じゃ、出発を祝うには少なすぎると思ってな。事情を話して、来てもらったんだ! 」
僕のとぼけた顔を見て、察したドールさんが補足してくれた。それにしても……。
「ぼ、僕は、こんなにしてもらえて、本当に幸せものです! 」
僕は、涙が溢れて止まらなかった。涙脆い方ではあるけれども、あるけれども!ここまで、自分を想ってくれた人に出会ったことがない!
アドガーさんや、トンキーさんに至っては自分のお店もあるはずなのに……。
そう考えると、次から次からくる涙は止むことを知らない、台風の日の雨のようだった。
その後、落ち着くために何度か深呼吸してようやく涙も引いた。
我に帰ってみるとめちゃめちゃ恥ずかしい。
「じゃあ、俊樹くんも落ち着いたことだし改めて、明日からの俊樹くんの旅が、いいものになることを祈願して、乾杯! 」
『乾杯! 』
こうしてドールさんの一声で、食事会が始まった。僕を送り出すための食事会が……。
「本当に行っちゃうんですか? 」
そう言ってきたのはネオンちゃん。たった2日間だけだったが、僕が泊まっている部屋の掃除や、服の洗濯などをしてくれた、すごく気の利くいい子だ。
「うん。返しきれない恩があるし、何よりカエラさんを助けてあげたい。そして、強くなりたいからね! 」
「あ、あのじゃあ、絶対無事で帰ってくるって約束してください!じゃないと私……」
ネオンちゃんの目がうるうるしてきた。なんだろうこの罪悪感……。
「や、約束する!絶対!無事で帰ってくるから泣かないで! 」
「うわー!俊樹がネオンちゃん泣かせたー! 」
ソフィーが、ニヤニヤしながら会話に入ってきた。まるで獲物を見つけて弄ぶ猛獣のような目だ。
「そう言えば!俊樹って意外と涙脆いのね~!ビックリしちゃった! 」
「それ!私も思いました!俊樹さんって、なんかこう凛々しくて、優しいけど、ちょっとクールなイメージがあったけど、実は泣き虫さんだったんですね! 」
ソフィーは間違いなくわざとだな!でも、ネオンちゃんは本気で言ってきてるのがまた心に刺さるっ!
「まぁまぁ。そこら辺にしておいてあげなさい」
ドールさんが間に入ってくれる。や、優しい……。
「それで、俊樹くん?明日は何時頃に出発するんだい? 」
「えっと、トンキーさんが朝食を作ってくださるそうなので、その後すぐにでも……」
「そうか。じゃあ食べ終わったら私の家に来てくれ。馬車を手配してある」
あっ!そうだった!お礼言わなくちゃ!
「あ、ありがとうございます!すみません、色々やって貰っちゃって。しかも急に……」
「いやいや、いいんだ。それに、君一人に妻を助けて貰ったら私の顔が立たないだろう?だから少しくらい援助させてくれ! 」
そういうドールさんの笑顔には、悔しさのような顔が見え隠れしていた。それはそうだ。出来ることなら、自分で助けたいのだろう。
「約束します。きっと、カエラさんを助けてみせます! 」
僕は、覚悟を持って、信念を持ってそう答えた。
「あぁ!頼んだぞ! 」
彼の差し出した手を強く握り、また彼も強く握り返してきてくれた。
***
食事会が始まって結構な時間が立ち、若干みんなの顔に疲れが見え始めた。それは多分、僕も含めて。
「さぁ、そろそろいい時間になったし、この会もお開きにしようか。それに、俊樹くんに疲れが残ったら元も子もないだろう」
ドールさんが音頭をとり、食事会はお開きとなった。
「アドガーさん、本当にありがとうございました! 」
トンキーさんと、ネオンちゃん、そしてソフィーとドールさんは明日の朝に見送りに来てくれると言ってくれたが、アドガーさんは、鍛冶の仕事で忙しいとのことで、来れないそうだ。
だからこの場が、アドガーさんと会う最後の場になる。
「いやいや、こちらこそ明日の朝行けなくてすまないね」
「いえいえ!このペンダント大事にします! 」
「うん!きっと君が無事で帰ってくると祈っているよ!胸を張っていっておいで! 」
「はい! 」
こうして、僕とアドガーさんは別れた。
「俊樹さん!そろそろ私たちも宿に戻りましょうか。俊樹さんの体に疲れが残ったら大変! 」
「そうだね。じゃあドールさん、そろそろ帰ります。こんなに素敵な会を開いて頂いて本当にありがとうございました! 」
「実はこの会の、企画に人の招集、その他諸々全部ソフィーがやったんだ! 」
「ちょ、ちょっとお父様!内緒にしてって言ったでしょ! 」
ソフィーは顔を真っ赤にして、ドールさんをぽこぽこ叩いている。どうやら本当にみたいだ。
「そうだったのか……。ありがとうソフィー!最初に出会ったのが君で本当によかったよ! 」
「ちょっと!何湿っぽくなってるのよ!今日はしっかり寝て、明日の朝に湿っぽくなりなさい!分かった? 」
「はい! 」
そうして、僕はドール邸をあとにした。
背中には、みんなの期待を背負い、胸にはみんなへの感謝の思いを膨らませて……。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
前回の後書きで、2話分を1話に……とか言ってましたが、全然2話分じゃなかったですw
実際は、3話ちょいでした!!!すみませんでした!!!ということで次の回こそ!ちゃんと旅始めます!
次回もどうぞよろしくお願いします!
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