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23/50

ならば①

※『ならば』の主人公は、ノエリアになります。

「お前が、ノエリアか。まあ、顔つきは悪くないか……」


 私の目の前に現れたのは、どう見たってお貴族様だった。

 だけど、私の名前を呼ぶ理由がわからなかった。


 何で、顔? 確かに、そんなに悪い顔ではないと思ってるけど。……まさか。母さん、お金に困ってとうとう私を売りはらうことにしたの?! 自分も身を持ち崩しているからって、私まで引きずり込まないでほしい!


「な、何よ!」

「口の利き方もなってないな。この娘の母親も、所詮、平民だからな。期待するだけ無駄か」

「だから、何なの!?」

「丁度、お前の年頃の子供が欲しかったんだ。行くぞ」


 私の腕が、がしりとつかまれる。


 どういうこと?

 私は、貴族の令嬢だったってこと?!


「私、貴族の令嬢だったの? 庶子ってこと?」


 そんなシンデレラみたいな物語が、本当に存在するってこと?


「お前が私の子供だと? そんなくだらない質問など、二度と口にするんじゃない。だが、お前は私の子供になるんだ」


 ……え? どういうこと? 私はこの人の子供じゃないの? なのに、子供になるの?


「養子ってこと?」

「質問するなと言っただろう! 私がどうしようと、口答えをするんじゃない。ただ、素直に従えばいいんだ!」


 威圧的なお貴族様に、私は口をつぐんだ。

 ……でも、今までの生活より悪くなることはないだろう。

 だって、言いなりになっていさえすれば、きっと大丈夫。

 食べるものに困るような生活からは、これから抜け出せるんだ。


 一体何が起こっているのか、私にはさっぱりわからなかった。

 だけど、このチャンス、絶対生かしてみせる。


 だって、もう底辺の生活になんて、戻りたくないもの!

 ならば、求められている姿に、なってみせる!

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