★番外編③★
「クリスティアーヌ嬢?」
向かいに座るレナルド殿下が顔を覗き込んできたことに、私はハッと我に返る。
「申し訳ございません。何の話だったかしら?」
ふふ、とレナルド殿下が笑う。
「私に見惚れてくれていたんだったら、別にそのまま見惚れてくれていて構わないよ?」
私の顔が熱を持つ。私はうつむいた。
「そんなこと……令嬢としてはしたないわ」
「もう私たちは婚約者同士だ。しかも、相思相愛の。少しくらい許されるんじゃないかな?」
ああああああ!
「恥ずかしいので、言わないでください!」
「みんなの前で公開告白してくれたの、嬉しかったんだよ?」
私の耳まで真っ赤になってると思う。
あの時は、自分の気持ちを伝えるのが精いっぱいだったけど、冷静になると、その状況に恥ずかしさしかない。
「もう言わないで! レナルド殿下の意地悪!」
それに、それをレナルド殿下がからかってくるのだ!
「クリスティアーヌ嬢がかわいいのがいけないんだよ?」
ふふふ、と笑うレナルド殿下に、私はムッとして見せて、ふいと顔をそらす。
でも、口元が緩むのは仕方がないわ。
だって、幸せな気持ちが溢れてきてしまうんだもの。
完




