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学校はドリンクバー

 あの後、交差点の地縛霊とか、浮遊霊とか、いくつかの霊を吸収した。その結果、靄より霊体で直接吸収する方が速いって事がわかった。後、悪霊じゃない幽霊はカルピスの味がした。

 そんなこんなあって、学校に到着した。

 けれど、寄り道をしたのにいつもよりまだ早い。

 朝のホームルームまでまだ30分以上ある。

 もう来ているのは朝練のある部活に所属している人ぐらい。ちなみに私は帰宅部。

 さて、何して暇を潰そうか、図書室は朝は開いてないし、授業の予習復習は朝に教科書を全て暗記してきたから、大学受験をしない私にはこれで十分。

 …ほんとに何しよう。とりあえず教室に行こうか。


 私の教室は四階にある。三年二組。

 …ん?もう来てる人がいる。あれは、笹原(ささはら) 未来(みく)さんだね。私は笹原さんて呼んでる。うちのクラスでも頭のいい方に入る子。ちなみに学級委員長で、まじめな性格。何してるのかな?

 ……へー、早く来て勉強してるんだ。がんばり屋さんだねぇ。

 入ろう。


 ガラガラ


「おはよう。」

「おはよう。珍しいわね。美霊院さんがこんなに早く来るなんて。」

「いやー、なんか早く目がさめちゃってね。」

「なるほど。あれ?何だか、顔色が悪い気がするのだけれど、大丈夫かしら?」

「え、そう?。大丈夫。なんともないよ。」

「そう。でも、無理はしちゃだめよ。少しでも体調が悪いと感じたら、すぐに休むのよ。」

「うん。ありがとう。」


 あー、やっぱり言われたか。血が巡ってないから、顔色がすんごい悪いんだよね。文字通り、血の気が引いた顔してる。

 後、体温がすごく低い。

 まあ、誰もほんとに死んでるとは思わないでしょ。

 いつも通りにしてたら、すぐにみんななんとも思わなくなるんじゃないかな?。だといいなぁ。


 私は、笹原さんとの会話を切り上げて、自分の席に座る。私の席は一番左のまん中。窓のすぐ横の席で、グラウンドが見える。

 サッカー部が練習してるのを、なんとなく見る。


 あ、あの子呪われてる。って、竹内じゃん。

 竹内 純。サッカー部所属のレギュラー。ちなみに同じクラス。

 そういやぁこの前、仲のいい友達と心霊スポットに行ったとか言ってたね。てゆうかこの学校、今日来た時から思ってたけど、悪霊とか呪いとかがたくさんいるんですけど。

 よし、しばらくの暇つぶしができたね。まだ時間あるし、2、3個食べてこようかな?そうと決まればさっそく行こう。


 まず最初は、三階の女子トイレ。…花子さんだったりして。

 いや、まさかね。

 …とついた。三つ並んだ個室の一番奥から気配がする。…嘘ですかっこつけました。ほんとはもう見えてます。

 開けてみる。和式のトイレの奥から、おかっぱ頭の女の子が顔を覗かせて、怨みのこもった目を向けてきている。…ほんとに花子さんみたいな霊だった。肉体で触りたくないので、霊体の手の部分を少しはみ出させて、手を伸ばし…てほんとに伸びた。試してみたらだいたい2メートルぐらい伸びた。

 まあいいや。霊体が色々おかしいのは、昨日からの検証でわかってる。手が伸びても不思議じゃない。

 さて、これで触り安くなった。ということで、いただきます。

 うん。これまでで一番長かった。実はけっこう強かったのかな?それとも、腕を伸ばすと効率が落ちるとか…まあいいや。

 それと、味は炭酸のイチゴジュースみたいな味でした。

 もしかして、悪霊って炭酸の味がするのかな?

 とにかく次に行こう。


 次は二階の階段の踊り場にある、大きな鏡。こっちは呪いの方。

 多分、けっこう強い。人の魂が閉じ込められてるし。

 さて、私がどうするかというと…閉じ込められてる魂ごと呪いを食べる。どうせこの魂だって、後は成仏するしか無いんだし、いいでしょ。

 それじゃあ、いただきます。うん。ドリンクバーでコーラとオレンジジュースとメロンソーダを混ぜたときみたいな味がする。これはそれよりだんぜん美味しいけど、色んな味が混ざってる感じは似てる。なんかこの学校ってドリンクバーみたいだね。

 さて、そろそろいい時間かな?教室に戻ろう。


 教室に戻ると、けっこう人が来てた。

「おはよう~。花蓮ちゃん。ってめっちゃ顔色悪くない!?大丈夫?」

 この子は石川(いしかわ) 凜香(りんか)ちゃん。

 多分、クラスで一番仲が良い。ただ、たまに私を小学生みたいな扱いにするのは勘弁してほしい。

 そしてやっぱり、顔色を心配された。

「うん。大丈夫だよ。」

「ほんとに?熱とか無い?」

 そう言って、自分のおでこを私のおでこに近づけてくる。

「うーん。熱はないみたい?てゆうか、すごく冷たい」

「でしょー。だから心配し過ぎだって。」

「そうお?でも、それぐらい顔が青白いから。念のため、気をつけてね。」

「わかったわかった。」

 うん。良い子なんだよね。

 さて、竹内はどこかな?あ、いつも通り仲良しの馬場君としゃべってる。

 そして馬場君も呪われてる、と。

 二人とも、ぱっと見元気に見えるけど、よくよく見ると疲れが溜まってる事がわかる。ちなみに馬場君はテニス部。

 ちょっと気が進まないけど、声をかけてみる。


「ねぇ竹内、馬場君。」

「うん?何?」

「どうしたの?美霊院さん。」

「ちょっと、聞きたい事があってね。二人とも、この前心霊スポットに行ってきたって言ってたよね?それ本当?」

「なんだよ、疑うのか?」

「いや、そうじゃないよ。ただ、誰と行ったのか知りたいだけ。」

「そんなこと聞いてどうするんだよ。」

「特には。ただ知りたいだけ。」

「そうかよ。まあいいや。教えてやるよ。馬場もいいか?」

「僕は構わないよ。」

 そして二人は、行ったメンバーを教えてくれた。

 お礼を言って、自分の席に座る。

 ちなみに、会話の途中で呪いは吸収済み。

 さて、そろそろホームルームが始まるね。







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